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孤独感は解消できる?孤独で不安を感じる原因から対処法まで解説

孤独感は解消できる?孤独で不安を感じる原因から対処法まで解説

ふとした時に孤独感を感じることはありませんか?孤独感は、恋人や友達がいないなどで一人の時間を過ごしている時だけでなく、誰かと一緒にいる時にも感じることがあります。

何をしていても「自分はひとりぼっちなんだ」と強烈な孤独感や寂しさに襲われ、不安や焦りなどのネガティブな感情に捉われると、大きなストレスとなって心身に不調があらわれることもあります。

今回の記事では、誰もが経験する孤独感と向き合うための、孤独で不安を感じる原因から対処法までを解説します。

孤独感とは

孤独感とは、「自分がひとりぼっちだ」と感じる精神的な状態です。実際にひとりぼっちであるかは関係がなく、大勢の中にいても孤独を感じることがあります。一人で過ごしても満たされている人もいれば、誰かと一緒に過ごしていても心にぽっかり穴が空いたような空虚な気持ちになる人もいます。

「気軽に連絡できる人がいない」「休日はいつも一人」「知り合いがいない土地で一人暮らし」など、孤独感を感じる場面は人によってさまざまですが、孤独感を解消できずにいると、不安に押し潰されそうになるなど心身に悪影響を及ぼします。

孤独で不安を感じる原因とは

孤独感は、社会とつながりがありながらも不安や悩み、寂しさを抱えている状態です。こうした主観的に「自分は孤独だ」と不安になる原因は、本人が置かれている状況や捉え方によってさまざまですが、主に以下の原因が考えられます。

  • 自分に自信がない
  • マイナス思考
  • 人と比べてしまう
  • 一人の時間に苦手意識がある

自分に自信がない

自分に自信がない人は、自分を肯定することができず「自分はなんてダメなんだ」と思うと同時に、「誰も分かってくれない」「自分は誰にも必要とされていない」と孤独を感じやすくなります。自己肯定感が低いことで相手に対しても疑いの気持ちを持ちやすくなるため、自ら孤立を深めてしまうケースもあります。自分の存在意義や価値を感じられなければ感じられないほど、孤独感や不安を常に抱えている状態になります。

マイナス思考

マイナス思考な人は対人関係においても相手の言動をネガティブに捉えてしまう傾向があります。そのため実際はそうでなくても、「自分は嫌われているのではないか」「自分のせいで問題が起きているのではないか」と不安になったり自分自身を責めてしまい孤独を感じてしまいます。

さらにマイナス思考が強くなると、自分が人と関わることで相手に嫌われたり迷惑をかけることを恐れるため、なるべく人と関わらない生活を送るようになります。

人と比べてしまう

人と比べる癖がある人も孤独で不安を感じる原因になります。現代ではSNSなど他人の日常を知る機会が増えたため、充実して見える人と自分を比べてしまい「実は自分は孤独な人間なのではないか」と不安を感じやすくなります。

人と比べてしまうと劣等感や嫉妬心などネガティブな感情が起こりやすく、マイナス思考の悪循環を生み出してしまうため注意が必要です。

一人の時間に苦手意識がある

一人でいる時に何をしていいのかわからない人は、一人の時間に苦手意識があり「一人=悪いこと」と考えてしまいがちです。一人にならないために常に誰かと会うなど、人に依存しやすくなります。

そのため少し人と離れただけでも、「取り残されてしまった」と寂しくなったり不安を感じて孤独感に襲われてしまいます。

孤独感を感じた時の対処法

人は一人では生きていけませんが、常に誰かと居続けることはなく、一人の時間は必ず誰もが経験します。

しかし、一人になった時に孤独感で寂しさや不安に襲われてしまう時は、どのように対処したら良いのでしょうか?孤独感を感じた時にできる以下の対処法をご紹介します。

  • 孤独感を自然な感情として受け止める
  • SNSから離れる
  • 信頼できる人に相談する
  • 運動など体を動かす
  • 一人でも楽しめる趣味を見つける

