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パニック障害になりやすい人の特徴とは?性格傾向や年代、性別での傾向までご紹介

パニック障害になりやすい人の特徴とは?性格傾向や年代、性別での傾向までご紹介

パニック障害とは、激しい動悸や呼吸困難、めまいがするなどの発作が突発的に繰り返され、またいつ起きるのか常に不安や恐怖を抱えてしまうことで、日常生活に支障が出る病気です。パニック発作は、日本人の10人に1人が一生のうちに経験すると言われており、発作の症状自体はめずらしいものではありません。

ほとんどの人がパニック発作を起こしても治療なしで回復しますが、そのまま進行しパニック障害にまで至る人がいます。今回は、パニック障害になりやすい人の特徴や、パニック発作が起きた時に、自分でできる対処法を解説していきます。

そもそもパニック障害を引き起こす原因とは

パニック障害を引き起こす原因は、明確には分かっていません。しかし、脳内の神経伝達物質に何らかの異常が生じることによって、パニック発作を引き起こすのではないかと言われています。自律神経が緊張状態になると、動悸や呼吸困難、冷や汗などの症状があらわれます。パニック障害の症状については「パニック障害の症状とは?」の記事で解説しているためぜひ合わせて読んでみてください。

また、パニック障害を発症する前に、ストレスがかかる経験をしているといった人が多いことから、ストレスや疲労など、心身の不調が引き金になっていることが考えられます。

パニック障害になりやすい人の特徴や性格傾向

パニック障害になりやすい人は、もともと不安や恐怖心が強い傾向があると言われています。多くの場合、強いストレスが発症の引き金となっていますが、心理的なストレスだけでなく、肉体的な疲労といった身体的なストレスも関係しています。

パニック障害になりやすい人の特徴や性格の例は以下のようなものがあります。必ずしも以下の傾向があるからパニック障害になるというわけではないため注意しましょう。

  • 精神的に追い詰められている
  • 真面目で完璧主義
  • 人間関係のストレスを感じている
  • こだわりが強い
  • 感受性が高い
  • 肉体的な疲れを感じている
  • 過去にうつ病などに罹ったことがある

それぞれの特徴や性格については以下で解説していきます。

精神的に追い詰められている

パニック障害は、仕事や家事、育児などが忙しく、常に何かに追われて息つく暇もない状況や、トラブルを抱えているなど、精神的に追い詰められている状態が続いている時に発症することが多くなります。精神的に追い詰められると、強い不安が起こるため、それが引き金となってパニックを発症します。

真面目で完璧主義

パニック障害の人の中には、真面目で完璧主義といった傾向も少なくありません。何でも完璧にこなそうとがんばり過ぎると、無理をしてしまって心身に不調をきたしたり、できないことにばかり注目してしまい、ストレスを感じやすくなります。

人間関係のストレスを感じている

職場や友人、家族など、人間関係のストレスを抱えている人も、パニック障害を引き起こしやすいと言われています。相手への気疲れや、ネガティブな感情が、ストレスを大きくしパニックを発症する引き金になっていきます。

こだわりが強い

こだわりが強い人は、自分のこだわりから外れてしまった時に、強い不安や不快感を感じ、パニック障害を引き起こしやすくなります。自分の考えで対処できない場面では、喪失感や自信の低下などにつながり、ストレスを増幅させてしまうことがあります。

感受性が高い

感受性が高い人は共感力が高く、他人の感情の影響を受けやすい傾向があります。イライラや怒りなど、ネガティブな感情の影響が続くと、自分自身にとってのストレスも大きくなり、パニック障害を引き起こしやすくなります。

肉体的な疲れを感じている

ひどい疲れや睡眠不足など、肉体的な疲れを感じている場合もパニック障害を引き起こしやすくなります。疲労物質と言われる乳酸は、体に溜まるとだるさや肩こりの原因となるだけでなく、パニック障害も引き起こすと言われています。

過去にうつ病などに罹ったことがある

パニック障害が重症化すると、うつ病を併発しやすいことは知られていますが、過去にうつ病に罹ったことがある人もパニック障害になりやすい傾向があります。パニック障害は、自律神経のバランスが崩れておこる症状のため、自律神経失調症からパニック障害を発症することもあります。

