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2022.02.28 適応障害

適応障害とうつ病の違いとは?「原因」「ストレスから離れた時の症状」「期間」の3つのポイントで見分けよう

適応障害とうつ病の違いとは?「原因」「ストレスから離れた時の症状」「期間」の3つのポイントで見分けよう

適応障害の症状は、うつ病と同じように、うつや不安であることは間違いありません。しかし、あくまでうつ状態であって、うつ病とは診断できるレベルではない場合に診断されます。

今回は、似てるようで違う、適応障害とうつ病の違いについて、様々な角度から紹介します。自分はうつ病なんじゃないか?適応障害なんじゃないか?という方の参考になれば嬉しいです。

適応障害とは

適応障害とは簡単に、ストレスに耐える力を超える出来事が起きたときに、心や体に不調が起きる病気です。どんな環境で、どんなきっかけがその人にストレスになるかは人によって様々なため、誰もがなる可能性のある病気です。

具体的な症状は、憂うつ気分や不安感、喪失感や涙もろくなるなどの精神症状や、不眠、食欲不振、頭痛、腹痛などの身体症状、無断欠席や過度な飲酒、攻撃的になるなどの行動にあらわれる場合もあります。

症状は一過性のもので、原因となるストレスから離れると症状は改善しますが、逆にストレスからすぐに離れることができない状況が続くと、症状が悪化したり長引くこともあります。

適応障害については、以下の記事で詳しく解説しています。気になった方はこちらも合わせて読んでいただけると理解が深まるかと思います。

関連記事:適応障害とは?症状・原因・治療法までわかりやすくお伝え

うつ病とは

うつ病とは簡単に、何をしても楽しめない、一日中気分が落ち込んでいるなどの精神症状や、不眠、食欲不振、肩こりや頭痛などの身体症状があらわれ、日常生活に支障をきたす病気です。

はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、脳の不調が生じているために起こるとされています。特にこれといった原因も思い当たらず、症状がほとんど毎日、2週間以上つづく場合にはうつ病の可能性が考えられます。

重症化すると「死にたい」と思うようになったり、うつ病は再発率も高いため、専門医による早期の治療が重要な鍵となります。

適応障害とうつ病の違いは?

適応障害とうつ病の症状は似ていますが、「原因」「ストレスから離れた時の症状」「期間」が見分けるポイントです。ここでは、以下の4つの観点から適応障害とうつ病の違いについて解説していきます。

  • 1.きっかけとなる原因
  • 2.ストレスから離れた時の症状
  • 3.症状があらわれる期間
  • 4.それぞれの治療法

1.きっかけとなる原因

適応障害とうつ病は、きっかけとなる原因が異なります。適応障害は特定のストレスがきっかけで発症しますが、うつ病はストレスとの関係は適応障害ほど明確ではありません

ストレスが引き金になるうつ病もありますが、昇進や結婚などのポジティブで喜ばしい出来事であっても、うつ病の引き金になることがあります。適応障害の原因は明確ですが、うつ病はストレスを含め、きっかけらしいきっかけが見当たらないことも多く、一つの原因で発症するものではないのです。

2.ストレスから離れた時の症状

適応障害とうつ病は、ストレスから離れた時の抑うつ状態の持続についても違いがあります。適応障害は、環境に原因があるため、ストレスとなった環境から離れると、症状は改善します。

例えば、仕事では憂うつで気分が晴れず何をやってもダメに感じてしまうのに、休日になると仕事のことは忘れて元気に遊ぶことができる、といった具合です。しかし、ストレスが引き金となったうつ病の場合は、例えストレスから離れたとしても、症状は変わらず抑うつとした状態が続きます。

3.症状があらわれる期間

適応障害とうつ病の期間の違いも見分ける、ポイントのひとつです。適応障害は、ストレスの原因となる出来事から3ヶ月以内に発症し、ストレスから離れると6ヶ月以内に回復します。また、症状が長引いたとしても、2年以上は続かないとされています。

