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摂食障害の治療の案内 あらたまこころのクリニックでできること、できないこと

摂食障害の治療の案内 あらたまこころのクリニックでできること、できないこと

【目次】
摂食障害とは 拒食症(神経性やせ症)と過食症(神経性過食症)
効果的な摂食障害治療のために
今は過食嘔吐が必要だけれど、いずれ心のバランスがとれてきたら減る。という考え方
摂食障害の症状
おわりに

はじめに

これから摂食障害(主に過食症)について、何回かに分けてお伝えしていきます。

あらたまこころのクリニックでの30年間の治療や自助グループ(患者自身の集まり)、家族機能研究所、さいとうクリニック勤務での経験を元にして、患者さんや家族の声なども紹介しながら、まとめてみました。

摂食障害とは?から始まり→架空の事例→こころの在り方→治療まで、盛りだくさんの内容ですが、わかりやすい入門記事になるように努めました。興味のある方は一度、ご一読ください。

今回は“摂食障害とは?”。入門の入門編です。

※拒食症については、低体重による内科的な処置が、あらたまこころのクリニックでは対応できないため、詳しくは触れていません。過食症、過食嘔吐症に限定した内容になっています。

摂食障害とは

摂食障害は、2つに大きく分かれます。

    拒食症と言うのは体重が少なく生理もなくなってしまっている人

    過食症普通あるいはそれ以上の体重で過食の症状を持っている人と言うことになります

拒食症は、さらに

制限型(食べないでやせているタイプ)

ムチャ食い/排出型(過食嘔吐、下剤乱用などを伴うタイプ)

に分けられます。

 摂食障害は、体重や体型に強いこだわりをもち、「太る」恐怖から、過度に食事量を減らしたり、下剤や自分で嘔吐したりする行動(排出行動)が習慣化します。生理が止まったりするので産婦人科、食行動の異常や顔が腫れたりするので内科の病気、と一見、思われがちですが、実は心の病気、対人関係の病です。自分に自信がなく、他人からの言葉や視線に傷つきやすく、他人からどう見られるか?いつも気にして、自分の気持ちを話せず、つらい気持ちをため込んでしまいますうつ病、パニック障害、社交不安障害、対人恐怖、あがり症、不眠症、気分変調性障害、女性のアルコール依存症などの嗜癖行動も併発することが多いです。心療内科、精神科、心身医学領域が大きく関わる病気です。

ですから拒食症と過食症とでは、治療方針が全く違ってきます(後でお伝えします)。

一般に、拒食症と呼ばれる病名は、神経性やせ症、神経性無食欲症、神経性食不振症、アノレシア・ネルボーザです。排出行動が見られるかによって、制限型と過食/排出型に分かれます

過食症と呼ばれる病名は、神経性過食症、神経性大食症、ブリミア・ネルボーザです。

  摂食障害には、病名が、たくさんあって混乱するので、当ブログでは拒食症、過食症、過食嘔吐症(過食症で嘔吐や下剤乱用などの排出行動習慣あり)と呼びます。

病名などが、たくさんあるので、表にまとめてみました。

効果的な摂食障害治療のために

一言で摂食障害といっても、人それぞれに違います。

 あらたまこころのクリニックで対応できるのは、その一部。極度に低体重の患者さんの場合は、体重管理や内科的な治療がなければ命にかかわるため、入院/食事/看護などの24時間体制の内科設備や人員が必要になってきます。また、カウンセリングなど精神療法は効果が低いと言われています。そのため、クリニックでの対応は難しいのです。

