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復職に向けて問題解決をする方法を身に付けよう!

復職に向けて問題解決をする方法を身に付けよう!

【目次】
問題解決技法ってなに?
問題解決技法を身に付ける
今回のまとめ

はじめに

精神科、心療内科に受診されるほとんどの方が、“眠れない”“意欲がわかない”“不安で仕方ない”などの症状に加えて、日常生活で何か困っていらっしゃることがあります。

治療では症状を緩和していくとともに、困りごと(問題)を解決していくことが重要となります。

ex職場でのコミュニケーションに悩み(問題)、気持ちが落ち込む(症状)

→症状の緩和=落ち込みの改善・困りごと(問題)の解決=コミュニケーションの改善

そこで、今回は心理技法の1つである、問題解決技法について解説していきたいと思います。

問題解決技法ってなに?

問題解決技法とは、その名の通り、問題を解決していくための技法です。認知行動療法と呼ばれる心理療法のなかの、一つの技法として分類されています。

問題解決技法の中には、全部で5つのステップがあります。それは、1)問題を整理して把握する 2) 現実的に達成可能そうな目標を立てる 3)解決策をたくさん出す 4)たくさんある解決策の中から、より良い解決策を選ぶ 5)実際に選んだ解決策を実行して、振り返る の5つのステップです。

それぞれのステップには、コツがあります。コツを踏まえたうえで、取り組むことで、今までは見つけることができなかった新しい発見があることでしょう。

問題解決技法を身に付ける

大切なのは繰り返し実施すること

では、問題解決技法を身に付けるためにはどうすればよいのでしょうか?

答えはシンプルです。それは、上記の5つのステップを繰り返し何度も行い、振り返ることです。
同じお困りごとに対して、1回取り組んだだけで解決することは多くありません。
解決できなかったとしても、取り組むことで次の課題が見えてくることがあります。
取り組む→課題が見える→取り組む→課題が見える→…、その流れを繰り返していくうちに、問題が解決され、問題解決技法の手順が身についていきます。

例えば、「人の前で自分の意見を1週間で1回言う」という目標を立てた方がいるとしましょう。
目標を立てたら、できるだけたくさんの解決策を出していきます。
「人の前で自分の意見を1回言う」を実現するための方策をとにかくたくさん出していくのです。
そして、多くの選択肢の中から、「友達と出かけた際に、自分の食べたいものを言う(e.g. スパゲティを食べたい)」という解決策を選んで実行しようとしました。

しかし、結果的に実行することはできませんでした。

失敗ではない、振り返りのチャンス

この時、「できなかった」と落ち込むのではなく、詳しく振り返ってみることが大切です。

例えば、1週間に1回言うという目標が高かったのかもしれません。2週間に1回にしてみましょうか。
もしも友達をご飯に誘うこと自体が苦手なのであれば、“まずは友達に、「週末ご飯へ行こう」という連絡をする”というところから始めてみるのもいいでしょう。
振り返りでは、うまくいった理由、うまくいかなかった理由を分析して、目標や解決策を再設定します。
そして、また実行していきます。
このように、トライ&エラーを繰り返すことによって、問題解決技法が身についていきます。

今回のまとめ

みなさんいかがでしょうか?今回は、復職対策の一環として、問題解決技法について解説をしました。

やり方を身に付けることが大切です。そして、一つも問題に対して何度もくり返し挑戦することで、少しずつ解決につながることでしょう。

問題解決技法にご興味がございましたら、こちら())をご参照ください。

あらたまこころのクリニックでは、問題解決技法を専門的に行うグループ治療を運営しております。興味のおありの方は、一度、医師にご相談ください。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。