あらたまこころのクリニック「新型うつ病(現代型うつ病・非定型うつ病)」ページ

新型うつ病
(現代型うつ病・非定型うつ病)

NEW TYPE DEPRESSION

NEW TYPE DEPRESSION

新型うつ病は、抗うつ薬が効きにくい
様々なタイプの症状があります

従来のうつ病は、中年期に几帳面な性格や仕事熱心な中年男性が発症し抗うつ薬が良く効き、数ヶ月で良くなることが多いとされています。しかし近年では、抗うつ薬だけでは治りにくい新型うつ病が急増していて、その新型うつ病の中にもいくつかタイプがあります。

新型うつ病の一つのタイプである「気分変調性障害」は、若い頃から周りの方も本人も気づかないうちに発症し、うつ病の期間がとても長いために様々な病気が上乗せされ、同時に2種類のうつ病に罹ることから「二重うつ病(ウツの中にウツがある)」と呼ばれています。もう一つのタイプである「非定型うつ病」は、対人関係に過敏に反応したり、突然テンションが高くなることで、わがままや甘えなどといった性格の問題と誤解されやすいために、病気(=治療法がある)と気づきにくいことが特徴です。他にも、20歳代でうつ状態が先に発症、長くうつ状態が続くために本当のうつ病と見分けることが困難な「双極性障害2型」や発達障害があります。

新型うつ病は、受診した医療機関によってその診断名や処方薬が様々で、目先の症状の対処に振り回されて多くの薬を服用することとなり、病気による症状なのか薬の副作用なのかが分からなくなってしまうようなことさえ起きています。新型うつ病は、丁寧な病歴の聞き取りと適切な診断と治療の手順が必要です。

通常のうつ病と
新型うつ病(非定型うつ病)の違い
THE DIFFERENCE

うつ病

新型うつ病(非定型うつ病)

  • 発症

    中年男性(男女比は同じ)
    若い人(女性が7割)
  • 病前の性格

    マイナス思考

    真面目で几帳面

    責任感が強い

    マイナス思考

    いわゆる良い子

    他人の評価が気になる

  • 気分の特徴

    常に落ち込んでいる

    集中力がなくなる

    自分を責める

    良いことがあると元気になる

    他人のせいにする

    趣味や遊びには没頭できる

    拒絶されると悩んだり、切れる

  • 食欲

    食欲が減退する

    体重が減る

    甘いものの食欲が増進する

    摂食障害(過食)によって
    体重が増える

  • 睡眠時間

    睡眠時間が短くなる

    睡眠時間が長くなる

  • 治療方針

    休養が第一

    薬物療法と認知行動療法など

    安全な対人関係を身につける

    薬物療法と認知行動療法など

新型うつ病(非定型うつ病)

  • 発症

    中年男性(男女比は同じ)
    若い人(女性が7割)
  • 病前の性格

    マイナス思考

    真面目で几帳面

    責任感が強い

    マイナス思考

    いわゆる良い子

    他人の評価が気になる

  • 気分の特徴

    常に落ち込んでいる

    集中力がなくなる

    自分を責める

    良いことがあると元気になる

    他人のせいにする

    趣味や遊びには没頭できる

    拒絶されると悩んだり、
    切れる

  • 食欲

    食欲が減退する

    体重が減る

    甘いものの食欲が増進する

    摂食障害(過食)によって
    体重が増える

  • 睡眠時間

    睡眠時間が短くなる

    睡眠時間が長くなる

  • 治療方針

    休養が第一

    薬物療法と認知行動療法など

    安全な対人関係を身につける

    薬物療法と認知行動療法など

こんなお悩み
   ありませんか?
次のような症状は、
新型うつ病の可能性があります
  • 自分は価値がないと感じる

    自分から何かを言うことが「わがまま」だと感じる

    ネガティブな気持ちが頭に浮かぶ自分は未熟な人間だと感じる

    本当の自分を人が知ったら、離れていくと考える

    人には、無理な背伸びをして「良いところ」を見せて頑張っている

  • 相手に自分のことをどう思っているのか確認するのが怖い

    相手から拒否されるような態度をとられると過敏に反応する

    食べ過ぎたり、寝てばかりいる

    体が鉛のように重い、だるい

    ハイテンションになったり、過呼吸などパニック発作が起きる

当院での治療法 -TREATMENT-

新型うつ病は、抑うつ神経症やわがまま、甘えなどといった性格の問題と勘違いされ、必要な治療を受けていない可能性があります。そのため、新型うつ病の治療は、まずは「自分の病気を知る」ことがとても大切です。

