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2020.07.01 その他

薬に頼り切らない治療⑥ 社交不安障害・社会不安障害・あがり症のケースで学ぶ

薬に頼り切らない治療⑥ 社交不安障害・社会不安障害・あがり症のケースで学ぶ

【目次】
社交不安障害と診断されるまで
社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”の実践
今回のまとめ

はじめに

あらたまこころのクリニックでは、社交不安障害に対して“薬に頼り切らない治療”を専門的に実施しています(詳しくは、当院のホームページコラムをご参照ください。)。

今回は架空の社交不安障害のケースを用いて、具体的に“薬に頼り切らない治療”について、解説していきます。

社交不安障害と診断されるまで

Aさんは10代の頃から音読をすることや、大人数の前で自分の意見を述べる場面で緊張しやすく苦手意識がありました。

大学を卒業し、社会人になり、新人研修が終わり、各課へ配属されましたが、Aさんが配属された課は1週間に1回、担当の案件についてチームの前(上司、先輩、同期を含め8人程度)で報告する会議がありました。

最初は緊張しつつも発表していましたが、徐々に「同期より仕事ができないと思われているのではないか?」「仕事に対して《わかっていない》と思われ、怒られるのではないか?」という不安が強くなりました。そのうち、会議の前日になると緊張し眠りづらくなり、会議前には心臓がドキドキしてお腹が痛くなりました。

 

このような日々が続き、不安や緊張はさらに強まり、自分の案件のミスを報告したり、相談したりすることを避けるようになりました。

その結果、ミスが大きくなり、上司から指摘を受けることが増えてきました。“自分にこの仕事は合わないのかもしれない。転職したほうがいいのか…”と悩む日々が続くなか、遅刻や欠勤が起こるようになってきました。

インターネットで調べているうちに、社交不安症がという病気に自分が当てはまることを知りましたが、心療内科を受診することに抵抗を感じ、受診できない日々が続きました。

Aさんの異変に気付いた上司の勧めで、ある日、心療内科へ受診し、社交不安障害の診断を受けました。治療手段として、お薬による治療や心理療法があることを医師からの説明で知ったAさんは、両方の治療を併用して治療していくことにしました。

 

社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”の実践

薬物療法

医師と相談し、不安や緊張に対して、お薬を継続的に服薬するようになりました。

心理療法

一方で、心理療法として、社交不安障害が維持しているメカニズムを整理する面接が開始されました。

日常生活で緊張や不安が強く生じる状況をまとめていくうちに、どのような状況でも“人からどう思われているのだろうか?”“小心者って思われているに違いない”といった考えが浮かぶことや、人が首をかしげる動作、人があくびを我慢している表情に目が行きやすいという共通点が見つかりました。

さらに、そのような状況への対策として、頭の中で“落ち着け”と言い聞かせる、みんなの顔を見ない、事前に発表する内容を何度も繰り返しリハーサルする、リハーサルした内容以外は話さないようにするなどの対処を行っていることも見つかりました。これらの対処があることでうまくいくこともあれば、うまくいかないこともあることがわかりました(柔軟に発表することができない、発表場面への苦手意識が払拭できない等)。

そこでAさんは、不安と付き合う訓練、不安や緊張がありつつも発表をする訓練などを専門スタッフのサポートのもと自主的に行っていきました。

最初はとても怖かったAさんですが、徐々に自分でも克服できる体験が自信となり、不安や緊張を感じながらも会議の場面で柔軟に自分の意見を言えるようになりました。生活の変化に伴い、医師と相談し、少しずつお薬を減らす治療を進めていきました。

今回のまとめ

 みなさんいかがでしょうか?今回は社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”について、架空のケースを用いて解説しました。実際には、お一人お一人のお困りごとに耳を傾け、オーダーメードな治療をしていくことが重要です。少しでも当てはまると感じた方は、まずは医師にご相談いただくことをおすすめします。