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公開日: |更新日: うつ病

イギリスのうつ病治療について

今回、イギリスのNICE (National Institute for Health and Clinical Excellence)の文献の中から、うつ病治療について学んだことを書きたいと思います。

NICEのうつ病ガイドラインでは、まずうつ病のアセスメントを行った後、うつ病を症状により大きく3つの段階に分け、その段階ごとに適切な治療方法を行っていきます。
『うつ病の段階は、①軽・中度のうつ病、②慢性・中・重度のうつ病、③生命への危機をもたらすような非常に重度なうつ病に分けられます。軽・中度のうつ病治療では、薬をできるだけ使わないで、睡眠管理や低度の「カウンセリング※」で治療を進めます。低度の「カウンセリング※」は、教材を使い個人で行う認知行動療法や、コンピューターを使った認知行動療法、またグループで行う運動療法などが挙げられていました。一方、慢性・中・重度のうつ病治療では、薬物療法に加えて、高度な「カウンセリング※」で治療を進めます。高度の「カウンセリング※」は、認知行動療法、対人関係療法、行動療法、またカップル行動療法が効果的だそうです。また、症状改善が見られなかった時の指示や、症状改善が見られた後の再発防止治療まで、詳細な指示も挙げられていました。』

(※当院では個別面接は行いますが、いわゆる「カウンセリング」は行っておりません)

NICEのガイドラインは治療のプランやゴールを設定する上で、役に立つ情報がいっぱい含まれており、今後クリニックでも活用していけるといいなと思っています。

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。