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仕事のやる気が出ない場合の対処法とは?実は病気の可能性もある?

仕事のやる気が出ない場合の対処法とは?実は病気の可能性もある?

  • 「目の前にやらなきゃいけない仕事があるのに、なかなかやる気が出ない・・・」
  • 「仕事のやる気が出ず、何もできずに一日が終わってしまった」
  • 「ずっと仕事のやる気が出なくて会社にいる時間が苦痛」

など、仕事のやる気が起きないことに悩んでいませんか?

仕事のやる気が起きないと、仕事の効率が悪くなり、ミスをしたり成果が出ないなど、自己肯定感の低下や意欲の喪失にもつながりやすくなります。さらに、「やる気が起きない」といった症状は、実は病気のサインかもしれないことをご存じでしょうか?

今回は「なかなか仕事のやる気が起きない」ことで悩んでいる人に知っておいて欲しい、原因や対処法、関連する病気について解説しています。

仕事のやる気が出ないと感じる人は多い!?

「仕事のやる気が出ないな〜」といったつぶやきを、周りでよく耳にすることありませんか?

2020年に株式会社ビズヒッツが行ったアンケート調査によると、30代男女500人のうち、「仕事のやる気が出ないときがある」と答えた人は94.4%で、多くの人が仕事のやる気が出ない経験をしていることがわかります。

目の前に仕事があるのになかなかやる気が出ず仕事が溜まっていってしまったり、気持ちだけが焦って自分を責めてしまうなど、やる気が出せずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。では、仕事のやる気を出すためにはどんな対策法があるのでしょうか?原因と対策法について、まずは見ていきましょう。

参考:【30代 仕事のやる気がでないときランキング&やる気を出す方法】500人アンケート調査

仕事のやる気が出ないのはなぜ?主な原因7つ

仕事のやる気が出ない7つの原因

仕事のやる気が出ない理由は人によって様々です。しかし、状況を改善するためには、「なぜやる気が出ないのか」の原因を明確にし、原因に合わせた対策を考える必要があります。

そこで、まずは仕事のやる気が出ない7つの主な原因を、詳しく見ていきたいと思います。

  1. 心身に疲れが溜まっている
  2. 仕事に達成感を感じられない
  3. 仕事に慣れてきて、新鮮さがない
  4. 仕事を評価してもらえない
  5. 職場の人間関係に悩みがある
  6. 働く環境が合っていない
  7. 給料に不満がある

心身に疲れが溜まっている

気疲れ、プレッシャーなどによる心の疲れや、肉体的な疲労が溜まっていると、思うように仕事でパフォーマンスを発揮したり、モチベーションが上がりにくい場合が多いようです。残業や休日出勤が続き十分な休息が取れていないと、疲労が溜まって仕事に集中しにくくなります。また、人間関係や仕事でのストレスも、オンオフを切り替えてうまくリフレッシュできないと、ストレスを抱え込みモチベーションの低下につながります。

仕事に達成感を感じられない

仕事のやりがいや充実感を得るためには、仕事で達成感を得ることがとても重要です。しかし、ミスを繰り返して自信を無くしてしまったり、仕事が合わず興味が持てない、目標が高過ぎるなどの理由から、仕事で達成感を得られないでいると、自己肯定感が低くなったり意欲も低下していきます。

仕事に慣れてきて、新鮮さがない

仕事に慣れてくると、考えなくても業務をこなせてしまったり、必然と効率が上がって時間を持て余す場合があります。だんだん仕事がマンネリ化し、毎日同じことの繰り返しになると、飽きがくると同時にやる気も出にくくなります。もともと仕事への情熱や、やる気が人一倍大きい人に起きやすく、理想と現実のギャップに悲観的になったりもします。

仕事を評価してもらえない

人一倍努力をしたり、頑張って結果を出しているのに評価をしてもらえないと、「認めてもらえない」と感じやすく、やる気の低下につながります。上司からの評価は給料や昇進に影響するため、正当に評価されないと感じると、働く意味を見出せなくなってしまう場合もあります。また、評価をしてもらえないことによって、「自分は役に立っていない」と会社での存在意義を失ってしまい、自信喪失にもつながっていきます。

職場の人間関係に悩みがある

上司と合わない、同僚や部下とうまくコニュニケーションが取れないなど、人間関係の悩みを抱えている人は少なくありません。一日の大半を過ごす職場でストレスを抱えていたり、業務でやり取りが必要な相手との関係性がうまくいっていないと、仕事のやる気にも影響していきます。自分自身に直接的な悩みがなくても、会社自体の人間関係が希薄で社内がギスギスしている場合も、精神的に負担がかかりやすくモチベーションの維持が難しくなります。

働く環境が合っていない

仕事は人生で多くの時間を費やすため、働く環境はとても重要です。勤務地が遠いといった通勤の問題や、職場の設備や仕事の環境が整っていないなど、働く環境はやる気にも直結します。また、自分の気質と社風が合わないなども、ストレスの要因となります。入社時には新鮮な気持ちで気にならなかった部分が、長く働くことで徐々に表面化し、仕事のやる気が削がれていくといったケースがあります。