パニック障害になりやすい性別

日本人の100人に1〜2人が経験しているパニック障害ですが、男性に比べて女性の方がなりやすいと言われています。その数は男性の2〜3倍ほど。明確な理由はわかっていませんが、生理前や更年期にパニック発作が起きやすいことから、女性ホルモンの影響も考えられます。

パニック障害になりやすい年代

パニック障害になりやすい年代は男女ともに20~30歳が最も多く、60歳以上になると減少する傾向があります。パニック障害の発症は、男性のほうがやや若い傾向にあり、女性は30代が一番多くみられます。

パニックや発作が起きた時の自分でできる対処法

パニック発作は自分の予想のつかないところで突然起きます。もしもパニックや発作が突然起きてしまったら、慌てずに下記の自分でできる対処法を試してみましょう。うまく呼吸ができないなど、発作によって「死んでしまうかも!」と強い不安に襲われる方もいらっしゃいますが、パニック発作で死ぬことはありません。からだやこころの緊張をやわらげ、不安な気持ちを鎮めることが大切です。

パニック障害で苦手な場所がどんどん増えていくという方は、「パニック障害で苦手な場所が増えていく  広場恐怖とは?」の記事も合わせて読んでみてください。

パニックや発作が起きた時の自分でできる対処法の例としては以下のようなものがあります。具体的な方法について解説していきます。

  • ゆっくり呼吸をする
  • 意識を別のところに向ける

ゆっくりと深呼吸をする

ゆっくりとした深い呼吸は、副交換神経を優位にし、こころとからだの緊張をほぐしてくれます。呼吸がしやすい体勢をとり、口からスーッとゆっくり息を吐き出しましょう。からだの力を抜いて、時間をかけて息を吐き切ることがポイントです。息を吸う時は、鼻から吸い込みます。いい匂いをかぐイメージで、ゆっくり肺いっぱいに息を吸い込みます。普段呼吸が浅い方は、なかなか深い呼吸が難しい場合があるので、普段から少しずつ長めの呼吸を意識すると良いでしょう。

意識を別のところに向ける

パニックや発作が起きると、心臓がドキドキするため心臓の音に意識が向いてしまい、過剰に不安や恐怖を高めてしまう場合があります。できるかぎり意識を別のところに向けて、不安な感情から意識を遠ざけましょう。意識の向け先は、「飴をなめる」「冷たい水を飲む」「好きな曲を心の中で歌う」「数字を数える」など、人によって工夫はさまざまです。自分にあった方法を見つけましょう。

パニック障害や発作がある方が日常生活で気をつけたいこと

疲れがたまると、体内に乳酸がたまりパニック発作が起きやすくなります。パニック障害の人は、乳酸が体に溜まりやすいと言われているため、乳酸を溜め込まないためにも、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動を行いましょう。また、睡眠不足を避け、規則正しい生活で自律神経を整えることも大切です。カフェインやアルコールもパニック発作を引き起こす恐れがあるため、コーヒーやお酒などの飲み物は避けた方が良いでしょう。

まとめ

ここまでパニック障害になりやすい人の特徴、性格、年齢や性別について解説してきました。具体的には以下のような人はパニック障害になりやすい傾向があります。

  • 精神的に追い詰められている
  • 真面目で完璧主義
  • 人間関係のストレスを感じている
  • こだわりが強い
  • 感受性が高い
  • 肉体的な疲れを感じている
  • 過去にうつ病などに罹ったことがある

パニック発作や強い不安が続くようであれば、パニック障害の可能性があります。放っておいても自然に治ることは期待できないため、早めに精神科や心療内科などの専門医に相談しましょう。

早期に適切な治療をすることで、パニック障害はよくなっていきます。あらたまこころのクリニックではパニック障害専門の治療プログラムをおこなっています。不安に対処する技法を身につけるためにもパニック発作で悩んでいる方は、以下よりお気軽にご相談ください。

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。