適応障害は一過性の症状である場合が多いため、病院にかかるまでもなく、日常生活を送ってるうちに元気になる人もたくさんいます。

一方でうつ病は、抑うつ状態などの症状が、ほとんど1日中であったり、毎日であったり、2週間以上にわたって続くため、適応障害以上に大きく日常生活に影響していきます。

4.それぞれの治療法

適応障害の治療法は、原因となるストレスを取り除くことで改善します。そのため、自分のいる環境を調整することが重要となります。

また、気分の落ち込みや不安、イライラや睡眠障害などには、症状に対して薬物療法を行うこともあります。本人の考え方のクセの見直しや、ストレスへの対処能力の向上のために、認知行動療法や問題解決療法なども行っています。

うつ病の場合は、まずはしっかり休養を取って、心と体を休ませることが基本です。また、抗うつ薬や抗不安薬などの薬物治療も同時に行います。うつ病の患者さんによくみられる「否定的な考え方」を改善するために、認知行動療法、心理療法などの精神療法も行います。

適応障害とうつ病の診断は難しい

適応障害とうつ病の違いについて述べてきましたが、うつ病の初期症状と類似している点も多く、症状も重なり合っているため、適応障害とうつ病の診断は難しいといえます。

実際は、症状の時間的な変化を見ないと、うつ病かもしれないけれども症状が軽い、もしかしたら適応障害かも、といった具合に、いずれかの傾向が強いと言えるほどで、医者によって診断が異なります。

環境調整をしても適応障害がなかなか治らない場合や、表面的に見れば適応障害でも深ぼってみると、うつ病や発達障害など、他の病気が隠れている場合もあるため、他の病院で違う病気と診断されてもそれは誤診ではなく元々あった病気が見つかったのです。

うつ病を併発させないために日々気をつけること

適応障害の経過は全般に良好です。多くの患者は3ヶ月以内に以前の状態に回復することが可能です。しかし、すぐに取り除けないストレスも少なくないため、油断はできません。ストレスが取り除けず、症状が慢性化するようだとうつ病などの疾患を発症することがあります。

長期に経過を追跡したアメリカの研究では、適応障害とされた成人の約30%は、他の精神疾患が合併するという報告が見られています。

適応障害は、どんなきっかけがその人にストレスになっているか原因を把握し、ストレスが減らせるよう環境を調整することが大切です。そのため、一人で抱え込んでしまっては迷路の出口を見つけ出せず、悪循環に陥ってしまいがちです。環境の調整は、周りのサポートが必要な場面も多いため、少しでもストレスを減らせる環境に調整できるよう、身近な人への相談や、産業医やカウンセラー、専門医などを受診しましょう。

まとめ

適応障害とうつ病の違いは、「原因」「ストレスから離れた時の症状」「期間」の3つのポイントから見分けることを解説してきました。

適応障害は、ストレスに耐える力を超える出来事が起きたときに、心や体に不調が起きる病気で、原因は明確です。

うつ病は、ストレスが引き金となることもありますが、適応障害ほど明確ではなく、きっかけらしいきっかけが見当たらず原因が分かっていません。

また、適応障害は、原因となるストレスから離れることによって症状が改善しますが、うつ病は、ストレスから離れていても症状は持続します。

抑うつや不安などの症状は、適応障害もうつ病も似ていますが、適応障害の場合は一過性で、ストレスを取り除くと6ヶ月以内に回復します。一方でうつ病は、抑うつ状態などの症状が、ほとんど1日中であったり、毎日であったり、2週間以上にわたって続きます。

このように、適応障害とうつ病は時間的な変化を見ないことには診断が難しい傾向にあります。そのため適応障害と診断されたけど別の病院ではうつ病と診断される、などは少なからず起きてしまうのです。

適応障害は一過性のものですが、症状が続いたり、会社を欠勤する、学校を欠席するなど、正常な社会生活を送れないほどの状態なら、他の病気もうたがい、病院にかかるべきです。

一般的にはその状態が1週間から2週間続いたら、精神科や心療内科の受診をおすすめします。

 

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。