あらたまこころのクリニック「女性のうつ病」ページ

女性のうつ病

FEMALE DEPRESSION

FEMALE DEPRESSION

女性は、男性と比較して
約2倍の方がうつ病で悩んでいます

近年の晩婚化に伴う女性ホルモンの影響や月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、出産、更年期障害など、体の構造上、女性は不安やイライラ、落ち込みが起こりやすい傾向にあります。また、女性の社会進出に伴い、人間関係やコミュニケーションによるストレスを感じる機会も増え、女性が社会的に担う役割の複雑さと重さも大きな原因となっています。なお、女性の晩婚化などによって生涯の生理は300回以上増えていると言われており、うつ病だけでなく、様々な婦人科疾患も増加しています。

女性のうつ病は、男性に比べてパニック障害などの不安障害を併発することが多く、軽くテンションが上がったり落ち込んだりを繰り返す躁うつ(双極性障害2型)の症状が出ることが特徴です。

うつ病のきっかけとなりうる
女性のライフイベント
LIFE EVENT

  • 01

    喪失体験

    近親者との死別・失恋・離婚・子どもの独立・失業・災害など

  • 02

    対人関係

    パワハラ・セクハラ・仕事のトラブル・夫婦の不和・近隣トラブル・育児ストレスなど

  • 03

    環境の変化

    引っ越し・結婚・出産・進学・就職・転職・昇進・配置転換・長時間労働など

  • 04

    体調の変化

    がん・糖尿病・脳卒中・けが、更年期障害・月経前症候群(PMS、PMDD)・女性ホルモンの変化など

こんなお悩み
  ありませんか?
次のような症状は、
女性のうつ病の可能性があります
  • 何をしても楽しめなかったり、集中できない

    憂うつで涙が出る(特に生理の2週間前)

    人と話すのが苦痛で、休日一人で過ごすことが多くなった

    自分はダメだと責めたり、「死にたい」と思う

    なかなか寝付くことができない

    何を食べても美味しく感じず、食欲が湧かない

  • 頭痛や肩こり、体のだるさを感じる

    息苦しさや胸の苦しさを感じる

    些細なことでイライラしたり情緒が不安定になる

    昼も眠くて体がだるい、食べ過ぎる(過食)

    ちょっとした他人の言葉や態度で傷つきやすくなる

当院での治療法 -TREATMENT-

女性のうつ病と診断された患者様においても、ストレスの感じ方は一人ひとり異なるため、当院では、患者様の抱える悩みを整理し、対人関係(特に家族や身近な人などの近親者)の悩みや葛藤などに焦点を当てて一緒に考えていきます。また、女性のうつ病は、パニック障害などの不安障害や双極性障害を併発している場合も多いため、それぞれの治療と組み合わせて行なっていくことが大切です。

薬に頼らない治療を目標として、抗うつ薬の投薬量を必要最小限に抑えつつ効果が最大限発揮されるよう、薬の選定や投薬のタイミングを調整することはもちろん、カウンセリングや、同じ問題で悩む仲間とのグループ療法・アサーションによってストレス対処法を習得していきます。なお、当院では、女性医師やカウンセラー、スタッフが在籍しています。

  • 薬物療法

    薬物療法

    女性のうつ病は、通常のうつ病に加えて不安障害や双極性障害、不眠症、女性ホルモンの影響など多種多様な症状が現れるため、治療法もひとくくりにできません。そのため、患者様によって必要な薬の種類や投薬量が大きく異なるため、適切な判断を行って薬物療法を行います。また、女性ホルモン(生理)の周期に合わせた薬の調整が必要となります。

    当院は、将来の健康的な暮らしを見据え、抗うつ薬の投薬量や、他の抗うつ薬への変薬、増強療法などを段階的に行うなど、医学的根拠に基づいた薬物療法によって早期の症状改善を目指しながらも、維持療法を継続することによる再発防止を心がけています。

    なお、当院の院長である加藤正は、抗うつ薬の適正使用をテーマとした論文を発表し、2019年に日本うつ病学会から「下田光造賞」を受賞しています。

    薬物療法
  • 精神療法

    精神療法

    女性のうつ病に限らず、うつ病を患っている方は、まるで心にサングラスをかけて歩いているかのようにすべての物事が暗く見えており、「自分はダメな人間だ」「こんな人間と付き合いたいと思う人はいない」「この先もつらい状況はずっと続くだろう」などと悲観的に考えてしまいます。

