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薬に頼り切らない不眠症治療

薬に頼り切らない不眠症治療

【目次】
不眠症とは
不眠症が続く悪循環
薬に頼り切らない治療
今回のまとめ

はじめに

あらたまこころのクリニックでは、睡眠のトラブルでお困りの方が多く受診されます。

薬による治療を求めて来院される方もいれば、「できるだけ薬は使いたくない」、「すでに薬を飲んでいるが、薬も減らしていきたい」と希望され受診されるかたもいらっしゃいます。

では、薬に頼り切らずに不眠症を解決していくには、どのようなことすれば良いのでしょうか?

今回は、不眠症に対する「薬に頼り切らない治療」について、解説していきます。

ポイントは、睡眠についての知識と自分の不問のパターンを知る、睡眠の行動パターンを変えることです。

不眠の短期行動療法などが役に立ちます。

不眠症とは?

不眠症4つのタイプ

不眠症には大きく分けて4つの種類があります。
①なかなか寝付くことができない
②夜中に目を覚まし、ふたたび寝るのに時間がかかる
③予定していた時刻よりも早く目が覚め、ふたたび寝るのに時間がかかる
④時間的には眠っているが、熟睡した気がしない、昼間に眠気が強い
の4つです。

これら4つのような状態が一定期間続き、日中の仕事や生活に影響が出ている際に、不眠症と診断されることがあります。

不眠症には早めの対処を

不眠症には、早めに気づき、早めに対処をすることがとても重要です。

なぜなら…、

①様々な心身の問題が不眠として現れるため

不眠症には、日中のストレス、心身の病気、生活環境の変化、生活リズムの変化など、さまざまな要因が関係しており、不眠はそれらの問題を表すバロメーターでもあります。

②様々な疾患と関係しているため

不眠症の背後に、うつ病、不安障害、生活習慣病、認知症などさまざまな疾患が隠れている可能性があります。

不眠症が続く悪循環を見つける

不眠症には日中のストレス(職場での人間関係、家族関係がうまくいかないなど)

心身の病気(うつ病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群など)

生活環境の変化(騒音、温度変化など)

生活リズムの変化(昼夜逆転など)など、

さまざまな要因が関係していることがあります。

架空事例

ここでは、反すう、考え込みと呼ばれる状態が起きて悪循環になり不眠症が続いているAさんの例をご紹介します。

Aさんは、仕事や人間関係で悩みがあり、家に帰ってからもそのことで悩み、しまいには、寝床に入ってからも考え続けるようになってしまいました。その結果、悩みによって、不安や緊張状態が続き、なかなか寝付けなくなってしまい、睡眠の質が低下してしまいました。

眠れない日々が続き、集中力が続かなくなったり、頭がボーとして判断することができなくなったり、上司や同僚の悪気のない、ひと言をいつもよりネガティブに捉えてしまったりするようになりました。

仕事でもミスが増え、指示されたことを、うっかり忘れてしまうことも多くなりました。これらの状態がまたストレスを生み、そのことについて考え続けるといった悪循環に陥ってしまいました。

昼間に少しでも寝ようと昼寝を取って対処しようとしました。また、体を横にして過ごす時間も増えました。昼間に寝たり休んだりするため、夜になっても眠気が来ず、夜眠れない分に日中横になったり、昼寝をしたりする悪循環が生じてしまいました。

このような状態から抜け出すためには、ご自身や周囲の人が異変に気付き、専門の医療機関へ早期に受診して相談することが大切です。

薬に頼り切らない治療

医療機関を受診したAさんはそこで、不眠症の診断を受けました。問診を通して、医師がAさんに合った睡眠薬を処方しました。

加えて、専門のスタッフとの面接を重ねる中で、不眠症を継続させる悪循環や生活習慣や睡眠環境を一つ一つ見つけていきました。

その結果、Aさんには不眠症への治療プログラム、睡眠の短期行動療法が有効であることがわかり、スタッフの説明の上で、そのプログラムを受けることに同意され、実施されました(治療プログラムの詳細はこちら()をご参照ください)。

今回のまとめ

みなさんいかがでしょうか?今回は不眠症に対する「薬に頼り切らない治療」について、悪循環の一例をまじえながら解説しました。ここでご紹介したのは、あくまで一例です。実際には、お一人お一人のお困りごとは異なります。

あらたまこころのクリニックでは、医師が必要と判断した場合に、「薬に頼り切らない治療」の一環として、専門のスタッフと一緒に悪循環を探していくことがあります。

「薬に頼り切らない治療」へご関心のある方は、まずは医師にご相談いただくことをおすすめします。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。