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仕事のストレスが限界!仕事のストレスの解消法とストレスによる病気のサインとは?

仕事のストレスが限界!仕事のストレスの解消法とストレスによる病気のサインとは?

「残業が続いて疲れが取れない」

「休日も仕事のことを考えてしまう」

「職場の人間関係が悪くいつもピリピリしている」

仕事の悩みは人によってさまざまですが、ストレスを抱えた状態が続くと心や体に不調があらわれる人が少なくありません。一般的に一日の中で仕事に費やす時間は多くを占めるため、仕事でストレスを感じた時にどのように向き合うかを知っておくことはとても大切です。今回の記事では、仕事でストレスを感じる原因からストレスの解消法、そして仕事のストレスが限界になった時に発症しやすい病気について解説します。

仕事のストレスは多くの人が抱えている問題

仕事をしていると、さまざまな問題に直面する機会が増えるため、誰もが一度はストレスを経験しているものです。2021年の厚生労働省による労働安全衛生調査(実態調査)では、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は、53.3%と約2人に1人が仕事における強いストレスを抱えていると発表しています。この調査は2012年から毎年行われており、依然として半数を超え続けているため、仕事におけるストレスは多くの人が抱えている問題であることが分かります。

参考:令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)

仕事でストレスを感じる主な3つの原因

仕事のストレスと一言でいっても、何にストレスを感じているかは人によってさまざまです。複数の要素が絡み合っているケースもありますが、仕事でストレスを感じる原因は大きく分けて以下の3つがあります。

  • 業務内容の質や量
  • 人間関係
  • 職場環境や待遇

業務内容の質や量

  • 仕事の量が多い
  • 仕事の内容が自分の能力や性質に合っていない
  • 責任が大きすぎたり失敗が許されない仕事を任されている

上記のように業務内容の量や質が、自分が受け入れられる範囲を超えていたり、逆に不足しているとストレスを感じる原因になります。「仕事量が偏っており不公平感を感じる」「ルーチンワークが多くやりがいが感じられない」「責任が大きい仕事を任されてプレッシャーを感じている」など、年代や性別、雇用形態、職場内での役割や立場によってもストレスを感じる状況や度合いは異なります。

人間関係

人間関係も仕事でストレスを感じる原因のひとつです。仕事はひとりで行うことはできず多くの人と関わることになるため、人間関係によってストレスを抱える人が少なくありません。上司や同僚、部下など社内の人間関係だけでなく、取引先とのコミュニケーションや接客などによっても対人ストレスは発生します。仕事上の人間関係は友人関係のように「苦手だから会わない」と関係を断つことは簡単ではないため、人間関係のストレスを軽減する工夫が必要です。

関連記事:「職場の人間関係に疲れたら要注意!人間関係のストレスが引き起こす病気とは?

職場環境や待遇

職場の通いやすさやオフィスの空調・照明などの職場環境、給料などの待遇面においてもストレスの原因になります。「エアコンの風が当たる」「トイレが汚い」など、過ごす環境で不快に感じる要素があると、知らず知らずのうちにストレスが溜まり仕事のパーフォーマンスにも影響することがあります。給料や福利厚生などの待遇も、十分でなかったり自分の評価に対して見合わないことでストレスを感じやすくなります。

仕事のストレスの解消法とは

仕事でのストレスはつきものですが、ストレスを溜め込むと体や心に悪影響を及ぼすため、自分に合ったストレスの解消法を持っておくことが大切です。以下の4つの解消法をご紹介しますので、仕事でストレスを感じたら是非参考にしてみてください。

  • 3つのR(レスト・リラックス・レクリエーション)
  • ストレッサーに働きかけ問題を解決する
  • 自分の考え方の癖を知り、見方を変える
  • 相談してひとりで抱え込まない

3つのR(レスト・リラックス・レクリエーション)

ストレスの解消法でまず基本となるのが以下の3つのRです。

  • Rest(レスト):休息、休養、睡眠
  • Recreation(レクリエーション):運動や旅行などの趣味・娯楽
  • Relax(リラックス):ストレッチ、音楽などのリラクセーション

問題を抱えていたり忙しいと、睡眠が十分に取れていなかったり体や心が休まっていないことがほとんどです。体や心が「疲れた」と感じたら、少しの時間でも仕事から離れて意識的に休息や睡眠を取りましょう。アロマや音楽などできるだけリラックスできる環境を整えることが大切です。また、運動や趣味などの好きなことに専念する時間を持つと、気分転換になり気持ちが前向きになります。

ストレッサーに働きかけ問題を解決する

ストレスの原因となるストレッサーに直接働きかけて問題を解決する方法です。人間関係や職場環境を改善する、業務量の調整や仕事の進め方を改善するなど、ストレスの原因を根本的に取り除くことを目指します。ただし無理に改善しようとすると、更にストレスを感じてしまう場合があるため注意が必要です。直接の働きかけが難しかったりどうしても改善が難しい場合は、ストレッサーから離れることも効果的です。

自分の考え方の癖を知り、見方を変える

ストレスは外部からの刺激によって生じる体内の反応ですが、同じ刺激を受けてもストレスを感じる人と気にならない人がいます。これは出来事をどのように受け止めるかによって感情や行動に差があらわれるため、自分の考え方の癖に気づくことはとても大切です。視野が狭くなっていると、必要以上に不安に感じて更にストレスを強めてしまいます。自分の感情を書き出してどこに問題があるかを整理したり、ポジティブに見方を変えてみることでストレスを軽減します。

相談してひとりで抱え込まない

ストレスとなる悩みをひとりで抱え込んでいると、ネガティブな思考に陥りやすく更にストレスが強まる悪循環が生まれます。自分一人で解決できない場合は、周囲に協力を求めたり、相談することで問題解決の糸口が見つかるかもしれません。上司や同僚、家族や友人など身近な人に相談するか、産業カウンセラーや専門の相談機関などを活用しましょう。問題が解決しなくても、話をしたり共感してもらうことで気持ちが楽になることがあります。

