あらたまこころのクリニック「思春期の不登校・引きこもり(中学生以上)」ページ

思春期の不登校・引きこもり
(中学生以上)

FUTOUKOU HIKIKOMORI

FUTOUKOU HIKIKOMORI

心身ともに成長する思春期は
精神疾患が発症するリスクも高まります

不登校とは、病気など以外の理由で学校を年間30日以上欠席している状態で、不登校の児童・生徒は約12万人にのぼると言われています。また、ひきこもりとは、学校や会社、家庭などの社会に参加せず6カ月以上の期間にわたり家庭に籠っている状態と言われています。日本では、少なくとも約26万世帯において不登校や引きこもりが起きていると推定されています。

思春期の子供たちは、心身ともに子供から大人になっていく過程で様々な課題に直面し、不安定な時期です。不登校や引きこもりといった表に見える状態の一部には、気分変調性障害やうつ病、パニック障害、社交不安障害(あがり症)といった不安障害、強迫性障害、適応障害、統合失調症、双極性障害などの様々な精神疾患が隠れていたり、不登校や引きこもりの過程で精神疾患を併発している場合があります。

これまで「特に問題もなく良い子」で過ごしてきた子が、ある日から不登校や引きこもりになるということも珍しくありません。「みんな」が通っている学校に通わない子は、怠けているように受け止められてしまうこともありますが、不登校の背景は様々であり、一人ひとりの状態を慎重に捉えて見守りながら必要に応じた働きかけを行うことが大切です。

当院での治療法 -TREATMENT-

思春期の不登校や引きこもりという現象に目が向きがちですが、当院では、お子様を取り巻くご家族の考え方やコミュニケーションについて見つめ直し、視野を広げるための家族グループ療法を行なっていきます。ご家族の問題や変化をお子様が背負い、その結果として不登校や引きこもりになっているケースはよくあることです。お子様だけの問題ではなく、親御様が家族の問題として治療や改善に一緒に取り組むことが大切です。

ただし、当院は児童精神科ではないため、児童(小学生以下)の治療を行うことはできません。

  • 精神療法

    精神療法

    当院では、ご家族に向けたプログラムやお子様に対するカウンセリングなどを行い、ご家族の協力を経ながら、お子様本人のコミュニケーションを健やかなものに戻すことを目標にします。

    なお、治療を行う際は、必ずご家族の方も一緒に来院していただきます。近年は、社会の変化とともに家族のあり方も変わり、昔のような家族間の介入が難しい時代となりました。不登校や引きこもりは、家庭での環境が大きな作用をもつことが多いため、家族や周囲の方の協力が必須です。

    精神療法
  • ご家族のためのプログラム

    1991年の開院以来、当院は、不登校や引きこもりのご家族向けのグループ療法やワークショップを開催してきました。「システムズアプローチ(子供を変えるためには、先に親が変わる)」という家族療法を主として治療を行ってきました。

    まず、不登校や引きこもりという問題の理解を深め、ご家族自身が健康を取り戻し、変わっていくことが大切です。このプログラムでは、子どもの理解を深める講義やコミュニケーションについて学び、ご家族の方ご自身が自分の生活を豊かにすることなどについて学び、考えていきます。

  • お子様へのカウンセリング

    当院のスタッフや公認心理師がカウンセリングを行い、お子様が話したい話題で対話を続けることで、「自分が自由に話しても良いんだ」「自分が好きなものを好きでいて良いのだ」「嫌いなものは嫌いでも良いのだ」という感覚を体験しながらカウンセラーとの人間関係を作っていきます。自由に話せるコミュニケーションの中で、お子様本人が持っている思い込みやコミュニケーションのパターンに気づいてもらい、生活リズムを整えていきます。できるところからコミュニケーションのパターンを増やし、考え方の幅を広げていくことを目指して取り組んでいきます。

    カウンセリングにおける注意事項 カウンセリングにおける
    注意事項

    お子様へのカウンセリングは、お子様が希望される場合に限ります。カウンセリングを親が強制することは、かえって逆効果となるおそれがありますので、絶対にやめてください。

ご家族・周囲の方へ -FAMILY-

思春期に入ると、何でも親に話すということがなくなり、気持ちを上手く言葉にできずにイライラすることがあります。親は子供が何を考えているのか分からなくなり不安になりますが、一人の人として精神的に自立していく時期には必要なことです。

お子様のSOSに気づくためには、「親としてしっかりしなければ」と力が入りすぎた状態を少し緩めることが大切です。「良い親」にならなければという思いは、世間の目や社会的な評価を気にしすぎると膠着状態に陥ることがあるため、ご家族ご自身が他人の評価から自由になり、お子さんと向き合っていく必要があります。

不登校や引きこもり状態の改善には、コミュニケーションが重要です。まずは聞き上手になり、お子様が何かを話し始めた時は、否定や反論することなく誠意をもって話をしっかり聞いてあげてください。たとえお子様の誤解であったとしても、まずは訂正せずにしっかりと話を聞いてあげて、焦らず一緒に考えながら対話をしていきましょう。

不登校・引きこもりの人が発するサイン
  • 学校に行きたくないと言うようになった
  • 家から出なくなり、社会との交遊を嫌うようになった
  • 頭やお腹が痛いなどの身体症状を訴えるようになった
  • 何もする気が無く、横になることが増えた
  • 日頃からイライラして、家族にあたるようになった
  • 家族に対して様々な要求や命令をするようになった
  • 昼夜逆転の生活をするようになった
  • 眠れなかったり、寝てもすぐに目が覚めている
  • 笑顔や笑うことが少なくなった

不登校・引きこもりの人が発するサイン

院長紹介

加藤 正
加藤 正 医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。