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2022.06.15 自律神経失調症パニック障害

暑い夏が怖い、パニック障害は悪くなる? 不快な感覚と不安障害の関係について解説

暑い夏が怖い、パニック障害は悪くなる? 不快な感覚と不安障害の関係について解説

目次

はじめに

パニック障害は暑く湿度が高い時期につらくなる?

パニック障害になると不快が怖いと感じてしまいます。

パニック障害と身体感覚過敏の治療

 

はじめに

 名古屋でも、6月に入り徐々に気温が上がってきました。最高気温も30度を超え、梅雨の時期は湿度も上がっていきます。

さらに、新型コロナ感染予防でマスクを着用しますので、むし暑さや息苦しさがより感じる季節です。

パニック障害の患者で、こういった気温が暑くなり、湿度が高くなってくる季節になると、

息苦しさや、めまい、過呼吸、動悸などのパニック発作やなんとも言えない体の不調が出てくる方がいらっしゃいます。

これらの症状はすごくつらいものだと存じます。その理由を知っただけでも、楽になったと話される患者様もいらっしゃるので、今回のブログで取り上げます。

 

パニック障害は暑く湿度が高い時期につらくなる?

 

実は、パニック障害は、暑い、湿度の高い梅雨や、夏につらくなりやすいです。

なぜなら…

気温も湿度も高い季節の中で生活をしていれば、身体の自然な反応として、汗やほてりなどが生じてきます。これは、誰にとっても不快に感じるものです。ところが、パニック障害の方は、こうした自然の反応が、ドキドキなどの不整脈、息苦しい、手のしびれ、吐き気、のどが詰めるなどの体の症状へと進み、心筋梗塞など重大な病気ではないか?と危険に感じ、怖くなります。また、その不安がパニック発作を引き起こし悪循環につながっていきます

たとえば、梅雨時、満員電車に乗って、大勢の人に囲まれた状況で、ムアッとした蒸し暑さで、汗が出てくると、「パニック発作が起きそう」と通勤途中でも電車を降りる。会社では、職場のクーラーの風が、体にあたり、腕の毛や背中がゾワーとして気持ち悪い、イヤな感じ、怖いとなり、「どんどんひどくなって倒れてしまったらどうしよう」と不安になる方もいます。

なぜ、こんなことがおきるのでしょうか? 

  パニック障害になると不快が怖いと感じてしまいます

 パニック障害の方の中には、夏が怖いと感じ、不眠や体の不調が続くようになるられる人がいます。満員電車に乗ったときのムアーとした感じが怖い。暑さそのものではなく、体の皮膚の感覚や汗やほてりを、不安や怖いと感じてしまうためです。これがパニック障害です。

私たちは、誰でもむし暑くて汗がジトーと出るのは気持ちの良いものではないですね。誰でも不快ですが、パニック障害になると、身体感覚過敏と不安が密接に結びついて、死ぬかもしれないような恐怖や慢性的な体の不調が続くことになることがあります。

 パニック発作は、本来は「青天の霹靂」と言われるように、理由もなく急に出現し、「ドキドキ」「手の震え」「息が詰まる」「呼吸ができない」「胸が苦しい」「めまい」「吐き気」「血の気が引く感じ」「倒れてしまいそう」など、人によって様々な身体症状を引き起こします。

しかし、梅雨や夏は汗やクーラの風などで「イヤな皮膚感覚、身体感覚」が引き金になってパニック発作が起きてしまいます

 そして、繰り返しパニック発作を経験するうちに、本来は、誰にでもある自然な身体症状を「パニック発作に似ている」=危険!と脳が、勘違いして受け取り、不安になることがあるのです。

これを身体感覚過敏といい、体の違和感から「パニック発作を起こしているかも」と予感して不安から、実際にパニック発作を起こしてしまうこともあります。

この悪循環に気づくとパニック障害は改善します。「なんだ,暑くて汗もベタベタして、気持ち悪い,不快だけれども、危険ではないなあ」と思えると良くなります。

 一度,パニック障害になり、身体感覚過敏と予期不安が結びついてしまうと「頭では分かっているんだけれども、なんか、怖いなあ」と思う人もいるかもしれません。この悪循環を1人では解決するのは難しいかもしれませんが、手順通り、治療を進めれば,改善してきます。脳が、不快なだけで危険ではない状況を危険な状況と勘違い不安になっているだけですから。現実の危険が迫っているわけではありません。ここを確認していくことが治療の第一歩になります。

パニック障害と身体感覚過敏の治療

 この身体感覚過敏に対して、あらたまこころのクリニックでは身体感覚曝露という治療をグループ療法の中で行っています。
身体感覚曝露は、苦手な身体症状をわざと引き起こし、体験やグループでの共有を通して、「パニック発作が起きても安全である」ことを体験する治療法です。再度、体に汗やほてりなどの自然な体の反応が危険なものでないことを再学習してもらいます。
※苦手な身体症状は人それぞれであり、全ての身体症状の克服へ取り組む必要はありません。当院では、身体感覚曝露による治療をスタッフと一緒に取り組んでいます。

 汗やほてりのような、日常生活をしている中で感じる自然な身体症状を「発作ではなく、自然で安全なものだ」と捉えられるようになると、汗やほてりなどで不快に感じても不安にはならず、結果的にパニック発作も起こりにくくなり自信が持てます。

ご興味のある方は、まずは医師にご相談いただければと存じます。

パニック障害について

 

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。