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仕事に行く前に吐き気が起こるのはストレスのせい?ストレスの原因と吐き気が辛い時の対処法を解説

仕事に行く前に吐き気が起こるのはストレスのせい?ストレスの原因と吐き気が辛い時の対処法を解説

「仕事が辛くて朝起きると吐き気に襲われる」

「仕事のことを考えると気持ち悪くなり吐き気がする」

など、仕事の悩みを抱えている人の中には、辛い吐き気の症状に悩まされている人も少なくありません。ストレスが溜まると、自律神経が乱れ体や心にさまざまな不調があらわれるため、その症状のひとつとして吐き気があります。今回の記事では、仕事に行く前の辛い吐き気を改善するために知っておきたいストレスの原因と、吐き気が辛い時の対処法を解説します。

仕事に行きたくない・・・出勤前の吐き気はストレスからくるの?

日曜日の夜になると、「仕事に行きたくないな〜」と憂うつになる経験は誰にでもあることです。しかし、仕事のことを考えたり朝仕事に行こうとすると気持ちが悪くなったり吐き気をもよおす人は、ストレスが限界にきているサインかもしれません。ストレスが溜まると自律神経の乱れを引き起こします。自律神経のバランスが崩れると体や心にさまざまな不調を引き起こすため、胃や腸のはたらきが悪くなったり胃酸が過剰に分泌されることで、吐き気の原因となることがあります。

「仕事に行きたくない」は甘えじゃない

私たちは日常生活を過ごす中で仕事や人間関係などのさまざまなストレスがありますが、どの程度ストレスを感じるかは人によって個人差があります。そのため強いストレスを抱えて「仕事に行きたくない」と限界の状況であっても、「休むのは甘えではないか」などと周りの目が気になり、辛い気持ちを我慢して仕事に行く人がほとんどではないでしょうか。

自分の辛い気持ちを無視したり誤魔化していると、身体症状としてあらわれることがあり、吐き気もその症状のひとつです。「仕事に行きたくない」という辛い気持ちを「甘え」と感じる人は、真面目で責任感が強い人に多くみられますが、無理を続けることで症状が悪化してしまう可能性があります。体や心の声に耳を傾けて、時には思い切って「休む」という選択もとても大切です。

吐き気だけでなく頭痛や動悸も引き起こす

ストレスによって自律神経が乱れると、吐き気だけでなく頭痛や動悸も引き起こすことがあります。交感神経が優位になるため、脈拍や血圧が変動したり呼吸が速くなったりします。さらに、精神的緊張は首や肩、後頭部の筋肉も緊張させるため、血行不良となり頭痛を引き起こしやすくなります。こうした複数の症状があらわれる場合には、自律神経失調症の可能性があるため注意が必要です。

仕事でストレスを感じる原因とは

 

仕事に行く前の吐き気を改善するためには、まずはどんな仕事上でのストレスがあるのかを明確にしなくてはなりません。仕事でストレスを感じる原因には、主に以下の4つのケースが考えられます。

  • 上司や職場の人間関係で悩んでいる
  • 仕事が合わずミスが続いたり成果が出せない
  • プレッシャーが大きい仕事を抱えている
  • 長時間労働や休日出勤で疲労がたまっている

上司や職場の人間関係で悩んでいる

仕事はひとりではできないため、人間関係はつきものです。さまざまな立場や価値観が集まる職場で一日の大半を過ごすため、職場の人間関係はとても重要です。職場の雰囲気にうまく馴染めなかったり苦手な上司や同僚がいるなどの人間関係に悩みがあると、知らずしらずのうちにストレスが溜まる原因となります。

仕事が合わずミスが続いたり成果が出せない

仕事にストレスを感じている場合は、そもそも仕事自体が自分に合っていない可能性があります。仕事が合わず苦手意識が生まれると、意欲の低下をまねいたり集中力が散漫になり、仕事でミスが出やすくなります。また、努力をしているのに仕事合わず成果が出ないと、自信喪失にもつながります。こうした積み重ねがストレスが溜まる原因となります。

プレッシャーが大きい仕事を抱えている

プレッシャーが大きい仕事もストレスを感じる原因のひとつです。適度なプレッシャーは成長やモチベーションの向上につながりますが、あまりにも大きすぎる場合にはストレスになるだけでなく、普段の力が発揮できないことがあります。プレッシャーがストレスとなると、夜眠れなくなったり、さまざまな体調不良となってあらわれるケースが少なくありません。

長時間労働や休日出勤で疲労がたまっている

長時間労働や休日出勤が続いていると、肉体的な疲労が溜まるためストレスの原因となります。多少疲れを感じていても休めば回復することがほとんどですが、長時間労働などで休む時間がなかったり睡眠時間が不足すると、ストレスは溜まる一方となり心身に不調があらわれます。

仕事前の吐き気を改善するためにできること

仕事前の辛い吐き気を改善するためには、仕事でのストレスの原因を明らかにしたうえで、原因に応じて対策を検討する必要があります。状況を改善するためにできることには、以下のものがあります。

  • ストレスの原因を探って向き合う
  • 休暇や休職などで思い切って休む
  • 上司や同僚、信頼できる人に相談する
  • 転職を検討する

ストレスの原因を探って向き合う

辛い吐き気は薬などを使って一時的に症状を和らげることができますが、根本的な解決にはなりません。仕事が辛いと感じたり吐き気の症状を改善するためには、ストレスの原因と向き合う必要があります。ストレスを感じながら勤務を続けなければならない状況を避けるためにも、なぜ仕事上でストレスを感じているかの原因を探ることがとても重要です。

