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公開日: |更新日: パニック障害

パニック症を治したいと思ったら?パニック症が治るための大切なポイント3つを解説!

パニック症を治したいと思ったら?パニック症が治るための大切なポイント3つを解説!

 

はじめに

パニック障害を治したいけれど、「薬に頼り切りになりたくない」、「自力ではよくならない」と、治療をあきらめていませんか?

また、クリニックで取り組んでいる治療の内容がよくわからず、病院選びを苦労されていませんか?

そのようにお困りの皆様に読んで頂きたいと思い、パニック障害を治すために大切なポイントを3つ解説し、あらたまこころのクリニックが実施している治療方法、治療過程についてまとめました。1つの方法としてご参考になれば幸いです。

パニック障害についての正しい知識と治療法を知ることは、パニック障害を治すことにとても役立ちます。

 

1 パニック障害を治すための3つのポイントを解説

 パニック障害には、パニック発作・予期不安・広場恐怖/回避などといった症状が出現します。そのため、これらの症状にアプローチしていくことでパニック障害を治すことができます。

以下には、パニック障害を治すための大切なポイント3つをまとめました。

ポイント①「薬物療法を活用する」

「薬に頼り切りになりたくない」と思っていたのに、いきなり薬物療法を活用するなんて嫌だなと思われた方もいるかもしれませんが、パニック障害の特に治療初期においては、お薬を活用していく事が重要であるといわれています。パニック障害で、全般的に不安が強い場合も、「薬は飲みたくない、怖い」という方もいらっしゃいますが、そういう場合こそ、SSRIなどの薬剤を上手に使った方が、治療がうまく進みます。薬を使いなが、併行して認知行動療法などの治療法を進めるのです。

正しく服用

 パニック障害の初期には、心臓のドキドキ、動悸、発汗、震え、息が苦しい、呼吸困難、のどが詰まる、胸の圧迫感、はきけ、めまい、手足のしびれなどのつらい身体症状と「死んでしまうのではないか」という恐怖や不安を伴うパニック発作が頻発する状況が続きます。

パニック発作が頻発するというのは、「本当は危険ではない状況に対しても、脳が危険を知らせるアラームを誤作動させてしまっている状況」が続いている状況であるといえます。そのような場合、安定して治療に取り組むこと自体が難しくなっているため、まずは脳の危険を知らせるアラームの誤作動を抑える必要があります。

 そのために、薬物療法が必要となります。薬物療法を取り入れることで、まずは、患者さまを苦しめている不安やパニック発作を抑えていき、再発予防に向けた治療に専念しやすくなります。

ポイント②「不安と状況を切り分ける」

 上記で説明したように、治療の初期に薬物療法を開始することで、パニック発作自体は起きにくくなります。しかし、「またあの場所(状況)で発作が起きてしまうのではないか」という不安については薬物療法だけでは、なかなかなくなりません。

その際に有効とされるのが、認知行動療法による治療です。

パニック障害に対する認知行動療法では、「本当は危険ではない状況(仕事や買い物などの日常生活場面)に対しても、脳が危険を知らせるアラームを誤作動させてしまっている状態」に対してアプローチし、誤った結びつきを適切な結びつきに修正していく治療を行います。

脳の誤作動

結びつきが緩んでいくと、不安症状も和らいでいき、薬物療法によって不安を低減させる助けも必要なくなっていきます。つまり認知行動療法を取り入れることで、次第に、薬を使わなくとも不安をコントロールできるようになっていくのです。

ポイント③「学んで実践する」

 パニック障害を治すためには、正しく病気の中身を知り、不安と状況の誤った結びつきを結びなおし、対処法をしっかりと身に着けたうえで、不安を感じる状況や不快な身体感覚そのものに慣れていくことが大切となります。不快だけれども危険ではないのです。パニック障害の治療では、ココ大事ですね。

認知行動療法を取り入れた治療では、パニック障害の知識や症状への対処法を学び、それを武器に、不安を感じる場面や不快な身体感覚にトライしていきます。

日常生活

トライしていただいことを日常生活でも実践していくことで、これまで不安や発作のせいで、行動範囲が狭められた生活空間を再び広げていくことができるようになっていきます。

【2 当院で実施している治療の種類と治療過程】

 ≪パニック障害の治療≫

パニック障害などの不安障害は、一般的に認知行動療法の効果が高く、再発も少ないとされています。

当院では、薬に頼り切りにならないように、薬物療法に加えて、グループでの認知行動療法を取り入れており、患者さま自身にパニック障害の対処法を身に付けてもらい、再発することなく自信を持って生活が送れることを目標にしています。