 あらたまこころのクリニックで治療ができるのは、低体重ではない標準体重以上の範囲に収まる女性になります

 治療目標は、過食嘔吐をすぐに止めるのではなく、ひとまず置いておいて、心のバランスや対人関係に焦点を当てた治療になります。定期的に予約をとって外来通院で行います。

 治療の核は、認知行動療法やいろんなグループ治療になりますので、集団での治療が可能な人に向いています。人が極端に怖いという方や18才以下は、避けた方が良いです。

今は過食嘔吐が必要だけれど、いずれ心のバランスがとれてきたら減る。という考え方

ある患者さんは、過食嘔吐行動を「雪道を走る車の運転」に例えて

いきなり、過食を止めるというのは雪道を走っていて、急にブレーキをかけるようなもの」

「エンジンブレーキをかけてゆっくり止まった方が、安全ですね」

とおっしゃっていました。

過食や嘔吐は、心のバランスが崩れ、つらい気持ちを解放する役目があり、それでバランスが保たれてしまいます治療で目指すのは、過食嘔吐に頼らなくても、心のバランスを取れるようになることです。そうやって手に入れたバランスは、かつての過食嘔吐で得たバランスとは、比べ物にならないほど安定しているので、心のバランスが取れてくると過食嘔吐は自然と止まってくると言う考え方です。

目標は、過食嘔吐を止めるのではなく、大波小波を乗り越えながら、気持ちを言葉で話せるようになり、対人関係が楽になることです。

これは、クリニック任せではなく患者さんと家族の治療協力が不可欠で、協働作業で進んでいくことになります。

対人関係の治療により、過食嘔吐が減っていくプロセス

摂食障害の症状

拒食症、神経性やせ症

  10~19才に多く40才以上は稀で90%が女性です。何らかの出来事(容姿について指摘されるなど)でダイエットを始めたり、胃腸症状・食欲不振になったりして、それを契機に発症します。

拒食症は①極端に食事を取らなくなるタイプ(制限型)と、②食べては吐くを繰り返して低体重を維持するタイプ(過食/排出型)があります。体重が標準体重の80%以下をやせの基準としています。

極端なやせ願望と肥満恐怖があるため、明らかに痩せているのに、体重増加を極度に恐れ、過度の食事制限や運動にのめり込むこともあります。痩せていくと達成感が楽しく気分が高揚し、活動的になります。飢餓依存(マンゲルズフト)の状態です。

そうして低栄養状態に陥ると、低血圧、低血糖、腎不全などの内臓の障害、骨粗しょう症、月経が止まるといった症状が現れます。

半分くらいの方は、“飢餓からむちゃ喰い(過食)→体重増加を防ぐために吐く/下剤を乱用したりする”というパターンが習慣化し、過食/排出型へと移行します。

過食症、神経性過食症

  20-29才に多く90%が女性です。多くは発症前にダイエットを経験し、拒食症から移行することもあります。

 一度に大量の食糧を摂取する過食と、その上で吐いたり下剤を必要以上に飲んだりしてカロリーを排出しようとする代償行動がみられます。過食の際は、食べることを止められない無力感と自己嫌悪、罪悪感が伴います。「過食→絶食や嘔吐、下剤乱用」のパターンが、3ヶ月間にわたり週2回以上みられる場合に診断します。自己評価は体型・体重に強く影響され、やせ願望や肥満恐怖があります

こういった排出行動の後、とても、みじめな気持ちになり、「自分は意志が弱いダメな人間だ」と自分を責めてしまいます。でも、過食があるから生きていけるのです。必要だから食べ吐きしているのです。

食べ吐きしていても、何ひとつムダなことはありません。

自分を責めないで、ここから回復していきましょう。

アメリカで最も有名な回復者カウンセラーのジェニーン・ロスはこういった行動を「食べ物が愛になる時」という著作の中で「心のギプス」と名付けています(日本語訳「食べ過ぎてしまう女たち」愛の依存症 講談社)。

過食は、心の傷を守ってくれるギプスのようなものです

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は、摂食障害について、その分類、症状、治療の際の考え方など、についてみていきました。

摂食障害は拒食症、過食症に分かれます。

あらたまこころのクリニックでは、過食症の成人女性で①低体重ではない②予約を取って定期的に外来通院が可能な方③心のバランスや対人関係に焦点を当てた話し合いができる④集団の治療にも参加ができるに、外来でのカウンセリングやグループ療法を行っております。

過食行動は、対人ストレスで心のバランスが崩れている時に、急場しのぎでバランスを取るために生じているので、過食症治療では、過食に頼らずに心のバランスを保てるようになる事が治療の目標になります。あらたまこころのクリニックでは、特に対人関係に焦点を当てて、カウンセリングやグループ療法を行っております。

興味のある方は一度、医師にご相談ください。

 

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