まずは、幼少時の頃からの頃の生い立ちや家族関係を整理した上で、双極性障害やパニック障害、あがり症(社交不安障害)などの症状がある場合は薬物療法で安定させることを優先し、うつ病の治療を進めていきます。対人関係などの問題を理解した上で、自分の対人関係のパターンがどのような悪循環に陥っているのかを知り、認知行動療法やグループ療法、デイケアに取り組むことで役立つスキルを身につけていきます。

  • 薬物療法

    薬物療法

    新型うつ病にも効果が期待できるSSRIを処方して治療を進めます。新型うつ病の中に双極性障害2型などが隠れている場合は、抗うつ剤よりも感情調整薬などが有効な場合もあります。

    新型うつ病の薬物療法では、表面のうつ症状とその奥に隠れている病気に合わせた薬を、タイミング良く、適切に処方していくことが最も重要です。

    薬物療法
  • 精神療法

    精神療法

    薬物療法により気分変動が安定してきた後は、認知再構成のグループ療法やアサーション、マインドフルネス、デイケアなどの精神療法に移ります。

    新型うつ病の患者様にとっては、グループ療法で同じ悩みを抱える仲間と過ごし、自分の感情や楽になる考え方を新しく発見することが効果的です。これまでのネガティブな自己評価による悩みが、自分自身の弱さや甘えではなく、実は新型うつ病という治療可能な病気だということを理解して治療を進めます。

    精神療法

ご家族・周囲の方へ -FAMILY-

新型うつ病(特に気分変調性障害を抱える)の患者様は、自分の不完全な部分やネガティブな部分を人に知られないように不安を抱えて暮らしています。基本的には、自分に自信がなく対人関係に過敏になりすぎると、表現があいまいになり、自分の伝えたいことが伝わらず、相手が伝えたいこともキャッチできず、誤解が生じます。トラブルが起きても、たいていは我慢して過ごすが、我慢の限界がきたときに切れて怒りをぶつけてしまいます。また、そのことを後悔することで、再びネガティブになって悪循環に陥るパターンを繰り返すうちに、どんどんつらさが増していきます。

日本では、うつ病と言えば従来のメランコリー型と思われているため混乱しがちですが、新型うつ病の方が、つらいうつ症状が長く続くため、症状としては重いことが多く、気づかないうちに様々な合併症にかかることも少なくありません。(専門家ですら)病気だと認識されることが少ないため、患者様本人も病気とは知らずに苦しみを抱えていることを、ご家族や周囲の方ですら知らないケースも珍しくありません。そのため、「弱い」「わがまま」といった気持ちや性格の問題として片付けられやすく、ご家族や周囲の方が病気を理解して協力してあげることが大切です。

新型うつ病を発症している方は、次のようなサインを発するため、「以前と様子が違う」「何だか変だ」と感じた場合は、当院へご相談ください。

新型うつ病の人が発するサイン
  • 自分から自己主張しない
  • 不登校やいじめに遭っている
  • 話す内容があいまいで何をして欲しいのか伝わりにくい
  • 転校や転職、異動などの心理的負担が大きい
  • イヤなことを言われると切れやすい
  • 食べ過ぎたり寝すぎることが多々ある
  • 倦怠感や体が重そうにしている
  • ときどきハイテンションになる
  • 過呼吸などパニック発作が起きる
  • 会社を遅刻・欠勤することが増えた

新型うつ病の人が発するサイン

院長紹介

加藤 正
加藤 正 医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。