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2021.11.24 自律神経失調症パニック障害

自律神経失調症とパニック障害の関係。症状が悪化したときの共通する治療法とは?

自律神経失調症とパニック障害の関係。症状が悪化したときの共通する治療法とは?

【目次】
内科で“原因不明”といわれる自律神経失調症とはどんな状態?
自律神経失調症と似ている?パニック発作とその症状
自律神経失調症とパニック障害の慢性症状の関係
身体感覚過敏のためのグループ療法
まとめ

内科で〝原因不明”といわれる自律神経失調症とはどんな状態?

 いくら内科などで検査しても「原因不明、メンタルですね」といわれ、最終的に心療内科にて自律神経失調症と診断されることがあります。

 自律神経失調症は、体の不調(不定愁訴と呼ばれます)が慢性的に続き、時に突然に悪化し不安になってくる病気です。

単に体の不調というだけでなく、めまい、吐き気、のどのつまり、ドキドキなどどちらかというと、いろいろな体の不調の中でも「不快」「不吉」な不調が多く、患者さんは気になってしまい内科などで検査を受けるのですが、原因不明といわれるためますます心配になり、ひどくなると外出や会社に行くのを控えたりと、日常生活に支障が出てきます。

また自律神経失調症の患者さんとたくさんお会いしていると、季節の移り変わりの時期や雨など天候の変動が大きいときなどとも関係するように思えてきます。
特に朝晩の気温差や気圧の変化が大きい梅雨時期や秋頃なんかは体調を崩しがちですよね。

 では、皆さんの「体調を崩す」にはどのようなものがあるでしょうか?

 胸がドキドキする、手が震える、はきけがする、喉が詰める、頭が痛い、なんだか息苦しい、胸が苦しい、軽いめまい、手先が冷たい感じ、しびれる、顔のほてり、いつもより汗をかきやすいなど人によって様々な症状があると思います。動悸が激しいことから病気なのではと悩む人もいます。

 どの症状をとっても不快な感覚だと思いますが、これらは、日々刻々と、気温や湿度、気圧などが変化する環境で、暮らしていく限り、時々は体験する自然な体の症状です。
しかし、このような不快な体の感覚が、不安感や発作を引き起こすことがあります。それが自律神経失調症と呼ばれる症状です。

もともと自律神経は、交感神経(車のアクセル)と副交感神経(ブレーキ)の2つで体の調節をしているのですが、ストレスなど不安が強いと影響を受けます。

心のアクセルと呼ばれる交感神経が強くなり、軽いパニック発作が常時起きてアイドリング状態になっているのです。

自律神経失調症と似ている?パニック発作とその症状

 自律神経失調症もパニック発作も、その正体は、不安から脳の扁桃体という部分が過剰に反応しているということです。火災報知器のように急に反応すればパニック発作だし、不安とは気づかない程度で絶えずアインドリング状態になっている、つまり脳は休めていない(脳が勝手に疲れていく)のが自律神経失調症です。

キラーストレスという呼び方もあります。最近、話題のマインドフルネスの関係で言うとデフォルト・モード・ネットワーク状態と名付けられ、この状態になると、なんと脳のエネルギーが60~80%を消費するそうです(世界のエリートがやっている最高の休息法久賀谷亮,ダイアモンド社)
これでは、心身とも健康を維持することはできません。グールグルなど多くの企業で社員の健康の為にストレスがたまりすぎないようマインドフルネスを取り入れています。

 パニック発作では身体の病気がないのに、突然の動悸、発汗、震え、息苦しさ、胸の不快感、吐き気、めまい、ふらつき、手足の痺れなどのからだの症状および恐怖感を伴います。動悸、過換気、息苦しさ、手足のしびれなど自律神経失調の交感神経神経症状+恐怖がパニック発作です。
何度も起きて予期不安、広場恐怖などが加わってくるとパニック障害です。症状自体は交感神経が活発になりすぎて体に表れている状態なので自律神経失調症と非常に似ていて混在されやすいです。ただパニック障害ではこの症状が頻繁に起こり、かつ「また発作が起こるんじゃないか?」「このまま死んでしまうのではないか」と大きな不安が押し寄せる点で異なっています。

自律神経のバランスが乱れることで様々な症状を引き起こす自律神経失調症は実は多くの人が人生で何度か経験するもので、体の反応のひとつともいえます。しかし状態が悪化しパニック障害への引き金となる可能性もあるため軽視してよいものではありません。

自律神経失調症とパニック障害の慢性症状の関係

 自律神経失調症を患うと体の感覚、特に皮膚などの感覚から不安を起こし、そのことで皮膚の感覚に意識が集中し、ちょっとの皮膚の変化でも、脳の扁桃体という場所が敏感に反応します。そこで、また不安になるので、いつも小さな不安が続いている状態が続きます。次のパニック発作が起こるのではないか?と不安で、絶えず、次の危険に身構えている状態です。車のアイドリング状態です。今度は不安が自律神経に影響し、体の不調を起こすのです。そして、あるとき、不安が強くなってパニック発作が起きる、、と悪循環になります。

