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2021.05.03 パニック障害

パニック障害が治るために必要なこと

パニック障害が治るために必要なこと

目次

パニック発作がなくなっただけではパニック障害が治ったとは限らない

パニック障害が治るとは?
不安に向き合う力を強くする

まとめ

パニック発作がなくなっただけではパニック障害が治ったとは限らない

 今回は、パニック障害の完治についてのテーマを2回に分けてお伝えしています。今回のその後編になります。前編(パニック障害が治るのを抗不安薬(ベンゾジアゼピンの頓服)が邪魔をするでは、
①パニック発作は誰にでも起こりうる自然な自律神経の反応であること、
②頓服薬(困ったときだけ飲む薬、多くはベンゾジアゼピン系抗不安薬)の使用は、一時的には不安は治まり、その場の困りごとを乗り切ることもできるかもしれませんが、長い目で考えるとパニック障害は改善しない、それどころか不安と向き合う力が弱まってしまうので悪くなり、うつ病へと進展することもあります。つまり、不安を感じたらすぐに頓服薬を飲む→すると不安は軽くなる→安心→薬が切れて不安になる→頓服といつもお守り代わりに頓服薬が手放せない悪循環になりパニック障害が強化されます。不安に向き合う力が弱くなります。薬の作用的には、ちょうどイヤなことがあるとお酒を飲んで忘れるのと似ているかもしれません。それでうまく行くことあるかもしれませんが、パニック障害やベンゾジアゼピン系の抗不安薬の場合は、時として離脱症状や自己効力感の低下を招き、発作に対する不安がいつまでも続くことをお伝えしました。

以上のことから、
頓服薬によって発作をやり過ごせても、パニック障害が治ったとは言えない
そもそも、パニック発作はなくならない
ということがわかります。

では、パニック障害が治るとはどういうことでしょうか?

パニック障害が治るとは?

 それは、「パニック発作が起こっても大丈夫」と思えることだと、我々は考えています。

 繰り返しになりますが、パニック発作自体は決して珍しいものではなく、約10~30%は、どんな人であっても一生のうちに経験する可能性があると言われています。また、パニック発作が起きる原因は様々です。心身の過労、過重労働、過度な飲酒や喫煙、過剰なカフェイン摂取、寝不足、やることに追われる余裕のない生活…時にはパニック発作が起きて初めて、自分の体や心が無理していたことを知ることもあります。

 つまり、もともと発作というのはいつでも起こる可能性があり、「今後一生パニック発作を起こさない」、というのは、現実的には不可能な治療目標なのです。

ですが、「パニック発作が起こっても大丈夫」と思えたら、どうでしょうか。「発作がでるかもしれないから」、「体調を崩すと相手に迷惑をかけてしまうと思うから」。そんな不安におびえることなく、体調に振り回される生活から解放され、自分のやりたいことをやっていくことができるでしょう。

不安に向き合う力を強くする

 上の図は当院の治療理念である、「薬に頼り切らない治療」の流れを図式化したものです。最初は、症状を和らげるためにお薬が必要になりますが、対処スキルを学び、「発作が起こっても大丈夫」と不安が小さくなることで、少しずつお薬(頓服)に頼らなくなっていきます。

では、どうすれば「パニック発作が起こっても大丈夫」と思えるのでしょうか

それは、「周到な準備をした上で、あえてパニック発作を体験し、それでもその発作が自然に収まっていく」という体験を、繰り返ししていくことだと、我々は考えています。

この治療を、専門用語で状況曝露身体感覚曝露、馴化といいます。

 「パニック発作で苦しんでいる人に、あえて発作を体験させるなんて、とんでもない、悪化するのではないか」と思われるかもしれません。確かに、この治療は無理をすると返って悪化する可能性があるため、慎重に進める必要があります。まして、あえて発作を繰り返し体験する、という大変な治療を1人で続けることはまずできないと思います。

だからこそあらたまこころのクリニックでは、認知行動療法に基づいたパニック障害のグループを行っています。1人では決して取り組めない大変な治療も、他のパニック障害を抱える人と一緒に取り組んでいきたいと考えています。

 パニック認知行動療法グループでは、「自分だけではない」「他の人と共同して不安に向き合う」「怖い状況を客観的に観察できる」ことで「脅威」が小さくなり、学びが進む、他のメンバーと協働することで不安に向き力とサポートが得られるので分母が小さくなり、不安が小さくなります。曝露療法も、1人ではできないですが、上手にやっている人を見たり聞いたりして、自分もやってみようという動機も高まります。パニック障害の治療は、技法としてはパターンが決まっていて曝露-馴化を繰り返していけば、効果が高まるのは明かですが、患者さんがやってみようという気持ちになるのがハードルになります。その点、グループ治療なら案外、ハードルは低くなり、治療ができるようになる人が多い印象を持っています。自分で不安に向き合う力がつくというのが強みです。

まとめ

「パニック発作が減った」ことを治ったと認識しているうちは、今後も発作が起きるかどうかで不安が一喜一憂し、パニック障害から解放されたという実感には至らないかもしれません。
一方、「パニック発作が起きても大丈夫」と思うことができたら、不安におびえることなく、体調に振り回される生活から解放され、自分のやりたいことをやっていくことができるでしょう。
「パニック発作が起きても大丈夫」と実感できるようなお手伝いが、あらたまこころのクリニックのパニック障害のグループ(集団認知行動療法)でできればと思います。

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パニック障害が治るのを抗不安薬(ベンゾジアゼピンの頓服)が邪魔をする

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パニック障害治療を妨げる3つの誤解について

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監修

加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長/名古屋市立大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医
所属学会 / 日本精神神経学会、日本うつ病学会、日本嗜癖行動学会理事、厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
クリニック/名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。