給料に不満がある

働く目的や意味は人によって様々ですが、多くの人は給料によってモチベーションを維持しているのではないでしょうか。2019年の内閣府の世論調査によると、50%以上の人が働く目的を「お金を得るため」と答えています。給料を目的に働く人にとって、長く働いているのに給料が上がらない、評価に対して給料が低過ぎるといった不満は、仕事のモチベーションを損なうのに十分な理由といえるでしょう。

仕事のやる気が出ない時の5つの対処法

仕事のやる気が出ない時の5つの対処法

仕事のやる気が出ない時の対処法は、原因と同じように様々な方法がありますが、まずはどんな対処法があるかを知ることが大切です。自分の状況や、やる気が出ない原因などと照らし合わせて、できるところから試していきましょう。ここでは5つの対処法をご紹介します。

  • プライベートの時間を確保し、オンとオフを切り替える
  • 仕事の状況や評価について、上司や周りに相談する
  • 小さな目標を立てて達成のための行動をする
  • 自分の努力で難しい場合は、異動や転職で環境を変える
  • 規則正しい生活や、適度な運動をする

プライベートの時間を確保し、オンとオフを切り替える

仕事が忙しいと、休日でも仕事のことを気にして気が休まらなかったり、休憩や睡眠を取らずに働き続けて肉的の疲労が溜まるなど、徐々にすり減ってしまいます。疲れを感じているのであれば、休息が何よりも大切です。休日や休憩などのオフの時間は、思いきって休んだり、リフレッシュするためにプライベートな時間を楽しみましょう。なかなか切り替えが難しい場合は、長期休暇をとって仕事から離れる期間を作ることもおすすめです。

仕事の状況や評価について、上司や周りに相談する

仕事で行き詰まりを感じたり、評価に納得がいかない場合は、一人で抱え込まずに上司や周囲の信頼できる人に相談してみると、解決の糸口が見つかるかもしれません。溜め込んでいたものを人に話すだけでも、精神的リフレッシュになります。まずは自分の仕事の状況や成果を客観的に見直し、会社に働きかけないと改善が見込めない場合は、思い切って上司に相談しましょう。

小さな目標を立てて達成のための行動をする

会社から与えられた仕事をこなしているだけでは仕事がマンネリ化しやすくなります。やる気が出ないからといって何もしないままでいると、負の感情から抜け出せず、さらにモチベーションが低くなる可能性もあります。そのような時は、どんな小さなことでも自分で目標を設定し、達成に向けて行動してみることが大切です。小さな達成感の積み重ねによって、目標もレベルアップしていくことができれば、自信がつき仕事へのやりがいや充実感につながっていきます。

自分の努力で難しい場合は、異動や転職で環境を変える

仕事のやる気を出すための工夫や努力をしてみたり、周囲に相談しても状況が改善しない場合は、今の仕事や職場が合っていない可能性があります。思いきって異動や転職を検討してみるのもひとつの手です。人間関係や仕事内容、働く環境が変われば、新しい気持ちでやる気が湧いてくるかもしれません。ただ、やみくもに環境を変えてしまうと、新しい環境に馴染めなかったり状況がかえって悪くなったりするケースもあるため、仕事のやる気が出ない原因を明確にし、異動や転職が最善であるかを十分に検討する必要があります。

規則正しい生活や、適度な運動をする

何から始めていいか分からない人は、まずは生活を見直し、体を動かしてみましょう。十分な睡眠が取れていなかったり、生活が乱れていると、思考力も低下します。規則正しい生活やバランスのよい食事を心がけ、適度な運動で体を動かしましょう。運動の心地よい疲れでぐっすり眠ることができたり、心がすっきりして気持ちが前向きに働くことができます。運動を行うことでドーパミンが増えるため、やる気やモチベーションアップの効果が期待できます。

「仕事のやる気が出ない」は病気のサインの可能性も!関連する病気とは

仕事のやる気が出ない理由は人によって様々ですが、実は「やる気が出ない」といった無気力感は、病気の症状としてあらわれているケースがあります。気をつけたい病気は主に以下のものがあり、「ただのやる気が出ないだけ」と放置していると、気づかないうちに症状が悪化することもあるため注意が必要です。

  • うつ病
  • 適応障害
  • 自律神経失調症
  • 更年期障害
  • 慢性疲労症候群

どの病気も特別なものではなく、誰にでもなりうる可能性のある病気です。何をしてもなかなかやる気が起きない、と悩んでいる方は、どんな病気の可能性があるのかを知っておくことも大切です。それではみていきましょう。

うつ病

うつ病は、気分が落ち込み何をしても楽しめないなど、強い抑うつ状態が長く続き、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。うつ病の主な症状は、精神的な症状と、身体的な症状がありますが、何事にも意欲がなく、無関心な状態が長期にわたって続くことが特徴です。うつ病は再発しやすいと言われている病気ですが、早期に発見し、適切な治療をすることで再発のリスクを防ぐことができます。

