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2021.10.25 睡眠障害・不眠症

不眠症ってどんな治療をするの?

不眠症ってどんな治療をするの?

  なかなか寝付けない、途中で目が覚めてしまう、しっかり寝られない・・・。

これでは日中でも眠気やだるさから抜けられず困ってしまいますよね。慢性化した不眠症は、自然に治ることはあまり期待できないため、治療が必要です。

この記事では不眠症にはどんな治療があるのか、また実際にどのようなプロセスを踏んで治療していくのかにも触れていきます。不眠症に悩まされている方や周りの方も、ぜひ参考になさってみてください。

不眠症の治療方法

不眠症の治療は主に2つに分けられます。

  1. 薬物療法
  2. 非薬物療法(環境調節、睡眠短期行動療法、認知行動療法など)

1.薬物療法

睡眠薬というのは効き目を感じやすいもので、飲めばたちどころに不安や緊張が解消され睡眠への効果が見られます。以前は、ベンゾジアゼピン系というお薬が多く処方されました。誰にでも一定の効果があり(個人差が少ない)、安全性も高いとされています。

しかし使い勝手が良い分、依存が生じ、不眠の原因も分からないまま、もともとの問題が解決せず長期にわたって漫然と服してしまうケースも起こりがちです。

最近では、睡眠リズムに関係するメラトニンに作用する睡眠薬、ロゼレムや睡眠そのものに作用するオレキシンに作用する睡眠薬、ベルソムラ、デエビゴなどが登場し、睡眠薬もずいぶんと使い易くなりましたが、「誰でも、これさえ飲めば眠れる」という睡眠薬はなく、それぞれ一長一短です。

大事なのは、十分な診断です。
不眠の原因を検討せず、「ハイ。眠れる薬をどうぞ」というのは、後々困ることになるかもしれません。眠れない病気というのは80種類もあると言われています。不必要な睡眠薬を服用することになりかねません。

知っておきたい依存によるデメリット

睡眠薬は基本的には安全なお薬ですが、依存性の問題が生じることがあります。

ではどのようなデメリットがあるのでしょうか。

大きく下記の4つがあげられます。

  1. 同じ容量では効果が得られなくなってくる。
  2. 薬の効果が翌日まで持ち越され、午前中に眠気やふらつきやすくなる。
  3. 睡眠薬を突然中止することで、かえって症状が強くなる。
  4. 軽い離脱症状が起こる場合に処方を増やし、薬の量や種類が増え悪循環となる。これは絶対、避けたいですね。
「睡眠薬による悪循環」に注意

 先にあげた「睡眠薬による悪循環」とはなんなのか、もう少し詳しくみてみましょう。

ベンゾジアゼピン系薬剤のなかでも、効果が一時的に強くなり、かつすぐに消えていく過程で不安や不眠が悪化するする薬があります。デパス、エチゾラムなどがそうです。

反跳性不安

 薬を飲んだ直後は不安や緊張が治まりますが、薬の効果が切れてきたころにその反動で、不安や緊張がぶり返してしまうのです。

このようなプロセスを繰り返す中で、薬が手放せなくなってしまいます。これを専門的な言葉で常用量反跳性不安・依存の形成といいます。

睡眠薬との正しい付き合い方

 薬が手放せなくなる可能性があるから、睡眠薬は怖いお薬であり、飲んではいけない。ということではありません。

厚生労働省の健康情報サイトにも下記のように書かれています。

現在広く使われている睡眠薬は不安や緊張・興奮をやわらげて眠りに導くので自然に近いりが得られ、副作用も少なく安心して使えます。

ただし長期にわたって漫然と使い続けるのはよくありません。医師の指導の元に適切に使用することが大事です。

引用:不眠症 – 厚生労働省 生活習慣予防のための健康情報サイト

 

 あくまでも医師の正しい処方とそれを守った正しい服薬が大切なことがわかります。

自分の匙加減で1錠追加する、知人の睡眠薬と交換するなどはしてはいけません。とくにアルコールと一緒に服用するのは絶対避けて下さい。

医師の正しい処方

 適切に服用し、不明な事があれば医師に相談してみましょう。

なお、当院(あらたまこころのクリニック)院長の加藤正は睡眠薬などの依存を防止する啓蒙活動に力をいれており、名古屋市医師会において患者様が薬を手放すための医師向け講演や論文執筆を行なっています。

