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公開日: |更新日: アルコール依存症

セリンクロとアルコール依存症の減酒治療の勉強会を行いました

セリンクロとアルコール依存症の減酒治療の勉強会を行いました

目次

アルコール依存症とは?
アルコール依存症のもう一つの治療目標
アルコール依存症の新しいお薬、セリンクロとは?

アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、習慣的な大量飲酒により脳が障害され、自分の意思では、お酒の飲む量、飲む時間、飲む状況といった「飲み方」をコントロールできなくなる病気のことです。病気が進行すると、毎日の生活は、飲酒中心となり、やがて、コントロール不能となり、身体、社会、精神的な問題を併発しながら徐々に悪化していきます。

しかし、飲酒をコントロールできないのは、「意思が弱いから」や「だらしない性格」なのでなく、脳の報酬系と呼ばれる所(側坐核などを中心)の働きがうまくいかなくなり、嗜癖(しへき)、アディクションという病気のためです。

アルコール依存症の治療

アルコール依存症の治療目標としては、断酒が基本です。私たちの脳は、いったんアルコール依存症を学習すると、元には戻らないようです。自転車や水泳を一度覚えると、忘れないようになるのと同じだそうです。また長年、飲酒を続けてきた生活パターンを一人で変えていくことは、とても困難です。今まで,酒で忘れさせてきた人間関係や様々なつらいことと、酒なしで向き合わないといけません。これは、つらい。ですから同じ問題を抱えて通院している仲間とともに、専門的な治療を受け、断酒生活に取り組んでいくことが大事になってきます。

当院では、アルコール依存症の方に、薬物療法、デイケア、グループ療法を通して回復のサポートを行っています。


こうした治療を継続し、アルコールの問題を克服して健康な生活をされている患者さんはたくさんおられます。
ただし、中には、軽症で断酒治療には抵抗がある方や、断酒が必要でも様々な理由で断酒治療が難しい方もみえます。

アルコール依存症の新しい減酒薬セリンクロとは

軽症で断酒治療には抵抗がある方や、断酒が必要でも様々な理由で断酒治療が難しい方が治療をすすめるための第一歩として、新たに減酒薬セリンクロ(ナルメフェン)が、治療の選択肢に加わり、2019年3月より処方が保険適応で可能になりました。節酒や減酒で,仕事や健康への害を少なくしながら、アルコール依存症の治療につながっているというハームリダクション、アルコールの被害を少なくしながら治療にアプローチする方法です。

セリンクロ(ナルメフェン)とは、

  • アルコール依存症と診断され、治療の意思のある患者さんに処方されるお薬です
  • 飲酒量を減らす、節酒、減酒するためのお薬です

セリンクロは、全てのアルコール依存症の方に適応するわけでなく、治療を開始するにあたっては医師の診察による判断が必要です。また、セリンクロの副作用で、胸のむかつき(悪心)やめまいなどが見られることがあるため、飲み方について医師や薬剤師の指導を守っていただくことが大切です。

やはり、アルコール依存症の治療は、「断酒」が基本ではありますが、軽症で、合併症などがない場合では、飲酒量の低減で症状が改善することがありますので、アルコールの問題が気になっている方は、是非一度、医師にご相談ください。

まとめ

アルコール依存症とは、習慣的な大量酒により脳が障害され、自分の意思では「飲み方」をコントロールできなくなる病気です。
アルコール依存症の治療目標は、「断酒」が基本です。
「断酒」は一人では難しく、同じ問題を抱えて通院している仲間とともに、専門的な治療を受けていくことが大切です。
「一定の条件を満たす」と医師が判断した場合は、「断酒」以外の選択肢として、減酒薬セリンクロが、2019年3月より、日本でも処方できるようになりました。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。