あらたまこころのクリニック「自律神経失調症」ページ

自律神経失調症

AUTONOMIC DYSFUNCTION

AUTONOMIC DYSFUNCTION

ストレス要因によって
自律神経失調が生じ
心身の不調が強くなる病気です

交感神経と副交感神経の2つを自律神経と呼び、この自律神経が呼吸器や心臓、腸などの内臓と脳に連動することで、心と体を健康に保つために機能しています。日常のストレスや生活習慣の変化、ホルモンバランスの変化などによって自律神経が乱れることで、身体的にも精神的にも不調が持続し、ちょっとした体の不調(吐き気やめまい、頭痛など)が不安になり、会社を休むなど日常生活に支障が生じるようになる病気が「自律神経失調症」です。
病院で検査をしてもはっきりした病気にかかっているわけではないにも関わらず、吐き気や動悸、息苦しさ、体の痛み、食欲不振、めまい、腹痛、下痢、頭痛などの症状が現れ、心配・不安になります。

私たちの体は、体の不調と不安やつらい記憶がセットで脳に刻まれるため、ささいな体の不調がきっかけで過剰に不安になり、つらい記憶が思い出されることで、やる気が出なくなったり行動がおっくうになります。すると、体の不調がさらに気になり、持続する悪循環に陥ります。こうした体の不調と同時に、つらいことを思い出して不安になったり、落ち込んだり、やる気が起きないなど、心の不調も現れます。

なお、自律神経失調症は、起立性調節障害(中学生に多く朝起きられない障害)、身体表現性障害や心気症、不安神経症、心身症など様々な病名が付くこともあります。

自律神経の働き BALANCE

  • 自律神経のバランスが
    安定している状態

    自律神経のバランスが安定している状態

    交感神経と副交感神経の2つ(自律神経)のバランスが安定していると、心と体を健康に保つことができます。

  • 自律神経のバランスが
    乱れている状態

    自律神経のバランスが乱れている状態

    交感神経と副交感神経の2つ(自律神経)のバランスが乱れると、呼吸器、心臓、腸などの内臓の不調が脳と連動し、心と体に不調が表れます。

こんなお悩み
   ありませんか?
次のような症状は
自律神経失調症の可能性があります
  • 吐き気があり、食欲がない

    動悸や息苦しさがある

    喉に詰まるような違和感がある

    めまいやフワフワするような感覚がある

    息詰まりや胸の苦しさを感じる

  • 落ち込むことや不安に感じることが多くなった

    夜中に目が覚めて、なかなか寝付けない

    腹痛や下痢を繰り返す

    音や臭いなどに過敏になる

当院での治療法 -TREATMENT-

自律神経失調症は、体と心の両面から治療を行うことが大切であり、吐き気や動悸、めまい、体の痛みといった体の不調と、不安や心のストレスの悪循環を見つけます。処方薬によって今の体の不調を緩和すると同時に、ストレスと向き合いながら整理し、ストレスへの対処能力を身につけ、生活リズムを整えていきます。もともと心のストレスは目に見えないために気づきにくいものですが、特に自律神経失調症の患者様は、自分の気持ちを抑え込んでしまう傾向にあると言われています。そのため、体に現れている症状を心のSOSのサインと理解し、心の状態や考え方に問題がないかを見極めていきます。

ただし、自律神経失調症ではなく、体の疾患であることもあり得るため、そのような場合は専門の医療機関で検査をする必要があります。

  • 薬物療法

    薬物療法

    自律神経のバランスが乱れている場合は抗不安薬を処方します。また、不眠が強い場合は睡眠導入剤などを処方し、パニック障害の慢性身体症状や不安やうつ病の症状が強い場合はSSRIを処方しますが、薬物依存にならないよう慎重に処方します。

    体の不調や不安、ストレスを見極めた上で、処方薬だけに頼らない治療計画を立てながら、患者様それぞれに適した薬物療法を行います。

    薬物療法
  • 精神療法

    精神療法

    自律神経失調症の精神療法では、まずは生活リズムを整えて体に働きかけることから始まります。十分な睡眠やバランスの良い食事、適度な運動を取り入れることで、症状が改善することがあります。

    自律神経失調症として体に出ている症状は心のSOSのサインであるため、このサインを目印にしながら、心の状態や考え方に誤解がないか、問題解決にはどんなことが役に立つかを考えていきます。例えば、会社に行く前に吐き気や頭痛がある患者様であれば、「上司に叱責されるのがつらい」というきっかけを見つけ、同僚に相談したり、対人関係ストレスを和らげる対処スキルを身につけることで改善を図ります。

    精神療法
  • 認知行動療法

    当院では、認知行動療法を取り入れることで患者様の心と体の状態を整理し、自律神経失調症の原因となる考え方や振る舞いを変えていくことを目指します。

    ストレスなどが溜まるとやけ食いや衝動買いなどの行動に走る場合、その時はすっきりするためこうした行動が癖になりやすいのですが、後になって自己嫌悪や後悔し、悪循環に陥る可能性があります。そのため、ストレスを溜めない方法や、コーピング(ストレスが溜まった時の対処法)を身につけることが大切です。

    詳しくは「認知行動療法とは」をご覧ください。

  • アサーション

    人間関係やコミュニケーションがストレスに大きく影響している場合は、アサーションが有効な場合もあります。「思っていることを上手く伝えられない」「嫌だけど断れない」といった人間関係のストレスが重なることで、自律神経のバランスが崩れていることがあります。このような場合には、アサーション(自分と相手を大切にするためのコミュニケーション)のトレーニングによって、自己肯定感が高まり、ストレスを減らすことを目指します。

  • マインドフルネス

    ストレスを感じると、頭の中で過去の嫌な記憶を思い出してしまいますが、過去の失敗に悩んだり未来を心配してしまうことで、自律神経失調症の症状はますます悪化していきます。

    当院では、呼吸法や様々なエクササイズ、ボディスキャンなどを通して、過去や未来のことを考えて悩むのではなく、「今」の感覚に意識を戻していく治療を行います。今現在、自分が感じている感覚と丁寧に向き合っていくことにより、ストレスを避けるのではなく、ストレスと上手く付き合っていくことができるようになります。

ご家族・周囲の方へ -FAMILY-

患者様が日常生活を送る中で、吐き気や動悸、息苦しさ、食欲不振、めまい、腹痛、下痢、頭痛などの症状を訴えることが増えたり、内科などで診察を受けても原因がわからない場合は、自律神経失調症の可能性があります。

患者様が「体の調子が悪い」「会社を休む」「気分が悪い」などと訴えたときは、怠けていると決めつけるのではなく、耳を傾けて話を聞いてあげることが大切です。患者様本人が望む以上に励ましたり叱咤することは避け、周りから見て「以前と様子が違う」「何だか変だ」と感じた場合は、当院へご相談ください。

自律神経失調症の人が発するサイン
  • 吐き気や動悸などを原因に欠席・欠勤するようになった
  • 動悸やめまい、頭痛、腹痛、下痢などを訴えるようになった
  • 体の不調で落ち込んだり、外出を避けることが増えた
  • 家事や仕事などへの取り組みが低下した
  • 普段から落ち着きがないことが増えた
  • イライラしていて怒りっぽくなった

自律神経失調症の人が発するサイン

院長紹介

加藤 正
加藤 正 医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。