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コロナウイルスによる危機(Mental Health Pandemic)と認知行動療法による対応~大野裕先生の講義を受講しました~

コロナウイルスによる危機(Mental Health Pandemic)と認知行動療法による対応~大野裕先生の講義を受講しました~

【目次】
はじめに
認知行動療法的なMental Health Pandemicへの対応
まとめ

はじめに

2020年7月22日(水)に、webセミナー、「新型コロナウイルスCOVID-19とこころの健康(講師:大野裕先生)」をスタッフ一同で受講しました。

前回の記事(リンク)では、新型コロナウイルスCOVID-19の感染拡大によって、私たちの①生存、②人間関係、③次世代が脅かされており、そのことが心の健康に大きな影響を及ぼしていることをお伝えしました。

今回は、その危機(Mental Health Pandemic)への対応についてお伝えします。

Mental Health Pandemicへの認知行動療法的な対応

 それでは、私たちはこのような危機にどのように対応していけばいいのでしょうか。最初に先生が強調しておられたのは、「現在のストレス状況下では、生活行動が変化することは当然」ということです。新型コロナウイルスCOVID-19の感染拡大下で、私たちの生活は大きく変わりました。生活行動の変化や様々な感情は、環境の変化に対する生き物としての自然な自己防衛反応なのです。それを認めたうえで、①ネガティブな感情への対応、②生活習慣の改善、について教えていただきました。

①ネガティブな感情への対応

認知行動療法では3大ネガティブ感情というものを設定しています。その3つとは、1不安、2うつ、3怒り、です。それぞれが「新型コロナウイルスCOVID-19感染拡大のもとでどのように表れるか」、そして、「どのように対応していけばよいか」について見ていきましょう。

1不安

不安とは

不安は、危険を感知したときに生じる感情で、危険なものから逃げようとする行動を伴います。先ほど示したように、感染拡大によって、私たちは様々な面から生存や生活を脅かされており、その反応として不安な感情が現れます。

不安―危険―回避と進行し結びついてしまい、適切な行動がとれなくなってしまいます。

 

不安への対処

上の数式をご覧ください。不安な時には危険を大きく見積もり、自分の力を小さく見積もることで、不安が大きくなることがわかります。では、この感染拡大下で危険への見積もりを小さくし、自分の力を大きくするためには何が出来るでしょうか。以下にその例を示しました。ご参考ください。

2うつ

うつとは

 うつは、自分が何かを失ったと感じるときに起こり、その際、人は自分の内側に閉じこもって失ったエネルギーを回復しようとします。感染拡大によって、自粛・在宅の時間が増え、今まであったものが失われて、どんどん元気がなくなっていく方がおられます。(人とのつながりを失ってしまう・社会活動がなくなってしまうなど)

うつ―喪失―退却

 

 そして、「自分はダメな人間だ」「誰にもわかってもらえない・嫌われている」「もう、どうすることもできない」と自己・世界・将来に対して悲観的な考えが強くなっていきます。

うつへの対処

 うつへ対処する際は、この悲観的な考えが変わっていくような行動をとることが大切です。対処には順番があります。

問題解決法については、こちら()をご覧ください。

3怒り

怒りとは

 怒りは、自分のテリトリーが侵される(自分の行動が制限されるなど)ことで生じる感情で、攻撃的な行動を伴います。感染拡大によって、自粛生活が始まり、今までできていたことが出来なくなり、イライラされる方もおられ、そんな自分を責めてしまいがちですが、生体の自然な反応として、まずは認めてあげましょう。

怒り―侵入―攻撃

怒りへの対処

 怒りは、制限されることへの反動であり、現状を変えるエネルギーになりえます。なので、怒りを押さえつけるのではなく、波に乗るようにして上手に利用していくことが大切です。

②生活習慣の改善

感染拡大下では、活動が制限され、食事・嗜好品(アルコールやたばこ)によるストレス解消に偏りがちになります。それは、当然の反応と認めたうえで、代替行動を探っていきましょう。

また、運動不足などから、睡眠リズムも乱れがちになります。眠くなってから床に就く・眠りが浅いときは睡眠時間を短くする・睡眠環境を整える(詳しくはこちらやこちらをご参照ください)などの対処が有効でしょう。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。

 今回は、大野裕先生のwebセミナーの中から、「認知行動療法的なMental Health Pandemicへの対応」についてまとめました。

 新型コロナウイルスCOVID-19の感染が拡大し、私たちの生活は大きく変わりました。

 そのような状況下で、不安・うつ・怒り・生活習慣の乱れが、起こるメカニズムについて、そして、それらに対する認知行動療法的な対応について、お話しいただきました。

 次回は、「新型コロナウイルスCOVID-19感染拡大によって進んだ、新しい精神科医療のかたち」について、お伝えいたします。

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<行動活性化についての記事はこちら>

コロナうつで、やる気を取り戻すには行動活性化

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関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。