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2021.02.01 うつ病女性のうつ病新型うつ病

冬季うつへの対処 幸せホルモン(セロトニン)とダークホルモン(メラトニン)を味方につける

冬季うつへの対処 幸せホルモン(セロトニン)とダークホルモン(メラトニン)を味方につける

冬季うつ病の対処

【目次】
幸せホルモン(セロトニン)とダークホルモン(メラトニン)を味方につける
日光を目に入れる
炭水化物を味方にする
規則正しい睡眠習慣 睡眠スケジュールを作る
何か活動してみる 行動活性化のすすめ
実施例 たまにはモーニングを食べに出かけよう
おわりに

はじめに

 前回は、冬季うつ病について皆さんにお伝えしました。

 冬季うつ病は、光への感受性の高い体質で、秋から冬の日照量の低下に反応して、脳内でセロトニンがが減り、メラトニンの調整が乱れる。その結果、うつ症状や甘い物を渇望する過食と過眠が現れます。冬に太ります。

 秋から悪化し、春になると良くなりますが、また次の冬になれば症状を繰り返し、毎年やってくる、この不調を乗り切る工夫が必要になってきます。光療法とうつ病の薬が主になりますが、それ以外にも皆さんの生活の中で、お1人お1人に合った工夫は何かできないものか?と考えていきたいと思います。冬季うつ病のメカニズムを知り、自分でメンテナンスできると、うつに振り回されず自信もつきます

なので、今回は、セロトニンとメラトニンを味方につける方法を、まずお伝えし、次にうつ病の治療でよく使われるの行動活性化の例をご紹介いたします

   この対策は、冬季うつ病だけでなく、全てのうつ病の予防や治療にも当てはまると思います。

セロトニンとメラトニンの関係

 セロトニンとメラトニンは密接に関係しています。

日光

 先ほどお伝えした通り、朝日を浴びると、光刺激によって脳内のセロトニンの分泌が活発化します。幸せホルモンと言われています。また、メラトニンは、目から視床交叉上部、松果体と刺激が伝わり分泌が止まり、15時間後にまたが分泌され、眠くなります。メラトニンは、闇(夜)を伝えるホルモンと言われています。

つまり、朝日を浴びることには、

  1. セロトニンの分泌を促し、こころと身体を覚醒する
  2. メラトニンの “15時間タイマー” をセットし、夜の入眠をスムーズにする、睡眠リズムを良くする。

という2つの作用があるのです。

セロトニンはメラトニンの原料になる

 朝起きて、十分な朝日を浴び目に光が入ることでセロトニンが分泌されます。そして15時間後、松果体において、日中に分泌されたセロトニンを原料にメラトニンが作られるのです。つまり、セロトニンが少ないと、合成できるメラトニンの量も減ってしまい、うまく入眠できない可能性があります。うつ病の薬(SSRIなど)は、脳内のセロトニンを増やす作用があるので、不眠が改善するのはこういった作用かもしれません。

冬季は日照量の減少によって脳内セロトニンが減り、メラトニンが乱れる。

よって、

セロトニンを増やし、メラトニンを調整することが冬季うつへの対処法となります。

これから、いくつかお伝えしていきましょう。

日光に当たる

 これが王道。

 太陽の方に目を向けることが大切です。しっかりと目の中に光が入って、視神経を通って脳に刺激が行き、縫線核などからセロトニンが脳内に分泌されます。

また、セロトニンはメラトニンの原料になります。

 これらのホルモンを不足させないように日光に当たる時間を増やす工夫をするほかに、自宅内や職場をなるべく明るくすることでも効果があります。

 これは、毎日行うことが大切です。セロトニンは貯蔵することができません。毎日、補給しないと減ってしまいます。つまり、その日その日で、セロトニン分泌量で状態が決まります。どうかすると1日も保たず、朝の日光で分泌されたセロトニンの量で決まるという説もあるので、午前中の光が重要なのです。

ドカッと日曜日だけガッツリ光に当たるというのではなく、毎朝、コツコツ続ける必要があります。

 また、高照度光療法があります。これは2,500~10,000ルクスの高照度の光を1日2回、朝と夕方に1~2時間ずつ照射するというものです。擬似的に日照時間を長くしているのです。

照度と抗うつ効果には正の相関があることが確認され、1週間程度で改善することが多いといわれます。中断すると再発する可能性が高いので、冬季の間は連日行なう方が良いとされます。

しかし、これでは患者さんの負担が大変で、もっと負担を減らせないものかと、いろいろやり方が試されて、1日1回、朝から夕方までのどこかの時間帯で高照度光療法を受けても、ほぼ同等の効果が得られるという報告もあります。

 

栄養バランスを心がける 光の刺激だけでなく、原料も増やさないとセロトニンは増えない

 私個人的には、うつ病の患者さんに、セロトニンの原料となるトリプトファンの多い卵、バナナ、チーズ、豆乳などを朝、食べるようにお勧めしています、また炭水化物は、冬季うつ病では、チョコレートが手放せない、菓子パンをたくさん食べてしまうなど甘い物をむしょうに食べたいと悩みの種ではあるのですが、炭水化物を食べると気分が元気になるのも確かです。これを治療に使いましょ!!

