あらたまこころのクリニック「症状別のよくある質問」ページ

2022.02.28 適応障害

身近な人が適応障害になった時の接し方とは?かけてはいけない言葉や周りの人ができることも紹介

身近な人が適応障害になった時の接し方とは?かけてはいけない言葉や周りの人ができることも紹介

最近よく耳にするようになった「適応障害」ですが、家族や友人、同僚や部下など、身近な人が適応障害になったとき、あなたはどうしますか?

「どのように接していいのか分からない」といった声が多いだけでなく、「適応障害」という言葉は聞いたことがあっても、実はよく分かっていない人も少なくありません。

今回は、

  • 適応障害とはどんな病気なのか?
  • 適応障害の人に接するときの注意点とは?
  • どんな言葉をかけてはいけないのか
  • どんな言葉をかけるべきか
  • 周りの人ができるサポートとは?

などの具体的な接し方についてご紹介していきます。ポイントは、「焦らせない」「否定しない」です。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

適応障害とは

適応障害とは?症状・原因・治療法までをわかりやすくお伝え

適応障害とは、簡単にいうと、強いストレスが原因で心や体に不調があらわれる病気です。同じうつや不安が症状としてあらわれるうつ病とは違い、適応障害は原因が明確で一過性のものです。そのため、原因となるストレスを取りのぞくことで症状は治ります。

関連記事:適応障害とは?症状・原因・治療法までわかりやすくお伝え

身近な人の適応障害に気づく症状のサインとは

身近な人が適応障害になったとき、周りが気づく症状のサインとは、どのようなものがあるのでしょうか。適応障害になりやすい人は、真面目で頑張り屋で、悩みをひとりで抱え込みやすい、といった特徴があります。

心の不調は、本人であってもなかなか気づきにくいものです。たとえ心や体の不調に気づいたとしても、「周りに迷惑をかけるんじゃないか」「周りに心配をかけたくない」などと、誰にも相談できずにひとりで苦しんでいるケースも少なくありません。

適応障害は、ストレスへの適切な対処をしないと、症状が悪化してしまったり、長引いてしまったり、他の精神疾患を併発してしまうこともあります。そうならないためにも、いつもとは違う変化に周りが気づくことも大切なポイントです。

適応障害の症状として、3つの変化に分けることができます。

  • 精神面の変化
  • 身体面の変化
  • 行動の変化

周りが気づくサインを、この3つの変化から具体的にご紹介していきます。

精神面の変化

適応障害の心の症状として、抑うつ気分、不安感、喪失感、焦り、緊張や意欲の低下などがあります。例えば、明るかった人がなんだかぼーっとしていることが多くなったり、いつも笑顔だった人がまったく笑わなくなったり、穏やかだった人が急に怒りっぽくなるなど、今までと真逆の方向に変化があったときには特に注意が必要です。

精神面の変化の例としては以下のようなものがあります。

  • ぼんやりしていることが多い
  • すぐに怒るようになった
  • 笑顔がなくなった
  • 涙もろくなった
  • 最近よく緊張している
  • 常に焦っている感じがする

身体面の変化

身体面の変化では、個人によって様々です。よく眠れないなどの睡眠障害や、食欲不振が代表的ですが、その他にも頭痛や腹痛、吐き気やめまいなど、日常生活に大きく影響してしまうほどの不調もよくあらわれます

身体面の変化の例としては以下のようなものがあります。

  • 腹痛や嘔吐など体調が悪そう
  • よく眠れていなさそう
  • 食欲がなさそう
  • 常に疲れている
  • 時々めまいを起こしている

行動の変化

適応障害の症状は、精神面や身体面だけでなく、行動にもあらわることがあります。心や体の不調から、仕事に手がつかなくなり能率が落ちるだけでなく、遅刻や欠席が増えるケースもみられます。

喪失感や絶望感から自暴自棄になりお酒を飲む量が増えたり、イライラから危険な運転やけんかなど、攻撃的な行動にでることもあります。行動の変化の例としては以下のようなものがあります。

  • 仕事の能率が落ちる
  • 遅刻、欠勤が増える
  • 一人でいたがる
  • 身だしなみに気をつかわなくなる
  • お酒を飲む量や回数が増える
  • 攻撃的な行動がみられるようになる

