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2021.04.02 認知行動療法

性格は生まれつきなの? クロニンジャー理論 第1回目

性格は生まれつきなの? クロニンジャー理論 第1回目

はじめに

 性格は、どこまでが「生まれつき」で、どこまでが「変わっていくもの」か考えたことがありませんか?

 今回はそのような疑問について、クロニンジャーのモデルをご紹介しながら考えていきます。

 【目次】

変えることができる所を見つけて、変えていく

クヨクヨ悩んだり、心配性なのは、生まれつき?

生まれつきの影響が大きい気質の4因子と環境に左右される性格の3因子

クロニンジャーの7因子モデルの特徴

変えることができる所を見つけて、変えていく

  「変えられないことを受け入れる落ち着きと、変えられることを変えていく勇気、そしてこの2つを見分ける賢さを」      

                                                                                                                                    ラインホルド・ニーバーより引用

 持って生まれた自分の「性格」が嫌いで、「私も、あの人みたいに明るい『性格』だったら良かったのに」、「変えたい」と思うことが、私たちは、誰でも思います。「性格」に良い、悪いはなく、「誰にでも良い所はある」とまでは分かっても。では、どうやって自分の「性格」を活用したら良いのか分からないという悩みは、誰にでもあります。「性格の全部を変える必要はないし、今すぐ変えられない所は、そのままにして、とりあえず受け入れて、変えられそうなことを変えていく、之を繰り返していくうちに見つけるのがうまくなって、どんどん自分の希望通りになってきた」と話す方もいらっしゃいます。治療技法としては、問題解決療法という方法が役に立つことがあります。

うつ病、パニック障害、社交不安障害をはじめとする不安障害など心の病気の多くは、社会的な因子(全ての人に共通する環境因子)、個人的な環境因子、遺伝的な因子という3つの因子が絡み合って発症すると言われています。あらたまこころのクリニックでは、認知行動療法やカウンセリングを始める際には、その人の性格や気質をしっかり理解し、患者様にも「自分を知る」ことと、うつ病やパニック障害、不安障害、不眠などの治療に役立つ治療を無駄なく効果的に進めるために心の地図(こころの整理面接)を一緒に作る作業を大切にしています。認知行動療法では、ケースフォーミュレーションと呼ばれています。

「自分の困りごとは、あー、こういうことだったのか」と言う発見が良い治療になると考えているからです。

 うつ病、パニック障害、社交不安障害などの不安障害などの心の病気の多くは、社会的な因子(全ての人に共通する環境因子)、個人的な環境因子、遺伝的な因子という3つの因子が絡み合って発症すると言われています。近年の精神医学では、脳についての科学的な研究が進み、薬物療法が進歩する一方で、人間の性格や感情の動きなどと遺伝子や脳内神経伝達物質の働きの関係が、かなり分かってきました。「性格」をいくつかの軸に分解し、それぞれの強さを数字で表すことにより、性格の全体的な特徴を捉えようとする試みが盛ん行われています。

その代表格の、クロニンジャーの7因子モデルを、今回、ご紹介します。

クヨクヨ悩んだり、心配性なのは、生まれつき?   遺伝子とセロトニンの働きが心に影響する

 1996年にアメリカのレッシュらは、セロトニンの遺伝子の違いが人間の不安の感じやすさに関係していると言う研究結果を科学雑誌サイエンスに発表しました。うつ病やパニック障害など不安障害などに影響したり、セロトニンが脳内に少ししかないと、ささいなことでクヨクヨと悩みます。人種や女性ホルモン、PMDD(月経前不快症候群)によって違っています。また私たち日本人は、セロトニンの少ないタイプの遺伝子が多いと日米比較研究で分かっています。不安を感じやすいので集団を作り、みんなで一緒に行動し、バランスをとっきたので、相手の気持ちを思いやることを大切にしてきたのかもしれません。

生まれつきの影響が大きい気質の4因子と環境に左右される性格の3因子 

 一卵性双生児の研究の結果、人の性格のどの部分が遺伝によるもので、どの部分が環境によるものなのかが分かってきました。その代表格がクロニンジャーの7因子モデルです。 アメリカの精神科医クロニンジャーらは、人の性格で

新しいことや珍しいことに興味をもち、突き進む新奇追求

危険を回避しようとする損害回避

損害や懲罰を避けて良いことが続くようにする報酬依存

などの4つの因子(気質は遺伝的な影響が大きく、セロトニンなどの脳内神経伝達物質の働きと関係している

また、「自尊心」、「協調性」、「自己超越性」の3つの因子(性格環境の影響が大きいと示しました。

クロニンジャーの7つの因子モデルの特徴  4つの気質と3つの性格

 クロニンジャーの7因子モデルとは、パーソナリティの構成概念を生まれつきの影響が大きい「気質」の4因子と環境に左右される「性格」の3因子の合計7つで分類して想定するというものです。私たちの人格は、これらの4つの気質と3つの性格が相互に絡み合っているという訳です。

 

気質

 遺伝によって決定しており、幼い頃からみられる性質です。クロニンジャーのモデルでは、神経伝達物質の分泌と代謝に関連していると考えられています。この気質によって、私たちは一人一人世界の感じ方が異なってくるようです。

性格

  日々の生活の中で、自分についての理解を深める中で作り上げていくもので、成人になる頃に形が出来上がってきます。私たちは気質によって世界を感じ取ります。そして感じ取ったものを、この性格を通して意味づけていきます。

 

気質と性格の相互作用

 幼い頃、最初は気質によって、自動的に行動していたものが→

 行動に他者や社会からの反応を受けて、性格が形作られ→

 その性格が、気質の行動を調節し→

 パーソナリティ(気質と性格)に基づく行動が→

 他者や社会からの反応を受け→…

 思春期は、自尊心がしっかり育っていないと、この時つらくなる。

と言う流れで気質と性格が相互作用し、社会からの反応を受け、パーソナリティが発達していくと考えられます。

まとめ

   クロニンジャーのパーソナリティ理論によると、私たちの人格は生まれつきの影響が大きい「気質」の4因子と、環境に左右される「性格」の3因子の合計7つによって想定されていることがわかりました。

そして、それらの7つの因子の関わり合いと社会などの外部からの反応によって私たちの人格は発達していきます

おわりに

  今回は私たちの「パーソナリティ」について、クロニンジャーの理論を挙げて、どこまでが生まれつきのもので、どこまでが変えられるものなのかご紹介しました。

次回のブログでは、クロニンジャーの7因子について、より詳しくご紹介したいと思います。

 

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マインドフルネス

加藤正 監修
医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長/名古屋市立大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医

所属学会 / 日本精神神経学会、日本うつ病学会、日本嗜癖行動学会理事、厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザーなどを務める。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで下田光造賞を受賞。

クリニック/名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。