2.非薬物療法

 では次に睡眠薬以外の「非薬物療法」を見てみましょう。睡眠薬自体にに依存性は少なくても心理的に頼ってしまうことがあるので、そんな場合にも有効です。
睡眠薬を使わなければどうやって治療するの?と思われるかもしれませんが、不眠症のための「治療プログラム」で原因を診断し取り除いていくのです。認知行動療法、短期睡眠行動療法などの治療が効果が高いことがあります。また睡眠薬自体に依存性は少なくても心理的に頼ってしまうことがあります。

 しかし全ての人に可能な訳ではありませんので、人によっては睡眠薬を使わざるを得ないこともあります。人によって向け不向きがあります。

ですから、不眠の診断が大事です。例えば不眠症と思っていたら、不安障害やうつ病などのの不眠恐怖、寝室恐怖などの反すう、考え込みなどが原因の「ねつきが悪い」「夢ばかり見て途中で目が覚める」「朝早く目が覚める」などの不眠症が起きている場合があります。この場合は、睡眠薬ではなく、うつ病の治療やマインドフルネスなどが効果があることがあります。

 特に長く続く不眠症で、かつ、精神疾患や睡眠時無呼吸症候群など身体疾患が原因にないものは、渡辺範雄先生が開発された下記の睡眠短期行動療法を行うことがあります。

不眠症治療プログラムで実施する「4本の柱」
  • 睡眠日誌

 毎朝、何時から何時まで、どれくらい眠れたかなどを記録していきます。治療目標の設定や治療効果の測定のための貴重なデータとなります。自分の睡眠のパターンを知り、試行錯誤しながら治療戦略を練ります。

  • 睡眠環境調整

 チェックリストで睡眠環境を確認し、不眠の原因を探り、質の良い睡眠のために必要な生活習慣についてレクチャーを受けます。自分の睡眠の環境を見直すことは必ず必要です。これだけでも効果がある人もいらっしゃるからです。

  • 刺激コントロール

「寝床は眠る以外には使わない」ことが大切なポイントです。具体的には以下の3つを忠実に実践していきます。

  1. 寝床では、睡眠以外の行為をしない
  2. 途中で15分以上目が覚めてしまったら、寝床を出る
  3. 寝床に戻るのは眠くなった時だけ
  • 睡眠制限法

最初は短い時間だけ寝るようにし、睡眠の質が上がってきたら徐々に時間を増やしていく、という方法です。必要な睡眠時間のみ寝床にいるようにし、睡眠の質が良くなるよう導きます。
やり始めは、きついですが効果があります。「眠るためには寝ない」を合い言葉に頑張ります。

睡眠の質

 

 不眠症治療プログラムにつきましてイメージがわきましたでしょうか?

こうして出来るところから少しずつ睡眠環境を改善していき、「質の良い睡眠をとる癖」をつけていくわけです。

不眠症治療のプロセス

 実際にクリニックではどのようなプロセスを踏んで不眠症治療にあたるのでしょうか。時系列で解説します。

  • 開始時:日常生活を見直し、不眠の原因となる生活習慣を改善する。

不眠の症状や状態を医師に伝え、睡眠衛生指導をもとに不眠の原因となる生活習慣を改善する。

  • 初期:症状に合わせてお薬を服用する。

生活習慣の改善、治療プログラム(行動療法)と同時に必要に応じてお薬を使って治療する。

  • 改善期:症状が改善したら薬を減らす。

良い睡眠のための生活習慣が定着し、症状が安定して、医師と相談して睡眠を減らしていく。

  • 安定期:睡眠薬をやめたり、他の薬に変えて様子をみる。

 薬をやめても状態が安定していることを確認し、治療を終了する。良い睡眠のための生活習慣は続ける。

このようなプロセスで、安全に不眠症は治療することが出来ます。

おわりに

あらたまこころのクリニックの治療理念は「薬に頼り切らない」です。睡眠環境や生活習慣の見直し、積極的な良い睡眠の取り組みを大切にしています

 本記事を読んで、ご自身の不眠症が気になる方は早めに専門機関を受診して頂ければと思います。早期発見、早期治療がとても大切です。

こじれて、うつ病になったり寝酒が増えてしまったりしないようにしましょう。

あらたまこころのクリニックでも不眠でお困りの患者様に対する治療に取り組んでおります。ぜひご相談ください。

 

関連する情報

監修

加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長/名古屋市立大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医
所属学会 / 日本精神神経学会、日本うつ病学会、日本嗜癖行動学会理事、厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
クリニック/名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。