認知行動療法グループ

この認知行動療法グループは、習得までにある程度の時間がかかりますが、一度身につけてしまえば、自転車や水泳と同じで、後々まで残り役立ちます。

 曝露療法がとても治療効果があるのですが、1人でやるとなると怖くてとてもできません。それができるならパニック障害で苦しんでいないと思います。そこで、グループなどで、うまくやっている人の姿を見て、励まし合ってチャレンジされています。グループでやれば、案外簡単かもしれません。「なんーだ、そんなことか」と「案ずるよりも産むが易し」です。そのため、長い目で見れば、最短で効果的なパニック障害の治療法であると考えています。身体感覚曝露まで完了すると、かなり治療ははうまく行っていると考えても良いでしょう。

⑴薬物療法

 パニック障害の薬物療法は、主にSSRIと呼ばれる薬剤が中心となっています。服用することで、不安が次第に減少し、発作が起こりにくくなっていきます。このお薬は、服用後3週間くらいまでがとても大事な時期といわれており,この時期を上手に乗り切るとスムーズに治療が進みます。

服用後3週間が大事な時期であるといわれているのは、パニック障害の場合,薬を飲み始めた直後に不安が強く出やすいためです。

 SSRIなどの薬剤は、飲み始めに、人によっては3週間くらいまでは,いくつかの体の症状が出ることがありますが、体になじんできたら、自然となくなりますので、本当の副作用ではありません。

また、服薬している間に「副作用が長い間持続する」、「どんどんひどくなる」といったこともありません。

薬の作用

しかし、パニック障害の症状の1つである“身体感覚過敏“から、通常時よりも体の変化に敏感になってしまい、飲み初めに少しでも発作に似たような体の症状を感じると、どんどん不安が大きくなり「副作用で大変なことになる」「発作が起きてしまう」と考えてしまうことがあり、中には本当に発作に発展する方もいます。

そのため、このような流れがあることを予めしっかりと理解していただき、服用後にみられる体の症状は怖いものではないとわかっていただいてから、SSRIなどの薬を服用することが大切となります。

 あらたまこころのクリニックでは、患者さまのお薬への不安について、しっかりと聞き取りを行い、飲み始めに体にみられる症状等について詳しく説明させていただき、理解を得た上で薬物療法を始めていきますのでご安心ください。

⑵認知行動療法

あらたまこころのクリニックでは、薬物療法に加えて、認知行動療法を取り入れたグループ治療を行っています。グループ治療は、以下の流れで進んでいきます。

  • 心理教育(パニック障害の正しい知識を身に着ける)
  • 呼吸コントロール法や認知再構成法(パニック発作や不安への対処法を学ぶ)
  • 苦手な身体感覚や不安を感じる状況に対する曝露(苦手な体の症状や不安だった状況が怖いものではないと理解して慣れていく)
  • 再発予防(症状をコントロールし、再発や悪化を防ぐ)

このようにステップを踏みながら、パニック障害の知識や症状への対処方法を身に着けてもらい、最終的には「自分で自分の治療者になる」ことを目標として、治療を行っています。

これらの流れを自動車教習所に例える人もいます。

始めは車の運転を教習所(グループ)の中で練習して、仮免をとって外の道路(日常生活場面)で少しずつ練習をする。そのうち自分の力で、どこでも好きな所に行けるといったイメージです。

お出かけ

グループに参加していただいた方々の多くは、グループを卒業しても、薬を使わずに、パニック障害の再発を防いだり、再発したとしても悪化することを防いだりすることができるようになっています。

【3 まとめ

 パニック障害は、体の病気がないのに突然、動悸、発汗、震え、呼吸困難、胸の圧迫感、吐き気、めまい、手足のしびれなど、体の自律神経症状を伴うパニック発作が出現することから始まります。

そして、発作が起こった後、「また起きるのではないか」と不安になり、活動範囲が狭まり、日常生活にも影響が生じます。

そのようなパニック障害を治すためには、それぞれの症状にアプローチすることが必要となり、①「薬物療法の活用」、②「不安と状況を切り分ける」、③「学んで実践する」の3つのポイントが大切となります。

 

 あらたまこころのクリニックでは、上記ポイント3つを抑えた治療を行っており、治療初期には薬物療法を用いて症状を安定させ、次に、認知行動療法などの心理療法を用いて発作や不安への対処法を習得してもらい、最終的には、薬に頼らずに自分で克服する力を身に着けてもらうことを目標として治療を行っています。

グループに参加する上では、パニック障害の正しい知識を身に着け、症状のメカニズムに対応した対処法を習得し、苦手な状況や感覚を避けないで繰り返し練習していくことが大切となります。

さいごに、この記事を読んでいただいて、パニック障害を治したいと思った方は、まずは一度ご相談ください。パニック障害は、しっかりと治療に取り組めば、患者さまを苦しめていた症状たちは、必ず改善されていきます。

一緒に力を合わせて頑張っていきましょう!

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。