孤独感を自然な感情として受け止める

孤独感は人にとって自然な感情です。必要以上に不安や焦りを感じることはありません。まずは「自分は今、孤独感を感じているな」とありのままの感情を受け止めて、自分の内面に目を向けていきましょう。見方を変えるたり自分自身を理解することで、新たな気づきが得られ成長のきっかけとなることがあります。

SNSから離れる

SNSは便利な反面、他人と自分を比べてしまい孤独を感じやすくなります。誰かと比較して「自分は一人だ」と孤独感に襲われた時は、SNSから離れてみましょう。

他人と比較して劣等感を感じるだけでなく、ネガティブな情報にも敏感になるため気分が落ち込みやすくなります。できるだけリラックスしたり好きなことをして、心が落ち着く時間を過ごしましょう。

信頼できる人に相談する

自分が「孤独だ」と感じている時は、「自分なんかが相談しても相手に迷惑だろう」「きっと誰も分かってくれない」と心を閉ざしてしまいがちです。

しかし、自分が思い込んでしまっているだけで、事実は異なっていることも少なくありません。思い切って友人や家族など、信頼できる人に孤独を感じていることを打ち明けてみましょう。話をするだけでも気持ちが楽になったり、解決の糸口が見つかることがあります。

運動など体を動かす

運動はいわゆる「幸せホルモン」と言われる脳内物質を活性化させるため、一人で何をしていいか分からない人には特におすすめです。脳内物質が活性化すると心や体を安定させるため、ストレスの解消や気持ちが前向きになる効果が期待できます。運動が苦手な人は、ストレッチやウォーキングなど、軽く体を動かすだけでも効果的です。

一人でも楽しめる趣味を見つける

孤独感にとらわれなくなるためには、何か集中したり没頭できるものがあると良いでしょう。自分一人でも楽しめる趣味を見つけると、今まで苦手だった一人の時間が、逆に趣味を楽しむための貴重な時間に変わります。

まずはサークルなど、人が集まるコミュニティに参加してみるのも良いでしょう。趣味の場で得たさまざな情報から、自分にぴったり合った趣味が見つかるかもしれません。

孤独感は病気のサイン?知っておきたい心の病気とは

孤独感は誰もが経験する自然な感情ですが、孤独感に押しつぶされそうなほど辛く感じたり、孤独感以外にも激しい気分の落ち込みや、引きこもりになるほど人との接触を避けてしまうケースは病気のサインかもしれません。

孤独感に関連する知っておきたい以下の病気についてご紹介します。

  • うつ病
  • 社交不安障害

うつ病

うつ病は気分障害の一つで、何をしても楽しめず、強い気分の落ち込みが続くことによって日常生活に支障が出る病気です。脳のエネルギーが欠乏した状態のため、物事を悪い方にばかり考えるようになり孤独感や絶望感が強くなります。

うつ病の症状は、気分の落ち込みや意欲の低下の他にも不安や焦り、イライラ、無関心、集中力の低下などの精神症状や、頭痛、めまい、動悸、食欲不振、不眠などの身体症状にもあらわれます。

社交不安障害かも?と悩まれている方はこちらの診断記事「うつ病の診断テスト(チェックリスト)|20個の設問に答えて自分の今の状況を把握してみよう」をご確認ください。

症状や程度は人によってさまざまですが、うつ病は悪化すると「死んでしまいたい」と思うほど辛い気持ちを抱えたり、実際に行動に移してしまうことがあるため注意が必要です。早期に発見し、適切に治療を行うことがとても大切です。

うつ病の治療方法について

うつ病の治療は「薬物療法」と「精神療法」があります。薬物療法では抗うつ薬を中心に治療を行いますが、症状が改善しても再発しやすいのがうつ病の特徴です。すぐに治るというものではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら長期的に改善に向かっていきます。精神療法は薬物療法と組み合わせることで治療の効果が高まることが分かっており、再発防止にも役立ちます。

