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2020.06.03 アサーション

自分も相手も、大切にするためには?~アサーションの実際~

自分も相手も、大切にするためには?~アサーションの実際~

目次
職場での事例
あなたはどのタイプになりやすい? コミュニケーションに登場する3つのキャラ
アサーティブに気持ちを伝えると?
「非アサーティブ=悪」ではない
まとめ

職場での事例

実際のシチュエーションをもとに、アサーティブな(アサーションにもとづいた)コミュニケーションについて理解を深めていきましょう。こんなシチュエーションです。

隣に座っている同僚が仕事とは関係のない話をしてくる。
今は自分の仕事に集中したい。
話し始めると15分、20分と長くなるので、早く切り上げたい。

仕事をしたいのに、いわゆる「空気を読まずに」話しかけてくる同僚。似たような経験が一度はあるのではないでしょうか。
こんなとき、あなただったらどうしますか?
たとえば以下のような対応が考えられます。

  1. 「今忙しいからやめてくれない?」とはっきり言って、相手の話をやめさせる(攻撃的)
  2. 「早く終わってくれないかな」と思いながら聞き続ける(受け身的)
  3. 目を合わせないようにうなずきながら、「はあ、仕事が進まないなあ」と相手に聞こえるようにつぶやく(作為的)

こういったコミュニケーションのパターンを、キャラとして説明してみましょう(キャラというと性格のように聞こえてしまいますが、あくまでもコミュニケーションの「パターン」であることを重ねて記載しておきます)。

あなたはどのタイプになりやすい?~コミュニケーションに登場する3つのキャラ~

1おこりキャラ(攻撃的)

  • 相手の気持ちをあまり考えず、一方的に責める。
  • 自分が絶対に正しいと考える。
  • 理詰めで追い込み「ノー」を言わせない。
  • 怒ると感情的になり、言い過ぎてしまう。

一見、自信満々ですが、「負けたくない」という不安から攻撃的になっている人もいます。周囲は攻撃されることを恐れ、「あの人に何を言ってもムダ」と考え、人が遠ざかっていきます。こういったコミュニケーションをとる上司だと、ミスの隠ぺいなどが起こり、おおごとになってから発覚するといった問題が発生する場合があります。

2ひるみキャラ(受け身的、非主張的)

  • 相手の気持ちを考えすぎてなかなか意見が言えない。
  • 頼まれるとノーと言えない。
  • 波風を立てるぐらいなら、自分が我慢する。
  • 相手の感情を害することを恐れる。

頼まれると断れない、自分が我慢すればいいと思ってしまう、相手の気持ちを考え過ぎる、などの傾向があります。すべて引き受けるので周囲に波風は立ちませんが、自分の中では波風が立ち、ストレスが溜まりやすいのが特徴です。
周囲から見たら「突然」キレる人も、我慢に我慢を積み重ねてきたひるみキャラの可能性があります。

3いやみキャラ(作為的)

  • 相手に直接伝えず、遠回しな表現や嫌みな態度で示す。
  • 本人の前ではっきり言わない。(うわさ話、陰で言う)
  • 「みんなが言っている。」「~さんが最近やる気ないって言ってるよ」

遠まわしな表現を使ったり、ため息をついたり、わざと物音を立てたりしてアピールします。周囲から見れば「何かに不満があるのはわかるけれど、何に不満があるのかわからない」という状況になり、問題は解決しません。周囲の人は不快な気分になって信頼されず、一歩距離を置かれてしまうことがあります。

職場ではひるみキャラ、家庭ではいやみキャラというように、同じ人でも場面によってパターンが変わってくるのが普通です。また、同じ場面でも、徐々にコミュニケーションが変わっていくこともあります。

アサーティブに気持ちを伝えると?

この3つのキャラのどれにもあてはまらない、自分も相手も大切にしつつ自己表現をする「アサーティブな伝え方」があります。

「(相手の顔をしっかり見ながら)ごめん、今は仕事に集中したいんだ。お昼休みにまた話そうよ」

どちらかが一方的に我慢したり不快になったりすることない、さわやかな伝え方です。

「非アサーティブ=悪」ではない

ここで一つお伝えしなければいけないことは、
「アサーティブでないコミュニケーションをしてはいけない 」
というわけではないということです。
常にアサーティブでいることは、アサーションの専門家でも難しいものです。

重要なのは、ストレスを感じているときにどのキャラのコミュニケーションをとる傾向があるかを把握すること。1つのキャラしか当てはまらない人はいないと思います。

たとえば家ではおこりキャラ、職場ではひるみキャラ、苦手な人に対してはいやみキャラなど、状況に応じて変わるのが普通です。その中でもどのキャラになりやすい傾向があるのかを分析してみましょう。大切なのは、そのキャラになっている自分に「気づく」こと。ストレスを感じると、自分の出やすいキャラが登場しやすくなります。

そのときに「今、ひるみキャラになっているから、このまま気持ちを伝えなければ後でモヤモヤした気持ちが残るかもしれない」などと、まずは客観的に自分を見られるようになることを目指しましょう。

今まで後悔や反省しかできなかったのに、「どう伝えればいいだろう?」と別の選択肢を考えられるだけで、大きな進歩です。

まとめ

アサーションを取り入れる第一歩は、ストレスを感じているときにどんなコミュニケーションをとる傾向があるかを把握すること。
たとえば「一方的に主張を押し通そうとする」「相手に遠慮して言いたいことを我慢する」「嫌味を言ったりものに八つ当たりをしたりする」など。
これらとは違う「どちらかが一方的に我慢したり不快になったりすることない、さわやかな伝え方」がアサーション。

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<アサーションについての記事はこちら>

アサーショングループのご紹介~自分も相手も大切にするコミュニケーションの方法を学ぶ~

アサーション~自分も相手も大切にするコミュニケーション法~

アサーショングループ療法のご案内

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。