    女性のうつ病の場合は、対人関係(特に家族や身近な人などの近親者)の悩みや葛藤への対処が解決への糸口になることが多く、対人関係療法的なアプローチやコミョニケーションスキル向上も視野に入れて治療を行います。

    精神療法
  • 認知行動療法

    女性のうつ病を患っている場合は、悪いことばかりが目につき、何事においても悲観的に考えてしまい、自分を責めて、さらに気分が落ち込むという悪循環が生まれます。

    このような悪循環を断ち切るため、認知行動療法では「3つのC(認知、コミュニケーション、コントロール)」をもとに、治療教育(病気を知ること)や認知再構成法などを行う「認知的技法」と、セルフモニタリングや対人関係の改善などを行う「行動的技法」を用いて、柔軟な考え方や問題解決力などを習得します。物事の受け取り方や見方を変えていくことにより、「薬や他人に頼らなくても自分の力でできるんだ」という自己効力感(コントロール感)を養います。

    詳しくは「認知行動療法とは」をご覧ください。

  • 対人関係療法

    うつ病は、対人関係がストレスの原因になり、ストレスによって作られる心の状態がさらに対人関係をゆがめ、悪循環の迷路に入ってしまうため、このスパイラルを根本から解決する必要があります。対人関係療法では、女性のうつ病と人間関係の関連性に注目し、自身と他者との間に存在する4つの領域にある問題を明確にした上で人間関係の改善を目指します。

  • 復職デイケア(リワークデイケア)

    復職デイケアでは、復職・就職はもちろん、女性のうつ病を再発することなく安定して就労や日常生活を続けるため、強いストレスを感じても自力で乗り越えるための力を養うことを目標としています。特に、社会において女性が担う役割が多様化してきた現代だからこそ、復職に向けてしっかりとアプローチすることが必要です。

    当院では、「心の地図」「復職への設計図」作成による心の整理を行うだけでなく、生活リズムの改善や、デイケアメンバーとの交流による対人関係能力の向上を目指します。また、認知行動療法やアサーション、オフィスワーク、ジョブミーティングなど、患者様にとって最善のプログラムを実施していきます。

DAY CARE

復職デイケアについて

ご家族・周囲の方へ -FAMILY-

女性のうつ病のサインは、本人では気づきにくく、中には気づいていても「家族や職場の人に心配をかけたくない」という思いから、誰にも相談できずに悪化してしまうケースも少なくありません。

女性のうつ病の症状や程度は人によって異なりますが、多くは食欲の減退や不眠といった身体的症状や、仕事や家事が手につかないといった行動的症状など、周りから見てわかりやすいサインを発します。特に日本の女性は睡眠時間が短く、これによって女性のうつ病が引き起こされているケースがあるため、睡眠をしっかり取れるように家事などのサポートをしてあげることも重要です。

また、女性のうつ病は、身体や行動から症状が改善されはじめ、精神的な症状は遅れて改善する傾向にあるため、治りかけの時期には、家族や周囲の方には改善してきたように見えても、本人はまだ精神的なつらさを感じている場合があります。「こんなにつらいのに家族は分かってくれない」というギャップが発生しやすい時期のため、身体・行動・精神の回復に時間差があることを認識して接することが大切です。

  • 周りの人から見える

    STEP 1

    身体的症状の改善

    食欲の減退・不眠・体調不良 など

    STEP 2

    行動的症状の改善

    仕事・家事が手につかない
    (元気がない・落ち込む など)

  • 本人の心の中

    STEP 3

    精神的症状の改善

    自分を悲観する・イライラする など

POINT

身体・行動・精神の回復に時間差があることを認識して接することが大切です。

女性のうつ病の人が発するサイン
  • いつも落ち込んでいて表情が暗い
  • 生理の2週間前くらいからイライラして、落ち着きがない
  • 以前よりも涙もろくなった
  • 急にテンションが高くなる
  • 「死にたい」という言葉を発するようになる
  • 仕事や家事などの作業が遅い、または些細なミスが増えた
  • 会社を遅刻・欠勤することが増えた
  • 以前よりも飲酒量が増えた
  • 些細なことでイライラしたり情緒が不安定になる
  • 昼も眠くて寝ている、食べ過ぎる(過食)

女性のうつ病の人が発するサイン

院長紹介

加藤 正
加藤 正 医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。