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2021.02.28 うつ病女性のうつ病新型うつ病自律神経失調症

HSP、繊細さんとは?

HSP、繊細さんとは?

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは

 HSPとは、1996年、アメリカのエレイン・アーロンによって提唱された「生まれつき繊細で周りの状況や人の気持ちを感じ取る力が強い特性」のことを言います。例えば、光や音などに対するいわゆる五感の敏感さや周りの人の言動や気持ち、その場の雰囲気などの外的な刺激への敏感さだけではなく、体調や気持ちなど自分の中にある内的な刺激への敏感さがあるとされています。HSPは、現時点での医学的な研究は不十分ですが、自己理解を深めるための良い指標であると思われます。内外の刺激に対する脳の神経システムが、繊細な人と繊細ではない人では生まれつき違っていると言われています。

 アーロンのアメリカでの調査では15~20%の人がHSPに当てはまると報告されており、5人に1人はHSPの可能性があると言えるのです。人間だけでなく、馬やサルなどの高等動物にも同じような傾向があると言われています。私は、「ノアの箱舟」のノアのような立場の人を連想します。

 どんな特性にも強みと弱みがあります。おおらかで人当たりが良い人も、細かい作業では「おおざっぱ」ととらえられることがその例でしょう。

 HSPでも同様に、強みと弱みがあると考えられます。HSPの方の強みとは例えば「きめ細やかな気遣いができる」ということや「小さなことでも感動したり喜びを感じられる」などのとても素敵なことが挙げられます。このような強味が発揮される時は良いのですが、繊細なHSPは、どちらかといえば少数派なので、タフな非HSPが大多数派の社会で暮らしていくうちに、対人関係や職場で、いろいろな悩みやトラブルに突き当たることがあります

 例えば、「周りに機嫌が悪い人がいるだけで緊張してしまう」「細かい点まで気になってしまい、仕事に時間がかかる」などです。つまり、周りの人は気が付かないような小さなことにもよく気がつくことで苦しい思いをしたり、身近な人の「繊細でない」振る舞いが気になり、「あの人は、どうして、そんなことをするのだろう?意地悪している?」とイライラや怒りを感じ、その結果、自分を責め、つらくなることがあります。

  • 人からの評価が否定的に見られる

・「そんな細かいことを言ってもしようがないのに、、、」と思われる

・神経質、内気な人

・イライラしている人

  • 自分に対して気にする自分がおかしいのではないか? 自分を疑い、悩む・自信が持てない

・人に対して

 対人関係、特に身近な人とのコミュニケーションにおいて、感覚の繊細さの違いは想像以上に大きな問題になってきますここをうまく乗り越えることがポイントになります

 「繊細さんの本」著者の武田友紀さんは、繊細さんの最大の罠として「相手の分からないと言う感覚が、繊細さんには分からないこと」と述べています。生まれながらのHSPの感覚は自分にとって当然であり、HSPでない周りの人は自分と感じ方が違うなんて想像もしないからです。これは繊細さんも、非繊細さんも同じです。之が、落とし穴になります。

そのため、相手も自分と同じように感じているはず」と思って、非繊細さんと接すると思わぬ違いが生じ、誰も悪くないのに傷ついてしまうことに繋がってしまうのです。

■配慮のない非HSPの振る舞いに対して

・周りの人の言動を見て、「あの人は配慮がない。なんで、あんなことができるのか信じられない、意地悪だ」と思うこともあるでしょう。しかし、相手は本当に意地悪なのでしょうか?

 HSPの方は、言葉だけでなく、五感であらゆる情報をキャッチして状況を推測します。よく気が付くのです。しかし、非HSPの方が大勢いる世の中には、言葉だけでやりとりをする人もいます。言葉のニュアンスや喋り方のトーンから情報を読みとることに苦手さがある人もいます。そもそもの気が付く力に差があると分かれば、配慮する力にも個人差があると気づくでしょう。

「気づく力」にがあるのに、差があることに気がついていない場合には、様々な困り感につながることが予想されます

 例えば、「愛情ある」家族であっても、感覚の違いを理解されずに悲しい思いをするかもしれません。子どもがHSPの場合は、生まれた時から敏感なため周りの「鈍感さ」が理解できず、養育者に対して「何で分かってくれないの!」と腹が立ってトラブルになるかもしれません。親がHSPの場合も、まさか子どもが自分と違う感じ方をしているとは思わないので、「わざと意地悪しているの?」「わがまま」と考えてしまうこともあるでしょう。ほとんどの場合、「愛情がないから感受性が鈍い」わけではないでしょう。愛情が、いくらあっても、非HSPの人には、HSPが感じるレベルまでは気づけないのです。「感受性の違いは愛情とは関係ない」のです。(武田友紀著「繊細さんの本」より一部抜粋)

 

■人に気を遣い疲れる 相手の気持ちを読み間違える 確かめることが必要

 上司の機嫌が悪いと、上司のことが気になって仕事が手につかなくなることはありませんか?

「あの人が機嫌を悪くしているのは自分が何か悪いことをしたのでは?」と気になると不安になってしまうことはないでしょうか?

