あらたまこころのクリニック「症状別のよくある質問」ページ

公開日: |更新日: 働く人の発達障害

大人のADHD

大人のADHD

日々の生活で、こんなことありませんか?

仕事中のミスが多くて上司に強く指摘されてしまった

物をよく失くしてしまう

段取りが組めない、スケジュールを予定通りにこなせない

自分の部屋がとんでもなく散らかっているのに片付けができない

こんな困りごとについて、「自分でもどうにかしたい気持ちはあるけど、どうしたらいいのかわからない」という方は大人のADHDかもしれません。

【目次】
1.そもそもADHDって?
2.「大人のADHD」の子ども時代
3.大人になってから見つかるADHD
4.ADHDを診断する難しさ
5.ADHDの治療方法

1.そもそもADHDって?

ADHDとは注意欠如多動性障害という発達障害のひとつです。

生まれ持った脳の特性で、その症状には多動衝動性不注意という特徴があります。

症状の質には個人差があり、物事に集中できなかったり、じっとしていられなかったり、後先考えずに行動してしまったり、その全てだったりします。

また、別の発達障害である自閉症スペクトラム障害を持っている方も多くいらっしゃいます。

2.「大人のADHD」の子ども時代

ADHDは生まれ持った脳の特性です。そのため、幼い頃から症状の特徴が見られます。

「小学生の頃から忘れものや失くしものが多かった」「落ち着きがなく、親や先生からもよく注意をされていた」といったエピソードがあります。大人になって発症するものではありません。

3.大人になってから見つかるADHD

しかし、子ども時代は問題にならなかった特性が、大人になって症状の現れ方が変化し、困りごととして目立ってくることがあります。

たとえばADHD特性の中の一つである衝動性は、「ネットショッピングが止められない」といったように、質を変えて現れることがあります。また、大人になるにつれて和らぐことの多い多動と違い、不注意は大人になっても持続します。

先延ばし癖や、時間の管理ができない、多数のものに手を付けてやりとげられないといった行動の傾向があり、仕事が上手くいかず慢性的な挫折感を感じ、うつ病になるケースもあります。

子どもの頃でも、忘れものをしたり、失くしものをしたりすれば困るのですが、大人になると問題がより大きくなることがあります。大人になれば自分で判断をすることが増え、その判断に責任を持つようになります。
だからこそ、不注意によるミスが責任問題になることも少なくないのです。

大人のADHDは、うつ病や不安障害の問題も同時に抱えていることが多いと言われています。あまり知られていないところでは、睡眠障害との関連があります。

ADHDの人は夜更かしになりがちです。段取りが苦手で思っていたようにやるべきことが片づかず夜遅くなってしまいがち、さらには寝る前の楽しみのゲームやドラマ、ネットサーフィンを途中でやめることが出来ず気づけば深夜。

脳の特性として寝つきの悪い人もいらっしゃるので、睡眠障害に陥りやすいということが言われています。

4.ADHDを診断する難しさ

ADHDは「あるか、ないか」ではなく、その特徴が「強いか、弱いか」という見方をするため、診断する際の線引きが曖昧です。また、その特性は状況や経過によって問題が現れるかどうかが変わります。子ども時代には困らなかったけれど、大人になってから困りごとが現れるということもあります。

しかし、大人の発達障害の診断には特有の難しさがあります。大人になってからでは、幼い頃の特徴的な行動や傾向を思い出すのは難しくなってきます。その上、ADHDに見られる行動や傾向は他の疾患の症状としても現れることがあります。そのため、他の疾患の影響についても考える必要があります。

また、衝動性の現れ方として興味のあるものに没頭してしまう過集中という特徴があります。

過集中になった後はぐったりと疲れ切ってしまい何もできなくなってしまうことがあるので、集中と疲労の波が時に双極性障害と誤解されてしまうことがあるのです。

当院にいらっしゃる患者さんでも以前に双極性障害と診断を受けたという方が受診されて、よくよくお話を伺うと、ADHDだったということがあります。この鑑別は大切で、お薬の処方も変わってきます。

5.治療方法

薬物療法も大切ですが、多くの場合、環境調整や、行動面の見直しをして、自分でできる取り組みの工夫をしていくことが大切です。

「もしかしてADHDかも?」と思ったら

ADHD特性は人によって様々なため、必ずしも治療が必要というわけではありません。しかしADHDによって日常生活や社会生活が上手くいかず困るのであれば、受診をおすすめします。

成長とともに環境や状況も複雑になります。そして困る場面が増えてくると心のバランスを崩し、うつ病や不安障害などになってしまう人も少なくありません。

早期からの適切なサポートによって生活の困りごとは減らすことができます。少しでもお困りでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。