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公開日: |更新日: パニック障害

パニック障害の治療について。大切なのは「パニック発作が起きても大丈夫」と思える状態を作ること

パニック障害の治療について。大切なのは「パニック発作が起きても大丈夫」と思える状態を作ること

前回のおさらい:パニック発作がなくなっただけでは、パニック障害が治ったとは限らない

今回は、パニック障害の完治についてのテーマを2回に分けてお伝えしています。今回のその後編になります。前編(パニック障害が治るのを抗不安薬(ベンゾジアゼピンの頓服)が邪魔をする)では下記のことをお伝えしました。

  1. パニック発作は誰にでも起こりうる自然な自律神経の反応である。
  2. 頓服薬(困ったときだけ飲む薬、多くはベンゾジアゼピン系抗不安薬)の使用は、一時的には不安は治まるが、時として離脱症状や自己効力感の低下を招いてしまう。

特に2.は頓服薬の依存によりパニック障害が良くなるどころか悪循環をたどり、不安と向き合う力(自己効力感)が削がれていってしまう状態です。

以上のことから、以下のことがわかりました。

  • 頓服薬によって発作をやり過ごせても、パニック障害が治ったとは言えない
  • そもそも、パニック発作はなくならない

パニック障害が良くなる状態とは?

パニック障害が良くなるとは、「パニック発作が起こっても大丈夫」と思えることだと、我々は考えています。

パニック発作は日本人の約10~30%は一生のうちに経験する可能性があると言われています。また、パニック発作が起きる原因は様々です。心身の過労、過重労働、過度な飲酒や喫煙、過剰なカフェイン摂取、寝不足、やることに追われる余裕のない生活…時にはパニック発作が起きて初めて、自分の体や心が無理していたことを知ることもあります。

つまり、もともと発作というのはいつでも起こる可能性があり、「今後一生パニック発作を起こさない」というのは、現実的には不可能な治療目標なのです。

頓服薬に頼り切らない治療とは

下の図をご覧ください。これは当院(あらたまこころのクリニック)の治療理念である、「薬に頼り切らない治療」の流れを図式化したものです。

最初は、症状を和らげるためにお薬(頓服)が必要になりますが、対処スキルを学び、「発作が起こっても大丈夫」と不安を小さくしていきます。この過程で少しずつお薬(頓服)に頼らなくなっていきます。

「パニック発作が起こっても大丈夫」と思える状態を作るには?

それは、「パニック障害の知識を持ち、準備をした上で、あえてパニック発作を体験し、それでもその発作が自然に収まっていく」という体験を、繰り返ししていくことだと、我々は考えています。

この治療を、専門用語で状況曝露や身体感覚曝露、馴化といいます。また冒頭でお話した「自己効力感」を高める作用があります。

「パニック発作で苦しんでいる人に、あえて発作を体験させるなんて、とんでもない。悪化するのではないか」と思われるかもしれません。確かに、この治療は無理をすると返って悪化する可能性があるため、慎重に進める必要があります

まして、あえて発作を繰り返し体験する、という大変な治療を1人で続けることはまずできないと思います。

だからこそあらたまこころのクリニックでは、認知行動療法に基づいたパニック障害のグループを行っています。1人では決して取り組めない大変な治療も、他のパニック障害を抱える人と一緒に取り組んでいきたいと考えています。

パニック障害のご相談などは、ぜひお気軽にお電話またはフォームでご連絡ください。当院のスタッフが丁寧に対応し、薬に頼り切らない治療をサポートいたします。

パニック認知行動療法グループで一緒に乗り越える

パニック認知行動療法グループでは、「自分だけではない」「他の人と共同して不安に向き合う」「怖い状況を客観的に観察できる」ことで「脅威」が小さくなり、学びが進みます。

他のメンバーと協働することで不安に向き合う力とサポートが得られるので分母が大きくなり、不安が小さくなります。脅威(怖い)よりも不安へ立ち向かう気持ちの方が大きくなっていくのです。

曝露療法を1人で行うのは難しいですが、上手にやっている人を見たり聞いたりして、自分もやってみようという意欲も高まります。パニック障害の治療は、技法としてはパターンが決まっていて曝露→馴化を繰り返していけば、良くなっていくことはあきらかです。

患者さんが「やってみよう」という気持ちになれるかどうかがハードルになります。最初は怖くても実際にやってみるとそんなこと無い場合も多いですよね。熱いお風呂も入ってみると慣れてきます。

その点グループ治療なら、ハードルは低くなり、取り組める人が多い印象です。自分で不安に向き合う力がつくというのが強みです。

こうしたパニック発作への訓練は有効でありますが、独自の判断で行うのは危険です。専門家や医師の指導のもとで計画的に行ってください。

関連記事:認知行動療法とは?

【まとめ】自力でパニック障害を治そうと思わないことが大切

「パニック発作が減った」ことを治ったと認識してしまうと、今後も発作が起きるかどうかで不安が一喜一憂し、パニック障害から解放されたという実感には至らないかもしれません。

一方、「パニック発作が起きても大丈夫」と思うことができたら、不安におびえることなく、体調に振り回される生活から解放され、自分のやりたいことをやっていくことができるでしょう。

「パニック発作が起きても大丈夫」と実感できるようなお手伝いが、あらたまこころのクリニックのパニック障害のグループ(集団認知行動療法)でできればと思います。

ぜひお気軽にご相談ください。

関連記事:パニック障害が治るのを抗不安薬(ベンゾジアゼピンの頓服)が邪魔をする

関連記事:パニック障害のグループ療法のご案内

関連記事:パニック障害を正しく知って治療を計画的に進める 治療ガイダンス(入門記事の目次あり)

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。