 実際にこのような思いをした人の例では、実はその上司は虫歯が痛かっただけ、ということありました。

相手が何を考えているかは、確かめてみないと分かりません。答え合わせが必要です。答え合わせをしないと、なぜ上司の機嫌が悪いのか?分からないまま悶々とした時間と消耗が続きます。モヤモヤしたまま、家に帰っても嫌な気持ちが頭から離れず、疲れ切ってしまうこともあるでしょう。

また、相手に合わせたばかりいると、周りに無理なことを言ってくる人ばかり集まってきて、「どうして、みんなは、自己チュウなんだ!」と怒れてくることもあります。

 こういった困り感を持っている方に対して、当院ではアサーションという方法やマインドフルネスで、練習していきます。

 

HSPの人はネガティブなことだけでなく、楽しいことにも敏感であると言われています。お友達と話をしていても刺激があふれてしまって、とても疲れます

HSPの4つの特性 DOES(ダス)

 以下の4つが全て当てはまるとHSPとされます(エレイン・アーロン)。

D 深く考える 

 思慮深い、深くいろんな角度から堀り下げて考える時間がかかる

O 過剰に刺激を受けやすい

 ちょっとした良いことや芸術、音楽などに感動しやすい⇔人混みや大きな音が苦手。人の言動で傷つきやすい

E 共感力が高く、人の感情の影響を受けやすい

人のちょっとした様子から機嫌や思っていることが分かる人が怒られていると自分のことのように感じる。他人の感情の影響を受けやすい

S 周囲のささいなことにも気がつく

身の回りの環境の変化に気づきやすい生活の変化があると混乱する

 

エレイン・アーロンは、4つ全部当てはまるとHSPとし、23項目の自己診断チェックリストを作成しました。国によって内向性の立場や考え方が違うので、国ごとに独自に作ろうとする動きもあり、日本でも17項目の日本版HSPスクリーニングテストが作成されています。

 自己診断チェックリストでは確かな診断はできませんので、あくまで参考程度にしておくとよいかもしれません。

また自己診断チェックリストをされたら、対策もセットで用意することをお勧めします。

 

 生まれつきHSPの4つの特性DOESを持っていると、自分に自信が持てなかったり、疲れやすかったり、時には大切にしたい人との関係が悪くなりやすかったりする落とし穴があります。もしDOESを自覚したら、早めに対策を工夫すると良いでしょう。最近は良書が続々と出版されていますが、特にお勧めしたいのは、先ほどのエレイン・アーロン著の「ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき:HSP気質と恋愛」、自分自身もHSPで心理療法士のイルセ・サンの「鈍感な世界に生きる敏感な人たち、自分自身もHSPでHSP専門カウンセラーの武田友紀さんの「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本」です。

 

 HSPならではの視点で書かれており、工夫や対処法がとても分かりやすいです。

HSPとアルファベットで呼ぶと、冷たいニュアンスも感じるので、HSPを「繊細さん」と呼ぶ優しい感じが私的には良いですね。

心療内科、精神科の外来で↓『自分もHSPかも』とおっしゃる患者さんに対して思うこと

HSPの特性を「直す」ことはしない方が良いです。ご自分のHSPを大切にしながら、HSPの強みと弱みを知り、大多数の社会の中で、幸せにで暮らす工夫をしましょう。

しかし、こじれたときには、問題が起きてきます。

HSPの困りごと 

1.自己評価が低い、居場所がないなど、ストレスが続くと精神科、心療内科の病気に進むもあります。

適応障害、うつ病やパニック障害、社交不安障害(あがり症)、気分変調性障害などの診断がつくこともある。

また、病気の奥にHPSの特性が関わっていることもある。会社の長期休職や子育ての悩み、体の不調などです。

2.自閉スペクトラム障害やADHDなどの発達障害との見分けが問題になることがあります。発達障害は、人口の1割、グレーまで含めると2割という最近の報告も出てきたくらいなので、HSPがこれらの発達障害の診断を受けている可能性もあります。部分的には、似ているようにも見えることもあるからです。

感覚が過敏な点は、自閉スペクトラム障害、アスペルガー症候群などに一見、似ています。特に女性の自閉スペクトラム障害、重ね着症候群、カムフラージュの場合、本人も周りも気がつきにくいこともあります。

3.HSPでも、刺激追求型と言うタイプがあり、ADHDの多動衝動性と似ている

4.3割の外向的なHSPは、気づきにくい、本人のストレスは大きい。

5.相手の気持ちを深読み、ネガティブに考える傾向が、気分変調性障害、社交不安障害(あがり症)と区別が付きにくい。治療法は違ってくることもあります。

6.対人関係の悩み、疲れやすさ、痛みが続きます。

まとめ

 HSPの困りごとを書いてきましたが、原則はHSPの特性を無理矢理治そうとしない方が良いです。。

まずはHSPの特性を知ることです。HSPの特性を直す必要はありません。HSPならコレといった画一的な治療は、お勧めしません

困りごとは人それぞれで違っており、繊細さんは1人でなく、いろんな繊細さんが、いらっしゃいます

HSPの特性のマイナスの面で、どんな困りごとが起きているのか?問題を整理しましょう。その上で、自分や困りごとに合った対処法

を地道に考えていくことが大切です。

 自分の特性に気づき、大きな精神科の病気にならず、仕事を送り家庭生活を歩来るトラブルなく暮らしていける、もっと言えば、自の強みを活かして、幸せに生きて生きることを目指しましょう。

 日常生活の社会、つまり大多数の非HSPの中で、HSPの方が自信を失わずに、自分の特質を活かして幸せに生きていく事ができれば、とても良いと思っています

 

参考文献

・鈍感な世界に生きる敏感な人たち イルセ・サン ディスカヴァー・トゥエンティワン出版

・ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき HSP気質と恋愛 エレイン・アーロン 青春出版社

・「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本 武田友紀 飛鳥新社

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