時に、何かの拍子に急変すると自律神経失調症の交感神経症状が強く出てきます。これがパニック発作ですが、この「突然」というのが、つらいところです。

このようなパニック発作が何回もおきると、おきていないときの体の症状に意識が集中します。体の異変が気になって仕方がなくなります。

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パニック発作や自律神経失調症で慢性的に続く体の症状の例

□ 心臓が、ドキドキする
□ 汗をかく
□ 体や手足が震える
□ 足が、ぐらぐらする
□ しびれ、うずき感
□ 寒気、ほてり
□ 息苦しい、息ぎれ
□ のどがつまる
□ 胸の痛みまたは不快感
□ はき気、腹部のいやな感じ
□ めまい、ふらつき
□ 気が遠くなる感じ、気を失って倒れるのではないか?と心配
 目がぼやける、ゆがむ
□ 周りの人や物、風景の現実感がなくなる、自分が自分でない感じ
□ コントロールを失うことや、気が狂ってしまうのではないか?という心配
□ 胃がムカムカする、そわそわする
□ 胃が、しめつけられる
□ 自分の身体から遊離している感じ、部分的にしか存在していない感じ
□ 死ぬのではないか?と怖くなる

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この状態が続くと、パニック障害の人は、ささいな身体の状態の変化、異変に対して過敏になり、過剰に心配されます。

「ドキドキする、心臓の病気ではないか」
「息苦しい、過呼吸の前兆かも」
「はき気がする、このままだと吐いちゃうかも」
「朝からめまいがする、発作になって倒れてしまうかも」

 本来、心臓のドキドキや息苦しさといった体の症状は、人間が危険を察知すると生じる誰にでも起きる自然な体の症状です。

ところが、パニック発作を繰り返すうちに、これが逆転し、自分の気になっている体の症状を危険だと感じ、また起きたらどうしようと注意が集中してしまいます。

身体感覚過敏のためのグループ療法

 上に書いたような身体症状に過敏になってしまう症状を、身体感覚過敏といいます。これは自律神経失調症の人もパニック発作を繰り返す人にも表れやすい症状です。

そしてお薬だけの治療では、なかなか改善しないことが多いようです。

 薬物療法としては、ベンゾジアゼピン系抗不安薬が効果があるため、以前は一般的に処方されてきました。しかし依存の問題や症状が変化した時に薬を増量し、強い薬を大量に長期に服用されることがあり問題になります。結局、根本解決になっていないため、治らないまま長く続いてしまいます。特に「調子の悪いときにだけ飲む」と言う薬には、要注意です。

漢方薬で様子を見るという方法もありますが、やはり根本解決にはならないので、暮らしている中で、不安がつきまといます。非薬物療法としてはマインドフルネスという治療法の効果が高いです。しっかり、身につけるのに時間がかかりますが、これも当院(あらたまこころのクリニック)では、グループで他のメンバーと一緒に取り組んでいます。

 他にも身体感覚曝露という治療を定期的にグループ療法の中で行うのも効果的です。
身体感覚曝露は、苦手な身体感覚を計画的に引き起こし、体験やグループでのメンバーとの共感、励ましを通して、「息苦しい、喉のつまり、ドキドキなど発作に似た身体感覚が起きても安全なんだ」ということを体験的に学ぶ治療法です。
そうして過度な不安に怯えることが無いような習慣を今度はつけていくのです。

この治療を通して、自律神経失調症の症状である身体感覚過敏や慢性的なパニック発作から開放されることを願っています。

まとめ

 自律神経失調症もパニック発作も強い動悸や息苦しさ、吐き気などの似た症状ゆえ混合されがちですが、より強い不安を伴うものが「パニック発作」といえます。さらに「死んでしまうのではないか」と思うほどの恐怖が入り、発作が再度起こらないようにと日常の行動範囲にも悪影響を及ぼしていくとパニック障害へと悪化していきます。
重なる部分が多いので、自律神経失調症ではないか?と悩んでいる方の場合にもパニック障害が奥に隠れているかもしれません。

いずれにしても病名にこだわるよりもメカニズムに対応した対処法を身につけることが必要です。苦手な状況や感覚を避けないで繰り返し練習していきながら克服していけるようにしましょう。

あらたまこころのクリニックでは治療理念である、「薬に頼り切らない治療」をもとにグループ療法などを用いながら患者様と病気に向き合っています。

気になる症状があるという方は、まずは一度ご相談ください。

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<パニック障害についての記事はこちら>

パニック障害のグループ療法のご案内

パニック障害のケースで学ぶ!薬に頼り切らない治療。

パニック障害治療を妨げる3つの誤解について

パニック障害を正しく知って治療を計画的に進める 治療ガイダンス(入門記事の目次あり)

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監修

加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長/名古屋市立大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医
所属学会 / 日本精神神経学会、日本うつ病学会、日本嗜癖行動学会理事、厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
クリニック/名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。