会社を休んで復職するには? 名古屋精神保健福祉センターとのネットワーク作り
目次
・名古屋精神保健福祉センターでの愛知デイ・ケア実施施設交流会とは
・あらたまこころのクリニックのデイケアについて
・まとめ
愛知デイ・ケア実施施設交流会 学習会とは
令和3年3月4日(木)に名古屋精神保健福祉センターで行われた愛知デイ・ケア実施施設交流会学習会に参加しました。
愛知デイ・ケア実施施設交流会学習会とは、精神保健福祉センタ―の事業の一つとして、デイ・ケア施設の従事者を対象に、専門的な教育研修や技術援助を目的として例年行われているものです。
昨年はコロナウイルスの流行や緊急事態宣言発令等のため開催が困難な状況であったとのお話がありましたが、今回は人数制限や換気、手指消毒の実施等の感染症対策が行われた状態で参加させていただきました。
今回の交流会のテーマは、「精神科医療機関とハローワークの連携 モデル事業の取り組みを中心に」です。
ハローワークの方が、精神障害者の方の就労を支援していくことについて、実際の取り組みを中心に、これまでの実績や、実際にどのような介入を行って就労に繋がっていったのか、継続的な就労を行っていくためにはどのようなサポートが必要なのかというところ等をご講義下さいました。障害のある方への就労支援は戦後より開始されたそうですが、障害者枠での就労相談の割合として、精神障害者枠での相談件数が年々増加していると言われていました。
障害者と言われると差別されたような気持ちになるかもしれませんが、障害者雇用では症状や体調などへの配慮を受けながら働くことができるほか、就職にあたって利用できる支援制度の幅も広がります。(精神障害者福祉手帳の取得が障害者雇用制度の利用につながります。当院でも手帳の申請に必要な書類作成を行っておりますので、スタッフまでご相談ください)
ハローワークによっては精神障害者雇用に関する専門のスタッフ様がいらっしゃる所もあり、利用者の方にとって必要な支援は何なのかを検討し、お一人お一人に合わせたアプローチをされているそうです。このような支援を利用するにあたり、デイケアに通っていることや就労意欲があること等が条件として必要となります。そうした支援を行っていくなかで、医療機関と連携することで、その方に必要な具体的な支援方法というものがみえてくるというお話もあり、大変勉強になりました。
あらたまこころのクリニックのデイケアについて
あらたまこころのクリニックでも社会復帰へのステップとしてや、日常生活のリズムを整えること、対人関係スキルの練習等を目的としたデイケアを併設しています。
あらたまこころのクリニックのデイケアでは、今回の「愛知デイ・ケア実施施設交流会 学習会」でお話のあったハローワークとの連携も行っておりますが、現在の職場をうつ病などによって会社を休職されている方が職場復帰を目指してリハビリテーションを行っていくプログラムとして、復職支援プログラムも行っております。
近年、うつ病などの気分障害や適応障害の患者数は著しく増加しています。うつ病は再発を繰り返すことが多く、さらに休職されている方が復職される際には医学的な寛解レベルではなく、より高いレベルの仕事を遂行する能力が求められます。そのため休養と薬物療法だけではなく、スキルアップやリハビリテーションの期間が必要となるのです。
リハビリテーション期間では、スムーズに復職するために生活・睡眠リズムの改善、就労・作業能力の回復、意欲の回復、コミュニケーションスキルの向上など、復職への準備が必要となります。当院の復職支援プログラムは、集団認知行動療法、コミュニケーショングループなどの様々なプログラムの中から、ご自身に必要なプログラムを選択して取り組む「モジュール式」となっています。その中で、ご自身の休職に至った経緯を振り返り、自分の強み、弱みを発見し、ストレスへの対処を身につけていき、復職へつなげていく流れとなります。そうして、「職場に戻る」だけではなく、「再発を予防し、仕事を続けていける」ことを目標に治療に取り組んでいただければと思います。
もちろん、症状や環境等は人によって違いますので、プログラム参加に関しては医師やスタッフにご相談ください。どのプログラムに参加していくかについても、スタッフと相談をしていただきながら決めていくことができます。
復職デイケアhttps://www.mentalclinic.com/day-care/
復職就労支援プログラム(デイケア)のご案内https://www.mentalclinic.com/treatment/p631/
・まとめ
今回、ハローワークでどのような取り組みや介入がされているのかを具体的に聞くことができ、とても勉強になりました。また、医療機関との連携により、必要な支援方法というものが見えてくるというお話を聞き、日々の患者様との関わりの大切さについて一層理解を深めることができました。
今回の学びをもとに、患者様の復職等に役立つ介入を行っていけるように努力していきたいと思います。(看護師 小倉)
関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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