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薬に頼り切らない治療の3ステップ

【目次】
治療の土台になる《つながる》
治療の方針を固める《みつける》~STEP1~
役立つ方法を身に付ける《かえる・役立つ》~STEP2~
日常生活で実践!《つづける》~STEP3~
今回のまとめ

はじめに

あらたまこころのクリニックでは、“薬に頼り切らない治療”を大切にしています。精神科・心療内科を初めて受診される方や通院中の方のなかには、「“薬に頼り切らない治療”とは何か?」と疑問に思われる方がいらっしゃると思います。“薬に頼り切らない治療”とは、薬に依存することなく、自分の力でストレスや悩み事を対処し克服していく力を身に付けることを目的とした治療を指します。

そこで、今回はあらたまこころのクリニックが行っている “薬に頼り切らない治療”について、3ステップで解説していきます。

治療の土台になる《つながる》

治療において初めに大切になるのは、医療機関につながることです。
定期的な通院と処方通りの服薬はとても大切です。
なぜなら、薬物療法は服薬後の患者様の状態を見ながら、繊細に調整される必要があるからです。正しい服薬がなければ、正しいデータが得られませんし、定期的に通院していただかないと、患者様の状態を把握することが出来ません。
特に、急性期(病気になりはじめの時期)には、しっかりと通院し、医師の繊細な判断のもとで処方されたお薬を服用し、症状の緩和をすることが大切だと考えられます。
最終的にお薬を減らした治療を希望されている患者様も、まずはその方針を話し合うために定期的に通院することが大切です。

上記のイラストをご覧ください。左が治療初期(急性期や治療初期)、右が治療後期となります。治療初期には、《つながる(定期的な通院および服薬)》が重要です
急性期の症状が落ち着き、治療がステップ1→ステップ2→ステップ3と治療が進んでいく中で、面接やグループ療法の割合が大きくなっていくことがわかりますね。

治療の方針を固める《みつける》~STEP1~

心理療法のSTEP1では、“こころの整理面接”を行います。こころの整理面接に関しては、こちら( )をご参照ください。
お薬による治療で初期症状を抑えつつ、少しずつ自身の困りごとを整理していきます。
このSTEPで大切なことは、自分が苦手とするパターンを見つけること、うまくいくパターンを見つけることです。
このパターン探しが心理療法を行う上での核といっても過言ではないかもしれません。

役立つ方法を身に付ける《かえる・役立つ》~STEP2~

STEP1で自分の苦手なパターンを見つけた後は、そのパターンを自分の力で克服できるよう訓練していきます。
あらたまこころのクリニックでは、非常に多彩な集団療法(グループ療法:同じような困りごとを共有するメンバー複数名で行う心理療法)を実践しています。
自分の困りごとが整理できていると、スタッフと相談しつつ自分に必要な治療方法を選択していくことが可能となります。

日常生活で実践!《つづける》~STEP3~

STEP2まで治療を進めると、自分で困りごとを対処する力が少しずつ身についているはずです。
しかしながらこれだけでは治療として不十分です。
ここから大切になるのは、“実践”です。
例えば、今までのSTEP2までは野球で例えるとキャッチボールやバッティング練習です。
STEP3では“試合”に出場してもらいます。
つまり、皆さんが学んだことを日常生活で実践してみるのです。
試合をしてみて初めて気づくことがたくさんあります。うまくいくこともあれば、改良が必要なこともあるでしょう。実地で試してみて、検証するプロセスが不可欠なのです。
身に付けた技術を日常生活の中で活かし、工夫をしていくことが“薬に頼り切らない治療”の実現には欠かせません。

今回のまとめ

みなさんいかがでしょうか?今回は、“薬に頼り切らない治療”を実現するために、定期的な通院と服薬にプラスして、3つのSTEPをご紹介しました。3つとは、
①自分の苦手パターンを見つけ
②そのパターンを崩す方法を身に付け
③日常生活の中で実際に使ってみる
に分けることができます。“薬に頼り切らない治療”にご興味がある方は、医師にご相談ください。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。