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2020.07.01 その他

薬に頼り切らない治療⑤ 社交不安障害・社会不安障害・あがり症から考える

薬に頼り切らない治療⑤ 社交不安障害・社会不安障害・あがり症から考える

【目次】
社交不安障害とは?
社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”って?
社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”はなぜ重要なの?
まとめ

はじめに

あらたまこころのクリニックは“薬に頼り切らない治療”をさまざまな疾患でお困りの方を対象に実践しています。その1つに社交不安障害というものがあります。

今回は、あらたまこころのクリニックが大切にしている“薬に頼り切らない治療”について、社交不安障害を例に詳しく解説していきます。

社交不安障害とは?

社交不安障害とは不安障害の1つです。不安障害とは、過剰な不安によって生活に支障が出る疾患のことを指します。ある状況で不安が過剰に働き、ドキドキ・手足の震え・冷や汗・吐気といった身体症状が出現したり、その状況を避けることによって生活が制限されたりします。

社交不安障害は、人と交流する社会場面を中心に上記のような症状が出現する疾患です。“昔から人前であがりやすい。社会人になって、プレゼンや営業など人前で話すと緊張して手が震えてしまう。”“人からどう思われているかが気になって、自分が思っていることを言うことができず、つらい。落ち込む。”“メールやSNSでメッセージを送るときに、「どう思われるだろう?嫌われたくない」という気持ちが強くなり、なかなか送ることができない”といったお困り感があり、それらの苦手な状況を避け、生活に影響が出ている場合には、社交不安障害と診断されることがあります。

社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”って?

社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”の例をご紹介したいと思います。

社交不安症の発症年齢は10代が多いと言われています。しかし、実際に日常生活で支障が出るのは、社会人になってからが多いです。

例えば、仕事上での社交不安場面に対して治療を希望される患者様の場合、治療初期には、お薬で緊張や不安をやわらげ、プレゼンや会議など、症状で困っている状況を乗り切るお手伝いをしていきます。

薬を減らしたい、薬を止めたい、という希望をお持ちの患者様には、ある程度症状が治まったところで、心理療法によってお薬以外の対処レパートリーを増やし、徐々にお薬を減らしていきます。

具体的には、社交不安障害について基礎知識(社交不安は全部悪いものなのか?社交不安が維持するメカニズムなど)を身に付け、社交不安との付き合い方、苦手な場面を回避せずに生活を送る訓練などを行っていきます。

日常生活の中で繰り返し自主的に訓練をすることによって、“緊張や不安が強くなる状況に直面しても、乗り越えられる。”という経験を積んでいきます。

あとは、医師と相談し、徐々に薬を減らしていきます。薬がなくても、自分で乗り越える体験を繰り返して、減薬を進めていきます。社交不安障害に限りませんが、どのように治療を進めていくかは、医師としっかりとご相談いただくことをお勧めします。

社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”はなぜ重要なの?

ここで少し、具体的な内容に少し触れていきます。

社交不安は誰しもが程度に関わらず抱く感情であると考えられます。つまり治療で大切なことは、社交不安を無くすことではなく、社交不安が生じても、不安に飲み込まれることなく、自分の能力を発揮できることです。

患者様のなかには、「お薬を飲めば、何とかなるから良いのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。医師と相談のうえで、薬ありきの生活でOK!!という方であれば、この薬のみの治療方針でも問題はありません。

しかし、最終的にお薬を減らしていきたい/止めたいという患者様には、お薬以外の対処方法を身に付ける必要があります。理由は、社交不安障害でお困りの方がお薬のみに頼ると“お薬があるから緊張や不安が和らぎ、能力を発揮できる=お薬がなくなったら、できないかもしれない。どうしよう。”と、自身の能力が発揮できるかどうかがお薬頼りになってしまうからです。お薬が無ければ上手くできないという体験が続くと、“お薬を飲んでいるのに、治らない…”“いつになったら治療が終わるのか”とまた新たな不安が出現するという悪循環が生じます。

あらたまこころのクリニックでは、このような悪循環を防ぎ、より良い生活を送ってもらうために“薬に頼り切らない治療”をおススメしています。

今回のまとめ

今回は社交不安障害に対する“薬に頼り切らない治療”の概要について、説明しました。社交不安は誰しもが抱く感情のため、“社交不安を無くす”ことは難しく、治療目標としては不適切です。

よって、社交不安障害の治療目標は、社交不安が生じても自分の能力を発揮できることになります。

特にお薬を減らす/止めることを目指している患者様は、緊張や不安が強くなる苦手な状況を自分で乗り越え、能力を発揮する訓練をすることが重要です。