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治療法について TREATMENT

2020.06.27 パニック障害専門療法

パニック障害治療を妨げる3つの誤解について

【目次】
「薬を飲んだら症状が出なくなる」は、「治った」?
「発作が出なくなる」は、「治った」?
「不安がなくなる」は、「治った」?
まとめ

はじめに

パニック障害に限らず、悩みを抱える人が、その悩みが無くなればいいのに…と考えるのは自然なことです。そのため、パニック障害でお困りの方の中には、「パニック発作が無くなればいいのに…」、「いつも感じるこの不安な気持ちがなくなればいいのに…」、と思っていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。治療に対しても、そのような期待を持って来院される方がいらっしゃいます。自然なことではありますが、実は、これは大きな誤解につながり、パニック障害の治療を妨げることがあります。このようにお伝えすると、「じゃあ、治らないってこと?!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。しっかり治ることが目的です。今回は、パニック障害の治療を妨げる3つの「誤解」について書いていきたいと思います。

パニック障害の誤解 その1

「薬を飲んだら症状が出なくなる」は、「治った」??

薬を飲むと発作が抑えられ、不安な気持ちが穏やかになり、パニック障害がよくなったと感じる方もいらっしゃると思います。コラム「パニック障害と薬物療法」でも述べましたが、パニック障害の治療初期には薬物療法はとても重要で、お薬により、効果的に症状の安定を図ることができます。ですが、また発作がおきるのではないかといった予期不安は、お薬だけではなかなか治療が難しいですし、そのような不安の治療を行っていく際には一時的に発作が生じやすくなる場合もあります。薬を飲んだら症状が出なくなった=治ったではないので、せっかく通院し服薬を始めたのですから、焦らずしっかり最後まで治療に取り組まれることをおすすめします。

パニック障害の誤解 その2

「パニック発作が出なくなる」は、「治った」??

パニック障害で悩まれている方は、パニック障害が治る=「パニック発作が起こらなくなること」、と考えていらっしゃる方もいらっしゃいます。しかし、パニック発作がなくなることを治療のゴールにしてしまうと、パニック障害の治療は暗礁に乗り上げてしまいます。「嫌な発作がなくならないってことは、治らないってこと!?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。実は、パニック発作は多くの方が体験しています。ですが、パニック発作を起こす人が、皆、パニック障害になるかというと、ほとんどの人は、パニック障害にならずにすごしているのです。

では、パニック障害になる人には何が起こっているのでしょうか?

パニック障害の方は、パニック発作を経験した後に、また同じような発作がおこるのではないかと不安に思う〈予期不安〉、パニック発作が起きたときに「逃げるのが難しい」、「助けてもらえない」と思うような場所や状況を避ける〈広場恐怖、空間恐怖〉、少しでも体調に変化があると、注意が身体感覚に注意が向いて〈身体感覚過敏〉不安が強くなる。といったことが起こっています。恐ろしい発作がまた起こるのではないか?という不安を抱え、「逃げられない」、「助けてもらえない」苦手な場所や状況を避けることで、生活の幅が著しく制限されてしまっているのが、パニック障害の方に起きていることです。治療過程のなかでは、一時的に発作が起こりやすくなることもありますし、治療の目標は、「発作が起きない」ではなく、「発作が起きても大丈夫」と考えられるようになり、生活に必要な活動ができるようになることが目標となってきます。

パニック障害の誤解 その3

「不安がなくなる」は、「治った」?

「発作がなくなれば良いのに」という願いと同様に、「不安がなくなれば良いのに」と思う方もいらっしゃいます。ですが、「不安」という感情には危険を知らせるアラームという重要な役割があります。「不安」を全く感じなくなると、先への備えができなくなってしまいます。生物にとって不安は大切な機能をもっているのです。一方、パニック障害の患者さんは、「不安」に感じる必要がない状況でも不安に感じてしまいます。アラームが誤作動を起こすようになっているのです。そのため、アラームの誤作動が起きないように治療をしていきます。健康な生活でも、正常なアラームは作動するので、「不安が全くない」が、目標にすると青い鳥を追っかけているようなもので、いつまでも「治らない」ことになり悩んでしまいます。不安を感じても、やりたいことを最優先にして価値のある暮らをしていけることが大切です。

まとめ

パニック障害の治療を妨げる誤解についてまとめました。実際に治療に取り組み始めると、いつの間にか「発作が起こらなくなること」や「不安がなくなること」だけで終わってしまったりすることがあります。これで、うまくいくことありますが、順調に治っていかないときは、この3つの誤解について振り返ってみると良いかもしれませんね。