適応障害の人に接する際に接する側が注意すること

適応障害の人に接する際の注意点として、まずはどんな病気にもいえることですが、腫れ物に触るような接し方は避けた方がいいです。誰しもなる可能性がありますし、病気になったからといって悪いわけでもありません。みなさんも戦いながら苦しんでいるため、まずは本人の話に耳を傾むけてみてください。

その際、無理に聞き出そうとせず、相手が言おうとしていることを理解する姿勢が大切。本人が話したがらない様子であれば、「何かあればいつでも話を聞くよ」くらいのスタンスがいいです。以下の3つの点から注意することについて解説していきます。

  • 干渉しすぎない
  • 否定せず理解を示す
  • 無理強いしない

干渉しすぎない

仲がいい同僚や友人が適応障害になったとき、自分も何か力になってあげたいと思う方も多いのではないでしょうか?

しかし、あれこれ詮索したり、過剰に気をつかいすぎてしまうと、かえって相手を気疲れさせてしまったり、傷つけてしまうことがあります。さらに深入りしてしまうことで、逆に相談相手自身が苦しくなってしまうケースもあるため注意が必要です。

否定せず理解を示す

話を聞く際の注意点として、否定は絶対にしてはいけません。話にゆっくりと耳を傾け、相手が何を言おうとしているのかを理解する姿勢を示しましょう。「うんうん」「そうだね」と相手の話を受け入れることで、「自分はひとりじゃない」といった安心感を与えることができます。

無理強いしない

本人に元気がないと、つい「気分転換のために出かけてみたら?」といった提案をしてしまいがちですが、こうした行動の無理強いも本人の負担になる場合があります。普段楽しめることも楽しめない心の状態である場合は、まずはゆっくりと休める環境を整えてあげましょう。

休職中の場合も、「まだ復帰しないの?」などと焦らせるような声かけは逆効果になってしまいます。本人の意欲が湧いてくるまで見守る姿勢が大切です。

適応障害の人にかけてはいけない言葉4選

適応障害の人に接する際に注意することをご紹介しましたが、さらに具体的な、適応障害の人に「かけてはいけない言葉」について見ていきましょう。

かけてはいけない言葉は以下のようなものがあります。悪気がなかったとしても相手は思いの外傷ついてしまうため相手を思いやる気持ちを忘れないであげてくださいね。

  • 「甘えじゃない?」「気持ちの問題でしょ」
  • 「もっと大変な人もいるよ」
  • 「元気を出して頑張って」
  • 「これからどうするの?」

かけてはいけない言葉1:「甘えじゃない?」「気持ちの問題でしょ」

適応障害への理解が不足している場合、本人の苦しみや痛みがわかりにくいため、「甘え」ではないかと判断してしまうことがあります。

しかし適応障害は、心や体の不調が日常生活に影響をあたえるほどの症状があらわれる、れっきとした病気です。本人の気持ちだけではどうにもならないところまで追い詰められている状況だと理解し、寄り添う姿勢が大切です。

かけてはいけない言葉2:「もっと大変な人もいるよ」

心身ともに苦しんでいるときに、他者との比較は何の意味もありません。それどころか、こうした言葉によって自分自身を責めてしまい、より追い詰めてしまいかねません。人によってどんなことに苦しみを感じるかや、その度合いはさまざまです。ひとり一人違う、といった多様性を理解しましょう。

かけてはいけない言葉3:「元気を出して頑張って」

「病気から早く立ち直ってほしい」「なんとか勇気づけたい」といった気持ちから、つい励ましの言葉をかけてしまうケースがあります。

しかし、すでに頑張りすぎているからこそストレスが限界まできている状態ということを理解してあげてください。そのため適応障害の人への励ましは、「もっと頑張れ」と言っていることと同じになってしまい、逆にプレッシャーとなってしまいかねません。

かけてはいけない言葉4:「これからどうするの?」

家にずっと閉じこもっていたり、休職しているときに、つい心配になり「これからどうするの?」といった未来の話をするのは避けましょう。

あれこれ口出ししたくなるかもしれませんが、まずはストレスから離れ、ゆっくり休むことが大切です。口出しせずに、とにかく休むことを肯定してあげましょう

適応障害の人にかけてあげてほしい言葉

続いては、「身近な人が適応障害になってしまい、何か力になりたいけどどんな言葉をかけていいのか分からない」といった方のために、適応障害の人にかけるべき言葉をご紹介していきます。もちろん全ての人に当てはまるわけではないので、参考程度にしていただけると嬉しいです。

