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症状別のよくある質問 DISEASE FAQ

パニック障害

PANIC DISORDER

薬物療法だけの治療と心理療法(認知行動療法)との併用による治療では、何が違うのですか?

治療のゴールがちがいます。頓服薬などの薬物療法は、パニック発作をすばやく軽くしてくれる作用があり、一時的とは言え、すぐに楽になる効果があります。しかし、「自信を持って暮らしていけるか」といった中・長期的な改善を目標とすると、薬物療法だけではゴールに辿り着くのは難しく、むしろ、苦手が増えてしまいます

なぜなら、薬を飲めば発作が起きないということで、常に頓服薬を手放せなくなるからです。それは、不安を抱えたままでの「条件付きの回復」です。いつ、パニック発作が起きるか分からないという不安を抱えたまま、パニック発作の症状(本当は、自分の身を危険から守るための症状なのですが)を、薬で一時しのぎで抑えている訳ですから、不安定な状態です。「今、ここでパニック発作が起きても大丈夫」という自信は、何年経っても、つきません。いつも、外出するときは、ポケットや財布に入れて薬を忘れないように確かめたり、苦手な場所が続いていたりします。

一方、薬と認知行動療法を併用した治療では、パニック障害についての正しい知識を理解し、恐怖や不安感との付き合い方を身に着け、実際に不安を体験する経験を重ねる(曝露療法)ことで、薬に頼り切らない回復に進んでいけます。「もし、今、ここでパニック発作がおきても大丈夫。」と思える治療です。どっちが、再発が少なくて、自信を持って暮らしていけるか?の答えは明らかです。治療のゴールの目標が違うのです。

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。