人前で何かをするときに不安や緊張してしまうことは誰でも経験したことはあると思います。
しかし、社会不安障害の方は、他の方が不安や緊張するよりも、過剰な不安を抱えていることが多く見られます。
社会不安障害(社交不安障害)の方は、人からどのように見られているのかすごく気にしてしまう病気です。人前で失敗をすると、「絶対に自分のことを変に思うだろう」と思ってしまい、過剰な不安を感じてしまいます。
相手はそれほど気にしていないことが多いのですが、不安になると、顔が赤くなったり、汗が出たり、ふるえなどの症状が現れます。これらの症状が現れると、この症状も相手から変に見られるという思い、さらに不安が増してしまいます。その結果、他の人よりも過剰な不安を抱えてしまい、人との関係を避けるようになってしまいます。

社会不安障害の治療には、お薬による治療が一般的です。お薬を飲み始めて1ヶ月ほどで効果が出てきます。
しかし、この時点でお薬を止めてしまうと、再発してしまう可能性が高まります。お薬は継続的に飲まれることをお勧めしています。
その一方で、「薬を飲んでいるけど、やっぱり緊張してしまう」や「手の震えや汗は止まらない」、「不安にならない人は大丈夫だけど、不安になる人とは会うことができない」など症状がなかなか改善しないこともあります。このような場合には、新たな方法が必要になってきます。
当院では、平成18年4月から、社会不安障害を対象としたグループ認知行動療法を行っています。
グループでは、社会不安の悪循環を理解していただき、不安になったときにどのような対処をしたらいいのかというスキルを高めていきます。グループに参加することによって、自分だけが病気に苦しんでいたわけではないことに気づき安心し、他の方が行っている方法を参考にすることができます。
グループに参加された方の中には「自分が思っていたほど他人は自分のことを気にしていないと実感することができた」と、社会不安になったときにうまくやりすごせるようになった人もいました。この方のようにグループでは社会不安障害への対処法を学ぶことができ、それが自信へとつながれば、人から変に見られているかもしれないという恐怖心もさらに下がってきます。


患者様のプライバシー保護の為、当院スタッフによる模擬の治療風景です。