吐き気や眠れないのは仕事のせい?仕事のストレスが心や体に及ぼす影響とは

ストレスが解消できずに溜まっていくと、体や心にさまざまな不調があらわれ仕事や日常生活にも悪影響をおよぼします。早めにストレスのサインに気づけると、自分にあった解消法で対処できるため体と心の健康を保つことに役立ちます。仕事を頑張っている時ほど自分のストレス状態に気づきにくく頑張り過ぎてしまうため、体と心のストレスのサインを知っておくことはとても大切です。

精神的な症状

  • 不安や緊張、焦りが強くなる
  • イライラすることが増えたり怒りっぽくなる
  • 気分が落ち込んだりやる気がなくなる
  • 集中力がなくなり仕事のミスが増える
  • 人との付き合いが面倒になり避けるようになる

身体的な症状

  • 肩こり、腰痛、頭痛など、体に痛みが出る
  • 寝つきにくくなったり、夜中に目が目が覚めやすくなる
  • 食欲がなくなったり、逆に暴飲暴食になる
  • めまいや耳鳴り、吐き気がする
  • 息苦しさや動悸がする

ストレスの限界のサインに要注意!仕事のストレスが引き起こす心の病気とは

ストレスが体や心に不調があらわれても、本人がストレスに気づかなかったり無理をし続けることによって悪化し、心の病気を発症してしまうことがあります。疾患によっては日常生活や社会生活が困難になってしまうケースもあるため、症状が長く続いたり気になる点があれば、早めに心療内科や精神科を受診することをおすすめします。以下の疾患は特に仕事のストレスで発症しやすい病気のため注意が必要です。

  • うつ病
  • 適応障害
  • 自律神経失調症

うつ病

「気分が一日中落ち込んでいる」「今まで楽しんでいたことが楽しめなくなった」「最近疲れやすく食欲もない」などの症状が2週間以上続く場合はうつ病の可能性があります。うつ病は強い気分の落ち込みや意欲の低下が続き、日常生活に支障が出る病気です。気分の落ち込み、憂うつ、不安感、イライラ、意欲の低下といった精神症状だけでなく、頭痛や吐き気、めまいや動悸、不眠や食欲不振などの身体症状もあり症状は人によってさまざまですが、一日中、ほどんど毎日症状が続くのが特徴です。うつ病は悪化するほど再発のリスクも高まるため、早期に発見し適切に治療を行うことがとても大切です。

うつ病かも?と悩まれている方は「うつ病の診断テスト(チェックリスト)」も合わせて御覧ください。

適応障害

適応障害はうつ病の症状と似ていますが、明確なストレスが原因となっているため、そのストレス因子から離れると症状が改善されるのが特徴です。例えば仕事や職場の人間関係がストレスの原因となっている場合、会社に行くと吐き気や憂うつ感などの症状があらわれますが、休日になると元気を取り戻し休日を楽しむことができます。うつ病の場合は適応障害ほどストレスの関係が明確ではないため、休日であっても何をしても楽しめない状態が続く点が適応障害との大きな違いです。適応障害は環境調整などによってストレスの原因がなくなると、約半年以内に症状が治まるとされています。

適応障害について詳しく知りたい方は「適応障害の症状とは?具体的な身体症状、精神症状を解説」も合わせて御覧ください。

自律神経失調症

自律神経失調症は自立神経のバランスが崩れることによって、体や心に不調をきたす病気です。自律神経はストレスや生活習慣の乱れによってもバランスを崩しますが、症状はうつ病や適応障害と似ており、この症状があれば自律神経失調症だという特徴的な症状はありません。そのため、症状だけで病気の診断を行うことは難しく、カウンセリングやさまざまな検査のうえ他の病名がつかなかった場合に自律神経失調症の診断がされることが一般的です。自律神経失調症は、生活習慣を見直すだけでも自律神経が整い症状が改善されることがあります。

自律神経失調症について詳しく知りたい方は「自律神経失調症」をご覧ください。

まとめ

今回の記事では仕事のストレスの解消法とストレスによる病気のサインについて解説しました。仕事でストレス感じたら、ストレスを溜め込んで体や心に悪影響を及さないためにも以下のようなストレス解消法で早めの対処が必要です。

  • 3つのR(レスト・リラックス・レクリエーション)
  • ストレッサーに働きかけ問題を解決する
  • 自分の考え方の癖を知り、見方を変える
  • 相談してひとりで抱え込まない

しかし、仕事を頑張っている時ほど自分のストレス状態に気づきにくいため、ストレスのサインを知っておくことはとても大切です。ストレスのサインには以下のような「精神的な症状」と「身体的な症状」があります。

<精神的な症状>

  • 不安や緊張、焦りが強くなる
  • イライラすることが増えたり怒りっぽくなる
  • 気分が落ち込んだりやる気がなくなる
  • 集中力がなくなり仕事のミスが増える
  • 人との付き合いが面倒になり避けるようになる

<身体的な症状>

  • 肩こり、腰痛、頭痛など、体に痛みが出る
  • 寝つきにくくなったり、夜中に目が目が覚めやすくなる
  • 食欲がなくなったり、逆に暴飲暴食になる
  • めまいや耳鳴り、吐き気がする
  • 息苦しさや動悸がする

ストレスによる症状が長く続く場合は、以下のような心の病気の可能性があります。早期の発見が大切ですので、気になる症状があれば早めに心療内科や精神科を受診しましょう。

関連記事「何もしたくない… と感じるのは病気のサイン?無気力感の原因と対処法を解説」

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。