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公開日: |更新日: 睡眠障害・不眠症

眠りたいと思うと眠れない 架空ケースで知る不眠症

眠りたいと思うと眠れない 架空ケースで知る不眠症

【目次】
眠りたいと思うけど眠れない
架空ケースのポイント
まとめ

はじめに

新年を向かえ、一段と寒い日々が続いているなか、当院では“眠れない”という訴えが増えているように感じます。
そこで、今回のブログは【眠りたいと思うと眠れない】ことについて、お話したいと思います。

眠りたいと思うと眠れない

架空ケースを通して、具体的に知っていただきたいと思います。なお、架空ケースは実際の患者様たちの話をモデルに作りました。

20代 女性 会社員のHさん


仕事に一生懸命取り組み、ある程度の成果を出していました。
ある日、仕事でミスをしてしまい、上司から部下の前で指摘を受けてしまいました。
その日の夜、Hさんは指摘を受けたことを思い出し、「明日、会社に行きたくない。また怒られるかも」と考え、眠るのに30分かかりました。


責任を強く感じたHさんは、今まで以上に仕事で気を張るようになりました。
毎晩眠る前には次の日の仕事のことを考え、以前に比べると眠るのに時間がかかるようになりました。
その後、ミスした仕事もなんとか終え、仕事のリズムを取り戻せるようになりました。

しかしながら…
眠るまでの時間は改善されず、仕事中にも眠気が生じるように…


布団に入ると
「今日は昨日よりも早く眠れるかな…?」
「ちゃんと眠らないと、明日の仕事にまた影響しちゃう」
「眠りたい、眠りたい、眠りたい…!!」
時計を確認すると、また布団の中で60分が経過する…
眠りたいという思いは強くなる一方、眠れない日々は続きます。


「今日こそは絶対早く眠る」と意気込み
・寝返りを打ってみても
・心を”無”にしてみても
・気分転換にスマートフォンでSNS をチェックしてみても
・録画したバラエティを見ても
眠ることができない。

そして、Hさんは専門機関に相談することとなりました。

架空ケースのポイント

みなさん、いかがでしょうか。
この架空のケースにはいくつかのポイントがあります。

例えば、私たちは、夜になると論理的に物事を考える力が低下し、問題解決能力が落ちます。眠る時に悩み事が頭に浮かんできても、解決できず、出口のない迷路にいるようにグルグルと頭の中を巡り、抜け出せなくなる可能性があります。
そのため、 昼のストレスを布団の中に持ち込まないことが大切です。あらたまこころのクリニックでは、「くよくよ日記」という方法をお勧めしています。

また、眠れないことに対して心配することによって、かえって眠れなくなることがあります。
そして、眠れない時に行う眠るための努力も、逆にかえって眠れなくなることがあります。

少しでも当てはまると思われた方は、早めに専門機関を受診していただければと思います。
早期発見、早期治療がとても大切です。
当院でも、不眠でお困りの患者様に対する治療に取り組んでおります。

よろしければ、以下の記事をご参照ください。

過去の不眠症関連のブログ

不眠症とは

不眠症の院内研修を行いました(不眠症についての院内勉強会)

・不眠への治療プログラム① 不眠とは

・不眠への治療プログラム② 治療の概略

・不眠への治療プログラム③ 睡眠日誌と睡眠衛生教育

・不眠への治療プログラム④ 刺激コントロールと睡眠制限法

まとめ

架空ケースでは、仕事上のミスを強く叱責されたことをきっかけに、そのことが布団に入ってからも頭から離れなくなって、不眠症が始まりました。
ここで大切なポイントは、
①夜間は論理的に考える力が低下するために、悩みから抜け出しづらくなってしまう
②眠れないことを心配し、眠る努力をすることで、かえって眠れなくなってしまう
という点です。この悪循環からいかに抜け出すかが、不眠症治療において大切なポイントになります。
ご自身に当てはまる点が多いと感じられる場合は、早めに専門機関を受診されることをお勧めいたします。

あらたまこころのクリニックでも、不眠症に対する専門治療を行っております。

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不眠症治療プログラムの概略

不眠に対する行動療法カウンセリング

薬に頼り切らない不眠症治療

睡眠日誌と睡眠衛生教育

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関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。