  • 「悩んでいることがあれば話を聞くよ」
  • 「今は何も心配せずゆっくり休んでいいんだよ」
  • 「よく頑張ったね」
  • 「できるかぎりサポートするから大丈夫」

「悩んでいることがあれば話を聞くよ」

適応障害の人は、ひとりで悩みを抱え込んでいることが多いため、自分から相談ができないといったケースが少なくありません。そのため、周りの身近な人からのこうした声かけは、「自分はひとりじゃない」といった安心感につながります。

話を聞くときは、あれこれ質問をしたり、否定やアドバイスはせず、相手の話したいことにゆっくり耳をかたむけ、共感を示してあげましょう

「今は何も心配せずゆっくり休んでいいんだよ」

適応障害になると、心身の不調から一見「怠けている」ような態度に見られてしまいがちです。本人も、「これは甘えなんじゃないか」「周りに怠けていると思われていないか」「周りに迷惑がかかってしまう」などと、自分自身を追い込んでしまい、重症化してしまうこともあります。

本人が「休んでもいいんだ」と思えるように、周りが休むことを肯定する言葉をかけてあげてください

「よく頑張ったね」

適応障害の人の特徴に、真面目で頑張りすぎる傾向があります。「自分がもっと頑張らないとだめだ」「何をやってもうまくいかない」など、自分自身を責めすぎることでストレスを強くしてしまうことがあります。

そんな時に、身近な人から自分の頑張りを肯定してもらうことで、自己肯定感を高めることができます

「できるかぎりサポートはするから大丈夫」

適応障害の改善には、何よりも原因となったストレスを取り除くことです。そのためには、例えば仕事であれば休職したり、業務量の調整をしたり、異動があるなど、少なからず周りの協力が必要となってきます。

その時に、なるべく本人に後ろめたさを感じさせないよう、周りが理解を示し、安心感をあたえる声かけが大切です。

適応障害の人に周りができるサポートとは?

適応障害の人に周りができるサポートには、「変化への気づき」と「環境の調整」があります。適応障害への理解とともに、自分ができる範囲でサポートすることで、早期の改善を目指すことができます。

ぜひ以下の2つを意識し、サポートできる範囲で手伝ってあげてみてください。きっと喜んでいただけると思います。

  • サポート1:変化に気づき、相談を促す
  • サポート2:ストレスを減らすための環境の調整

サポート1:変化に気づき、相談を促す

いつもと違う症状や行動に気づいたら、まずは悩んでいることはないか、本人の話に耳をかたむけましょう。自分でも気づかないうちに、症状が悪化しているかもしれません。

自分ひとりではなかなか解決の糸口がみつからないことも多いため、産業医やカウンセラーなどの相談も促してみましょう。日常生活に支障がでるほどの症状が1〜2週間続くようであれば、症状への薬物療法などの選択もある、精神科や心療内科の受診を勧めてみましょう。

その際にあくまでも強制してはいけません。意思を尊重してあげることが最も大切です。

サポート2:ストレスを減らすための環境の調整

適応障害の最も重要な対応は、原因となったストレスを取り除くことです。そのため、ストレスを減らす環境づくりのために、周りの協力がとても大切になります。

過度な干渉や、あれこれと詮索することは避け、少しでも本人が休まるような、安心できる環境づくりに協力しましょう

まとめ

ここまで、適応障害の人との接し方やかけてはいけない言葉、かけてあげたい言葉、周りができるサポートについて紹介してきました。

適応障害の人は一見普通に見えても心の奥底では、悩み苦しんでいます。そのため、周りの人はまずしっかりと相手のことを尊重し、共感や肯定してあげてください。そうすることで相手は「1人じゃない」と安心感を持って次に進めるようになるはずです。

適応障害はストレス原因が明確ですが、もし原因となっていたストレスを排除しても症状が改善しないようなら違う病気の可能性もあります。

もし症状が続くようであれば、産業医やカウンセラーなどの相談も促してみましょう。症状への薬物療法などの選択もある精神科や心療内科の受診がおすすめです。

あらたまこころのクリニックでは、日本医師会認定産業医でもある院長の加藤正が、患者様だけでなく勤務先企業の健康保健担当者も交えて、今後の働き方についての三者面談もおこなっております。

なかなかひとりで環境を変えるというのは難しいことです。つらい症状をひとりで抱え込まず、まずは一度、ご相談ください。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。