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疾患について DISEASE

2020.11.01 働く人の発達障害

発達障害 シリーズ④ 発達障害かもしれない人と発達障害の違い

発達障害かもしれない人と発達障害の違い

【目次】ネット上にはチェックリストがたくさんありますが
ASD自閉症スペクトラム障害のこだわりと一般の「オタク」の違い
ADHD注意欠如多動性障害の「不注意」と一般の「うっかりさん」の違い
ADHD注意欠如多動性障害の「多動」と一般の「活発な人」の違い
まとめ

ネット上にはチェックリストがたくさんありますが

 インターネット上には、「はい・いいえ」で答えるチェックリストなども出回っており、発達障害の傾向があるかもしれないくらいは、簡単にわかるようになっています。

 しかし、ちょっと待ってください。これらのチェックリストの中には、反応性愛着障害・社交不安障害・解離性障害・統合失調症など、他の精神疾患にもみられる症状や行動が多く含まれています。このようなチェックリストで「発達障害かもしれない」と思っても、しっかりトレーニングを積んだ発達障害の専門家や専門医に診てもらうまでは、発達障害かどうかはわからないのです。

 とはいえ、「もうちょっと自分で知りたい・調べてみたい」。そんな方のために、「発達障害かもしれない」「発達障害にも見えなくもない」普通の人(オタク・うっかりさん・活発な人)と発達障害の特性を比較しながら、もう少し深く、ASDやADHDについてお伝えしていきたいと思います。

ASD自閉症スペクトラム障害と「オタク」の違い

共通点と相違点

 特定の物事に強い興味を持ち、マニアックな知識やグッズや技術を持っているのが両者の共通点でしょう。しかし、ASDには対人関係の苦手さとこだわりの強さのという特性があり、オタクにはそれがないorそれほど強くない。という違いがあります。どういう事でしょうか?

オタクはオタク趣味を通して社交する

 オタクの人も特定の物事に強い興味やこだわりがあることはASDと共通です。しかし、オタクの人たちは、そのこだわりを対人場面に合わせて調節することができます。

例えば、料理に強いこだわりがある人でも、他の人に料理を食べてもらうのも好きで、自分がその時作りたい料理よりも、食べてくれる人に合わせて料理を作り、料理を通してできた友人たちとの社交も楽しむ。そんな人は、おそらくASDとは言えないでしょう。

ASDは、こだわりを対人関係より優先する

 一方、ASDの方でも共通の趣味を持った友人と交流することはあります。しかし、その交流の在り方が、通常の社交とは若干異なります。彼らは、共通の趣味を持った友人で集まっても、趣味の活動を行う事が目的であり、対人関係を目的としないのです。どういう事でしょうか?

 例えば、共通のジャンルの映画が好きな人同士が、一緒に映画を見て、その感想を言い合うことはあっても、別の日に「一緒にお茶でもしよう」とはならないのです。駅から映画館への道すがらも、特に話したりしなくても平気な方々もいます。映画を見に行くという活動を共にしていれば、そこに友人関係は成立します。

社交よりも、活動を重視する交流の在り方がそこにあります。

交流重視の会話と内容重視の会話

 オタクの人の場合は、自分の深い知識をうまく調整して、会話を盛り上げるために使うことができます。一方で、ASDの人の場合は、その知識をとことん語りたがる傾向にあるので、しゃべりすぎてしまったり、一人だけ極端にマニアックな方向に行ってしまったりすることがあります。

ここからも、こだわりが対人関係より優先する傾向がみられます。

 

ADHDの不注意と「うっかりさん」の違い

どんなに気を付けても、何度も忘れ物を繰り返してしまう

 ADHDの不注意傾向の代表として挙げられるのが、忘れ物です。財布や携帯といった貴重品や会議で必要な資料などなど、生活上のとても大切なものさえ、忘れてしまうのです。それも何度もです。自分でも痛い目にあい、何とかしようと思っていても、それでも忘れてしまう。そして、そのことで生活に支障が出ている。そのようなレベルであれば、診断が必要でしょう。

 時々忘れ物をしてしまう、「うっかりさん」であれば、一度痛い目を見たら、厳重に管理をして、二度目はないように工夫して、心がけるでしょう。それで、同じ失敗をする確率はぐんと減るはずです。

それでも、抜けてしまう問題

 ある人は、夜8:30に「課題をやったか?」と言う通知を設定している方がいらっしゃいます。通知が来たら、リマインダーを開いて、「これはやった。これはやってない」と毎晩チェックしています。

 しかし、なぜか、やってない課題を「やった」と思ってスルーしてしまったり、「明日が提出期限だから今晩やるぞ」となっても、何かの拍子にポンと抜けて寝てしまったりすることがあるそうです。

このように、厳重に管理しても、それでも抜けてしまうことがあるのがADHDの方と「うっかりさん」の違いではないでしょうか。

 

ADHDの多動や衝動性と「活動的な人」の違い

共通点と相違点

 体を動かしたり、何かをしたりしているのが好きで、いろんなところに出かけて行ってはそこでの活動や交流を楽しむ。 一方でじっとしているのは苦手で、長蛇の列に並んだりするとイライラと落ち着かない。ADHDにも「活動的な人」にも見られる特徴です。

 両者の違いは、一度集中したらそれを持続できるかどうか?、一つの活動をやり遂げるかできるかどうか?と言う点で。詳しく見ていきましょう。

ADHDの多動と衝動性

 ADHDの方のある休日です。家で掃除機をかけていて、途中で、「今日は晴天であること」を思い出して、布団を干しに行くためにベランダに出たら、ベランダのプランターが渇いていることに気づいて、ジョウロを片手に洗面台に降りて行ったときに、掃除機がけが途中であることを思い出す。

 このように、ADHDでは、活動一つ一つがやりっぱなしになってしまっています。その瞬間に気になっていることに意識がとられて、それまでやっていたことが抜けてしまうのです。もしくは、気になり始めたら、今までやっていたことが途中でも、そちらの方向に行かざるを得ないのです。

このように、ADHDでは、「集中を持続させて」して、「一つのことをやり遂げる」のが難しくなります。

 

まとめ

 いかがでしたでしょうか。オタク・うっかりさん・活動的な人とASDやADHDを比較することで、発達障害とは何かが、解ってきたのではないでしょうか。

ASD自閉症スペクトラム障害とオタクの間には、対人関係に合わせてこだわりを調整できるか否か、という違いがありました。

ADHDの不注意とうっかりさんの間には、一度した重大な忘れ物に対して厳重な管理をしても、それでも抜けてしまうか否か、という違いがありました。

ADHDの多動/衝動性と活動的な人の間には、一つのことを最後までやり切れるか否か、一度集中したらそれを持続できるか否かという違いがありました。

そして、これらに共通するものとして、本人や周囲の人が困っているかどうか?が挙げられます。

 発達障害とは、特性と環境とのミスマッチによって診断されるのです。発達障害は発達凹凸ともいわれ、「できる事とできない事が非常にはっきりしている」という特徴があります。

得意なところを活かし、苦手なところはそれほど目立たない環境であれば、「発達特性」があっても「発達障害」ではないのです