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公開日: |更新日: 自律神経失調症パニック障害

天気痛や気象病はパニック障害と関係あるの?

天気痛や気象病はパニック障害と関係あるの?

目次

・パニック障害が梅雨に悪くなる・・・もしかして天気痛?気象病? 

・パニック障害の成り立ち

・不快と不安の悪循環

・本来は自然なことなのに、なぜ?

パニック障害が梅雨に悪くなる・・・もしかして天気痛・気象病が原因? 

 パニック障害は、ドキドキ、息が苦しい、呼吸ができない、めまい、ふらつきなどの体の症状が、突然起きてくる病気です。パニック障害の患者さんたちとお会いしていると、症状が気象とも関係するように思え、気象病や天気痛のようにも思えてきます。しかし、パニック障害は天気通・気象病ではありません。

 朝晩の気温差が激しいことがもちろんのこと、天気の移り変わりも激しいこの季節、体調を崩しがちになりやすいですよね。

 

  雨の日のむし暑くてフラーとしたり、汗をかいたり、満員電車に乗った瞬間、「ムアツ」と蒸し暑い感じが、きっかけになってパニック発作を起こしてしまいます。また、気圧が下がると血圧が下がり、眠気、めまい、だるさ、頭痛などの症状が現れ、そういった症状がきっかけとなることもあるかもしれません。いったん治っていた人も、パニック障害が再発しやすいのもこの時期です。

そのため、気象による体の感覚がきっかけでパニック発作がおこることから、パニック障害は気象病とも間違えられやすい病気です。

 特にやむし暑さ、会社のクーラーの風など、皮膚の感覚が、苦手なパニック障害の人は多く、梅雨の時期に症状が悪化する方が多いようです。

パニック障害の成り立ち  

 これはパニック障害という病気の成り立ちと関係しています。私たちは、危険なことに出くわした時、脳内の警報装置が危険を察知して一瞬の内に、心臓はバクバク、汗はダラダラ、背筋はゾッとして、息はハアハアと速くなり、吐き気がしたりします。これはその場から速く逃げるために手足が動くようにできているので、そんな反応がおきます。「戦うか逃げるか反応」と呼ばれています。体のアクセルと呼ばれる交感神経が高ぶっている状態です。動物ならみんな同じシステムをもっています。危険に遭遇したとき、体の皮膚がピリピリしたり、鳥肌が立つのも、危険時の出血を止めるために役立つと言われています。私たちの体は実にうまくできているのです。その結果、何百万年前から生き残れたのです。

 ところが、私たち人間は、この危険時の警報装置が過敏にできているので、時々、誤作動を起こします。順番が逆になってしまいます。通常は、危険→不安→心臓バクバク、体のピリピリ、鳥肌となるのがパニック障害になると、体の異変、皮膚のピリピリ→不安→危険と脳が誤作動するようになるのです。そうなると、気象によって生じた体の自然な反応さえも脳が危険と判断し、不安になり、とてもやっかいなことになります。

不快と不安の悪循環

 パニック障害は、胸のドキドキ、息苦しさなどは治ったかの様に見えても、脳内(扁桃体など)で、身体感覚過敏という「気づかない小さなパニック発作が続いている」状態が続いていると、ちょっとした体の異変をきっかけにパニック発作を起こしてしまうことがあります。

 胸がドキドキする、手が震える、吐き気がする、喉が詰める、頭が痛い、なんだか息苦しい、胸が苦しい、軽いめまい、手先が冷たい感じ、しびれる、顔のほてり、いつもより汗をかきやすいなどによって様々な症状が続くことがあると思います。そのため、自律神経失調症ではないかと悩む人もいます。

 どの症状もとっても不快な感覚だと思いますが、これらは、日々刻々と、気温や湿度、気圧などが変化する環境で、暮らしていく限り、時々は体験する自然な体の症状です。

 パニック発作は、突然に起きるパニック発作と呼ばれる体の症状と恐怖が生じます。この「突然」というのが、つらいところです。パニック障害の人は、発作が起きているときには「心臓や脳の重い病気だったらどうしよう?」と不安になります。発作が起きていないときには「また発作が起きるのではないか?」という予期不安に脅えて暮らします。電車に乗れない、車で渋滞、高速道路、ショッピングモールに入ると怖いなど避けるてしまう苦手な場所ができて日常生活に支障をきたすこともあります。

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パニック発作と慢性的に続く体の症状の例(自律神経失調症)

 心臓が、ドキドキする

□ 汗をかく

□ 体や手足が震える

□ 足が、ぐらぐらする

□ びれ、うずき感

□ 寒気、ほてり

□ 息苦しい、息ぎれ

□ のどがつまる

□  胸の痛みまたは不快感

□ はき気、腹部のいやな感じ

  めまい、ふらつき

  気が遠くなる感じ、気を失って倒れるのではないか?と心配

  目がぼやける、ゆがむ

 周りの人や物、風景の現実感がなくなる、自分が自分でない感じ

 コントロールを失うことや、気が狂ってしまうのではないか?という心配

□   胃がムカムカする、そわそわする

 胃が、しめつけられる

 自分の身体から遊離している感じ、部分的にしか存在していない感じ

  死ぬのではないか?と怖くなる

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 この状態が続くと、パニック障害の方は、ささいな身体の状態の変化、異変に対して過敏になり、過剰に心配になります

ドキドキする、心臓の病気ではないか」

「息苦しい、過呼吸の前兆かも」

「はき気がする、このままだと吐いちゃうかも」

「朝からめまいがする、発作になって倒れてしまうかも

本来は自然なことなのに、なぜ?

 本来、心臓のドキドキや息苦しさといった体の症状は、人間が危険を察知すると生じる誰にでも起きる自然な体の症状です。

 ところが、パニック発作を繰り返すうちに、これが逆転し、自分の気になっている体の症状を危険だと感じるようになってしまいます。

このような、身体症状に過敏になってしまう症状を、身体感覚過敏といいます。

これは、お薬だけの治療では、なかなか改善しないことが多いようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この身体感覚過敏に対して、あらたまこころのクリニックでは身体感覚曝露という治療を定期的にグループ療法の中で行っています。マンドフルネスも有効かもしれません。身体感覚曝露は、苦手な身体感覚を計画的に引き起こし、体験やグループでのメンバーとの共感、励ましを通して、「息苦しい、喉のづまり、ドキドキなど発作に似た身体感覚が起きても安全なんだ」ということを体験的に学ぶ治療法です。 この治療を通して、自律神経失調症と呼ばれる、身体感覚過敏や慢性的な体の不調と不安感から開放されることを願っています

まとめ

梅雨時は、不快な皮膚の感覚や体の状態になることが多く、パニック障害のきっかけになりやすいです。

パニック発作のような急激な発作ではなく、慢性的な体の不調が続き、そのことばかりに注意が向いてしまい、

漠然とした不安、モヤモヤが頭から離れないことがあります。

そのため、自律神経失調症ではないか?気象病ではないか?と悩んでいる方も多くいらっしゃるかもしれません。

それらの悩みはパニック障害が、奥に隠れているかもしれません。

ご興味のある方は、まずは医師にご相談いただければと存じます。

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<パニック障害についての記事はこちら>

パニック障害のグループ療法のご案内

パニック障害のケースで学ぶ!薬に頼り切らない治療。

パニック障害治療を妨げる3つの誤解について

パニック障害を正しく知って治療を計画的に進める 治療ガイダンス(入門記事の目次あり)

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。