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女性のうつ病の種類と症状

女性のうつ病の種類と症状

【目次】
女性のうつ病にはどんな症状があるのでしょうか?
「当たり前」と見過ごさず、正しく理解し、早目の対策を!
まとめ

女性のうつ病にはどんな症状があるのでしょうか?

女性のうつ病では、一般的なうつ病に見られるような、気分の落ち込み、意欲や集中力の低下、興味の喪失などが見られます。ただ、女性が経験するライフイベントやホルモンの変化によって症状が影響を受け、さまざまな症状が見られることがあります。

月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)

月経前症候群(PMS)、PMDD(月経前不快気分障害)は、月経(生理)の14日前以降に起こる、落ち込み、イライラ、不安、頭痛、食欲低下/過食、めまい、吐き気、便秘、お腹の張り、集中力低下などさまざまな症状のことです。個人差がありますが、毎月同じような症状が現れたり、時々症状が現れたり、年々ひどくなるような場合もあります。これらの症状は、月経が始まると軽くなり自然に治まります。

妊娠・産後・育児中のうつ

妊娠・出産は一般的に喜ばしいことではありますが、ホルモンの急激な変化により、女性の心にも体にも大きな負担がかかります。また、妊娠中から、出産・育児に関する様々なプレッシャーがかかることも多く、休職や退職などの生活の変化により、役割が大きく変わって、気づかないうちにストレスになっていることがあります。症状としては、落ち込み、イライラ、不安、孤独感などが強くなります。

家族関係に悩むうつ

夫婦関係(コミュニケーションがうまくいかないことや浮気、離婚、死別、DV)、親との関係(幼少期からの関係、介護の問題)、子どもとの関係(子どもの反抗期や不登校・引きこもりへの対応、空の巣症候群)など、家族関係も、女性にとって重要な問題になりがちです。特に日本ではまだまだ「家庭のことは女性」という風潮が残っています。年齢や状況によって、家族に関する悩みも変化していきます。

更年期のうつ

女性は、40代になると卵巣の機能低下に伴って女性ホルモンの分泌が減少していき、やがて閉経を迎えます。閉経の前後約10年が「更年期」で、この時期には様々な症状が心身に現れます。また、この年代では、子どもの自立、親の介護など、役割の変化も多く、ストレスが多くなる時期です。こうしたことから、抑うつ症状が発症しやすいのです。

更年期障害の症状は、うつ病の症状と似ていますので、うつ病になっていても気づかず、見過ごされやすいのですが、心身の不調が長く続くときは、うつ病ではないかと疑ってみる事も必要です。 特に「強い憂鬱感」「何をしても楽しくない、興味がわかない」など抑うつ気分が2週間以上続く時は、更年期うつ病の疑いがあります。 また、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)、産後うつ病の既往のある女性は、更年期うつになりやすいという報告もされていますので注意が必要です。

「当たり前」と見過ごさず、正しく理解し、早目の対策を!

月経や妊娠・出産、閉経などは、女性にとって「当たり前」で「みんなが経験すること」です。ですので、落ち込んだり不安になったりイライラしたりするのは「性格」の問題などと誤解され、病気が見逃されがちです。

しかし、この「当たり前」で「みんなが経験すること」が、思いのほか心や体にストレスを与えていることがあります。月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)、妊娠・産後・育児中のうつ、家族関係に悩むうつ、更年期のうつなどは、こうした症状の代表的なものなのです。

うつ病を過剰に恐れる必要は全くありませんが、症状について正しく知り、症状に気づいたら早目の対策をすることが、回復の第一歩です。

まとめ

女性のうつ病では、経験するライフイベントやホルモンの変化によって、さまざまな症状が見られることがあります。
年齢や時期によって、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)、妊娠・産後・育児中のうつ、家族関係に悩むうつ、更年期のうつなど、注意が必要な症状がありますので、これらの症状について正しく理解し、症状に気づいたら早めに対策をすることが大切です。

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。