<うつ病の症状例>

  • 抑うつ
  • 不安感
  • 意欲の低下
  • 無気力
  • 不眠
  • 食欲不振
  • 頭痛
  • 疲れやすい

うつ病については「うつ病はどんな病気?」の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

適応障害

適応障害は、特定の強いストレスをきっかけに、心身に不調をきたす病気です。症状は、身体的なものから精神的なもの、行動面に現れるものなど人によって様々ですが、適応障害は原因となるストレスから離れると、症状が改善することが特徴です。逆をいうと、ストレスを適切に対処しないと、症状が慢性化したり長引くことがあるため、原因となるストレスを明らかにすることがとても重要です。

<適応障害の症状例>

  • 不眠
  • 食欲不振
  • めまい
  • 抑うつ
  • 不安症状
  • 意欲の低下
  • 飲酒や暴食

適応障害については「適応障害とは?」の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

自律神経失調症

自律神経失調症は、ストレスなどによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、さまざまな症状を引き起こします。自律神経失調症の症状は個人差が大きいのが特徴で、突然現れたり消えたり、同時に3つも4つも症状があわられることもあります。内科にかかっても異常がみられず、周りから気づいてもらいにくいケースが多いため、対処が遅れてしまいやすいので注意が必要です。

<自律神経失調症の症状例>

  • 疲れやすい
  • だるさ
  • 頭痛
  • 発汗
  • 記憶力や集中力の低下
  • 何ごとにも興味が湧かない
  • 情緒不安定
  • 不眠

更年期障害

更年期は、女性ホルモンの急激な低下によって自律神経が不安定になりやすく、疲れやだるさが出やすい時期です。慢性的なだるさによって「何もしたくない」「やる気が出ない」と意欲が湧かず、気持ちが焦ったりイライラしやすくなる経験をしている女性は少なくありません。更年期障害の症状には、ホルモンバランスの乱れによるホットフラシュなどの血管運動症状がみられるのも特徴のひとつです。

<更年期障害の症状例>

  • ホットフラッシュ
  • 異常な汗
  • 疲れやすい
  • 気分の落ち込み
  • 意欲の低下
  • イライラ
  • 情緒不安定
  • 不眠

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群は、原因不明の慢性的な強い疲労感が、6ヶ月以上の長期にわたって続く状態です。普通の疲労とは異なる激しいだるさや疲労感が特徴で、集中力や思考力の低下がみられます。微熱・頭痛・のどの痛みなど身体症状を伴うこともあり、症状が悪化すると重度の疲労によって日常生活に支障があるほどです。

<慢性疲労症候群の症状例>

  • 寝ても疲れが取れない
  • すぐに疲れる
  • 微熱がある
  • のどの痛み
  • 頭痛
  • 集中力や思考力が低下している
  • 意欲が湧かない
  • ぼーっとする

心配な症状がある場合は受診しましょう!

  • 「何を試しても仕事のやる気が出ない」
  • 「やる気意外にも気になる症状がある」

など、一人では解決できずに悩んでいたら、病気の可能性があるかもしれません。

先に挙げた病気や症状は一例のため、気になる症状があればまずは精神科や心療内科を受診してみましょう。薬で症状を和らげることができたり、様々な精神療法で心の問題を整理し、改善するためのコツを得ることができます。精神療法の一環で取り入れているマインドフルネスは、「やる気が出ない」「集中できない」時の対処法としてとても有効です。

マインドフルネスについては、「「ウワの空」になったときの対処法」で紹介していますので、ぜひ参考になさってみてください。

まとめ

今回の記事では、「仕事のやる気が出ない」原因と対処法、関連する病気について解説してきました。それぞれもう一度振り返ってみましょう。

【仕事のやる気が出ない原因7選】

  • 心身に疲れが溜まっている
  • 仕事に達成感を感じられない
  • 仕事に慣れてきて、新鮮さがない
  • 仕事を評価してもらえない
  • 職場の人間関係に悩みがある
  • 働く環境が合っていない
  • 給料に不満がある

【仕事のやる気が出ない時の対処法5選】

  • プライベートの時間を確保し、オンとオフを切り替える
  • 仕事の状況や評価について、上司や周りに相談する
  • 小さな目標を立てて達成のための行動をする
  • 自分の努力で難しい場合は、異動や転職で環境を変える
  • 規則正しい生活や、適度な運動をする

【仕事のやる気が出ない時に関連する病気5選】

  • うつ病
  • 適応障害
  • 自律神経失調症
  • 更年期障害
  • 慢性疲労症候群

仕事のやる気が出ない時は、まずは原因を考えてみましょう。そして今回の記事でもご紹介したような対処法のなかでも、簡単にできる対処法から試してみて、自分に合った方法を見つけていきましょう。

しかし、何をやってもどうしてやる気が湧かず、仕事や日常生活に影響が出る場合は、病気の可能性があるので早めに精神科や心療内科を受診しましょう。やる気が出ないからといって、何もしないままでいると、気づかないうちに症状が悪化してしまうリスクがあります。どんな病気も早期に発見することで、少しでも早い回復が期待できます。一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。