当院では、一緒に振り返りながら気持ちの整理をする面談を行っております。詳しくは「心”整理”面接が役立つのはなぜ??」という記事をご覧ください。

休暇や休職などで思い切って休む

ストレスの原因を探ることはとても大切ですが、心や体が疲れ切った状態だと思考力が低下してうまく考えがまとまらないことがあります。そのため、まずはゆっくりとリラックスして休める環境を整えて、心や体を休めましょう。疲れの度合いによっては、長期休暇や休職などを活用して思い切って休むことも大切です。

上司や同僚、信頼できる人に相談する

 

「仕事に行くのが辛い」と感じることが甘えだと考えてしまう人ほど、辛い状況を誰にも相談できずひとりで悩みを抱え込んでしまいます。誰かに相談することで気持ちが楽になったり、状況を改善するための解決策が見つかることがあるため、思い切って信頼できる人に相談してみましょう。仕事の内容や人間関係などにストレスを抱えている場合は、上司に相談して環境を改善してもらう必要があります。

また、人間関係のストレスを減らすために、当院では「アサーション」というコミュニケーション方法をオススメしています。アサーションを身につけることで人間関係にストレスを抱え込むことなく自己表現できるようになります。アサーションについては「アサーショングループ療法のご案内」を参考にしてみてください。

転職を検討する

どうしても環境が変わらなかったり休んでも改善しない場合には、転職を検討することも大切です。辛い職場環境でストレスを抱えたままでいると、症状が悪化してうつ病などを発症する可能性があります。一度うつ病になると、日常生活に支障が出るだけでなく、社会生活にも大きな影響を及ぼします。辛い状況を改善するためには、転職してストレスの原因から離れることも有効な選択肢のひとつです。

吐き気が起きた時の対処法

仕事の悩みやストレスが解消するまでは、たびたび起こる辛い吐き気と付き合っていかなくてはなりません。吐き気が起きた時に少しでも楽になるような、その場でできる対処法をご紹介します。

<吐き気が起きた時の対処法>

  • リラックスして安静にする
  • 窓を開けて空気を入れ替える
  • 口の中を清潔にする
  • 無理に食事をしない

リラックスして安静にする

吐き気や気持ちの悪さを感じたら、落ち着くまで体の右側を下にして横になりましょう。ベルトなど体を締め付けるものがあれば、ゆるめてできるだけ楽な状態で安静にします。リラックスできるようゆったりと呼吸をし、全身の緊張をほぐすことが大切です。

窓を開けて空気を入れ替える

部屋に空気がこもっていると、吐き気がさらに強まることがあります。窓を開けて換気をし、新鮮な空気を取り込みましょう。空気が入れ替わることで、少し気がまぎれる効果もあります。

口の中を清潔にする

口の中のにおいも吐き気をもよおす原因となるため、うがいや歯磨きで口の中を清潔にたもつことが効果的です。歯磨きができない場合には、口をゆすぐだけでも良いでしょう。氷を口に含んだり冷たい水でうがいをすると、気分が楽になることがあります。

無理に食事をしない

吐き気を感じるときは、無理に食事をしないようにしましょう。食べ物のにおいによって吐き気が誘発されてしまいます。食べられるときに、口当たりや消化の良いものを食べると良いでしょう。

毎朝仕事前の吐き気が辛い・・・病院に行く目安とは?

吐き気の原因が仕事のストレスからくるものと原因がわかっていても、なかなか病院に行くことにためらいがある人も少なくありません。しかし、放っておいても改善は難しいため、自分でできる対策でも改善しない場合は専門医の受診をおすすめします。また、既に症状が進行してうつ病などを発症しているケースもあるため、下記に当てはまる場合は早めに心療内科や精神科を受診し、医師に相談しましょう。

  • 日常生活に支障が出るほどの症状が続いている
  • ほとんど毎日、もしくは2週間以上症状が続いている
  • 食欲がなく、不眠が続いている

まとめ

仕事のことを考えたり朝仕事に行こうとすると気持ちが悪くなったり吐き気をもよおす人は、ストレスが限界にきているサインかもしれません。ストレスが溜まると自律神経の乱れを引き起こし、体や心にさまざまな不調を引き起こします。仕事前の辛い吐き気を改善するためには、仕事でのストレスの原因を明らかにしたうえで、原因に応じて対策を検討する必要があります。

<仕事でストレスを感じる原因>

  • 上司や職場の人間関係で悩んでいる
  • 仕事が合わずミスが続いたり成果が出せない
  • プレッシャーが大きい仕事を抱えている
  • 長時間労働や休日出勤で疲労がたまっている

 

<仕事前の吐き気を改善するためにできること>

  • ストレスの原因を探って向き合う
  • 休暇や休職などで思い切って休む
  • 上司や同僚、信頼できる人に相談する
  • 転職を検討する

仕事のストレスによる吐き気は放っておいても改善は難しいため、自分でできる対策で改善しない場合は専門医に相談しましょう。既に症状が進行している場合はうつ病などを発症しているケースがあるため、早めに心療内科や精神科を受診してください。早期発見し適切に対処できば、早い段階での回復が期待できます。少しでも気になる症状がある方は、まずは一度、お気軽にご相談ください。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。