 炭水化物は、脳内のセロトニンを増やしてくれる作用があり、冬季うつ病の人では、その傾向が顕著なので、治療に利用しない手はありません。炭水化物を朝に多く、トリプトファンと一緒食べることをお勧めします刺激と材料をセットにして、セロトニンを増やすのです。そうやって、昼は元気に活動して、夜の甘い食べ物のドカ食を防ぐのです。

 そうやって考えると、喫茶店にあるモーニング、食パン+ゆで卵+コーヒー(名古屋の喫茶店だと、サラダ、小倉、コロッケなど、もっといろいろ付いてくることも)は、うまく、できているなあと思ったりもします。喫茶店に行かなくても、自宅でメニューをイメージをすれば良いかもしれません。

 セロトニンの材料になるのはアミノ酸の一つ「トリプトファン」。そのトリプトファンを含むアミノ酸を効率よく摂取できる食品は肉や魚を摂りましょう。

 また、アミノ酸の効率的な吸収や利用にはビタミンやミネラルも大切なので、緑黄色野菜やフルーツなども取りましょう。

 炭水化物を求める過食に陥ることで栄養バランスが崩れてしまいます。普段から適度な量とバランスの良い食事を心がけることが大事ですが、季節性うつ病になりやすい方は秋・冬の食事に特に気を付けましょう。

規則正しい睡眠習慣

 季節性うつ病の発生には「体内時計」の乱れも深く関係しているといわれています。

冬は朝日が昇るのが遅く、一方で日が沈むのは早い為、「時差ぼけ」のような状態に近くなります。
つまり、体内時計を乱さないようにすることが大事ということになります。
せっかく日光を浴びたり部屋を明るくしたり、食事に気を付けてセロトニンやメラトニンが不足しないようにしても、不規則な生活をしていては何もかもが狂ってしまいます。
 おおよその就寝時間・起床時間を決めて、規則正しい生活(睡眠スケジュール)を心がけましょう。ルチーンや日課を決める。

何か活動してみる

 うつ病の治療法の一つとして、行動活性化法というものがあります。

 うつ病の時には、何もやる気が起きず、家の中で動かないままで過ごされることが多いですが、そうすると、さらに意欲が低下する悪循環に陥ってしまいます。まして、寒い寒い冬ではなおのことです。

 しかし、うつ病の治療では、ある程度、活動ができるくらいに回復していったら、少しずつ活動量を挙げていく事が大切とされており、そのための工夫が行動活性化法です。

行動活性化法では“①5分くらいで簡単にできる“しょぼい”小ネタを用意する→②一つの小ネタが習慣化したら、そこに別の小ネタを重ねていく→③1~2を繰り返すうちに、やる気スイッチが押されて、大きな活動に繋がっていく“という手順を踏みます。

例:なりきり草刈正〇

50歳代の技術職の男性会社員の患者様。人が足りない現場で、上司から叱られ、残業続きの日々が数年続いていました。「朝、会社に行くのが、つらくてたまらない」と悩み当院を受診。朝小ネタを使って元気を出してみることをおすすめしたところ、大好きだった草刈正●がバイクレースで活躍する映画を出勤前に再現することにしました。

映画のオープニング。主人公がまっ暗な部屋に座り、日本選手権決勝レースが始まるのを待っています。バイクスーツのジッパーを「ジー」と締め、扉が開き、光がパアーと差し、エンジンの音がブンブン高まり、そこで、主題歌がジャーンと頭の中で流れる。

出勤前、目を閉じて、このシーンをイメージされます。青春時代の思い出の詰まった80年代の音楽をかけて、まずは家を出ます。頭の中では、映画の中の草刈正●です。

映像、光、音、ジー、パワー、ブンブン(効果音)などの五感をイメージする、懐かしの音楽をかけるなど、“小ネタ”を積み重ねて、やる気スイッチを押し続け、出勤という大きな行動につなげています。

実施例:たまにはモーニングを食べに出かけよう

 冬季うつ病では、脳の中のセロトニンが減っているので、セロトニンを増やすために炭水化物、とりわけチョコレートや菓子パンなどの甘い物を過食します

一種の無意識の自己流の治療法ですが、冬季うつ病の人は、炭水化物を食べると元気が出るのも確かですので、これを朝にして、気分を上げます。

そして、光、トリプトファン(卵、チーズ、乳製品、バナナなど)、ちょとした体を動かす程度の運動を小ネタのセットにしてルチーンにできると良いですね。行動活性化を意識します。

 

 朝、目が覚めたら、顔を洗って(小ネタ)、お気に入りか明るい色のコートかセーターを羽織って(小ネタ)、モーニングを食べに近所に出かけてみましょう(小ネタ+日光)。

 コーヒーにトースト、付け合わせは卵料理とサラダでトリプトファンとビタミン・ミネラルを補充(栄養)。おいしい食事と居心地の良いカフェで、ぜいたくな時間を過ごします(活動)。

 これで、日光・栄養・活動が行われます。また、冬季うつ病の方は、炭水化物欲求が高まっていますが、夜よりも、朝に炭水化物を取る方が良いとされています。

おわりに

 いかがでしたでしょうか?

今回は冬季うつの対処法について、皆さんにご紹介していきました。

日光を浴びる・栄養バランスを心がける・規則正しい生活・何か活動してみる(行動活性化法)などの対処を行うと良いでしょう。

冬季うつ病だけでなく、全てのうつ病の予防や治療にも当てはまると思います。

 

<冬季うつの関連記事はこちら>

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<行動活性化についての記事はこちら>

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コロナうつに負けない行動活性化のコツ

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監修

加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長/名古屋市立大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医
所属学会 / 日本精神神経学会、日本うつ病学会、日本嗜癖行動学会理事、厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
クリニック/名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。