うつ病を患っていると物事を否定的に捉えてしまうため、悲観的になったり自分を責めるなど、ますます気分が落ち込む悪循環が生まれます。この悪循環を断ち切るために有効なのが、精神療法の「認知行動療法」です。

認知行動療法を始めて聞いたという方は「認知行動療法とは?」の記事を合わせてご覧ください。

認知行動療法では悪循環の原因となる認知の歪みに気づき、自分の考え方や問題を整理します。さらに面談やワークを通して物事の見方や考え方を修正し、コミュニケーションスキルを改善することによって、何か問題が起こった時に「問題が起きても大丈夫」と自分の力で乗り越える心の力を養います。

社交不安障害

社交不安障害は不安障害の一つで、何か失敗して人前で恥ずかしい思いをしたり、人に注目をされる状況に強い不安や恐怖を感じる病気です。

人前で話す、食事をする、字を書くなど、恐怖を感じる苦手な場面は人によってさまざまですが、不安や恐怖によって動悸やふるえ、発汗や赤面などの身体症状が伴うため、そうした状況を避けるようになります。症状が悪化すると、人目を避け外出ができず、引きこもりになってしまうケースもあります。社交不安障害は「気の持ちよう」「怠けている」など、症状の辛さが周囲に理解されにくいため、孤独感に陥りやすくなります。

社交不安障害かも?と悩まれている方はこちらの診断記事「社交不安障害(あがり症)の診断とは?セルフチェックできるチェックリストをご紹介」をご確認ください。

社交不安障害の治療方法について

社交不安障害の治療法も「薬物療法」と「精神療法」があります。薬物治療では、不安感や緊張、身体症状など症状に合わせて薬剤が処方されます。

社交不安障害は薬だけで改善するケースもありますが、不安を引き起こしやすい考え方のパターンが改善されないと、完全に症状がなくなることはなく再発のリスクもあります。そのためうつ病の治療と同じく、考え方のパターンを修正するために認知行動療法が有効です。また、対人場面においてストレスを感じやすい社交不安障害は「アサーション」が有効な場合もあります。

「相手を不快にさせてしまったらどうしよう」「変なことを口にして恥をかいたらどうしよう」と過剰に気にしてしまい、言いたいことが言えずにいるとストレスが重なり自律神経の乱れを引き起こします。アサーションは、相手だけでなく自分も大切にするコミュニケーションスキルです。アサーションを身につけることでストレスを減らし、自己肯定感を高めることができます。

まとめ

医療法人和心会あらたまこころのクリニック

孤独感とは、実際にひとりであるかは関係がなく「自分がひとりぼっちだ」と感じる精神的な状態です。社会とつながりがありながらも寂しさや悩みを抱え、主観的に「自分は孤独だ」と不安になります。孤独感を感じる場面は人によってさまざまですが、以下のような原因が考えられます

  • 自分に自信がない
  • マイナス思考
  • 人と比べてしまう
  • 一人の時間に苦手意識がある

孤独感は誰もが経験する自然な感情ですが、孤独で寂しさや不安に襲われてしまう時は、以下の対処法を試してみましょう。

  • 孤独感を自然な感情として受け止める
  • SNSから離れる
  • 信頼できる人に相談する
  • 運動など体を動かす
  • 一人でも楽しめる趣味を見つける

孤独感を解消できずにいると、不安や焦りなどのネガティブな感情に支配され、とらわれてしまう、大きなストレスとなって心身に不調があらわれることがあります。強い不安感や人との接触を避けるようになると、以下の心の病気の可能性があるため注意が必要です。

  • うつ病
  • 社交不安障害

孤独感に押しつぶされそうになったり、心や体に不調を感じたら早めに心療内科や精神科を受診しましょう。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。