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公開日: |更新日: マインドフルネス

認知療法学会・認知行動療法学会に参加しました 後編

【目次】
マインドフルネス認知療法のワークショップに参加しました
研修会の内容
おわりに

マインドフルネス認知療法のワークショップに参加しました

前回の記事 : 認知療法学会・認知行動療法学会に参加しました 前編

7月23日に新宿のNSスカイカンファレンス開催された、
第18回認知療法・認知行動療法研修会「マインドフルネス認知療法」講師:佐渡充洋先生(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
に参加しましたので、ご報告させていただきます。

研修の内容

マインドフルネス認知療法は、「意図的に、今この瞬間に、価値判断をすることなく注意を向けること」と定義されるマインドフルネスのエクササイズなどを通して、反すう思考を減らし、抑うつ、不安等の改善を目指します。

ワークショップの始めに、「マインドフルネスでは、“体験知”が重要」というお話がありました。「体験して実感して腹に落ちるもの」だということです。ワークショップでは、参加者自身、下記のような瞑想のエクササイズを体験しました。

  • 座ったままできるヨガのエクササイズ
    手を合わせて上に伸ばしたり、前屈みになるエクササイズをしました。
  • レーズンエクササイズ
    マインドフルネスの代表的なエクササイズです。レーズンを時間をかけてゆっくりと観察し、味わっていきます。
  • ボディスキャン
    体の感覚を観察していくエクササイズです。ワークショップでは時間の都合上短かったのですが、実際のグループ療法では、45分くらいかけてゆっくりやるそうです。
  • 音と思考のマインドフルネス
    先生のガイドに従って、音に注意を向け気づきを広げていき、その後、自分の心に浮かんでくる思考に気づきを移していくエクササイズです。

これらのエクササイズは当院のグループ療法でも行っていますが、より丁寧に、より時間をかけてやっていくというのが印象的でした。

この他、マインドフルネスが行っていることを、注意、認知、情報処理の側面からお話いただいたり、実証研究についてのお話もありました。

また、体験したことをみんなで共有する「シェアリング」についてのお話など、グループ療法でやることの意味や工夫についてもお話がありました。マインドフルネスのエクササイズを1人で続けるのはなかなか難しいので、仲間意識をもって一緒にトレーニングをすることがとても重要です。仲間と集まって一緒にトレーニングしていく中で、少しずつ、自分の生活の中にもマインドフルネスを取り入れやすくなるようです。

全体を通して、とても穏やかな、そしてあっという間の3時間でした。先生方も皆さん優しく、そして誠実に取り組まれている印象を強く受けました。

おわりに

当院では、金曜日と土曜日に、マインドフルネスのグループ療法を行っています。皆さんと一緒に、エクササイズを通して、今後もマインドフルネスのトレーニングを続けていきたいと思います。ご関心のある方は、医師やスタッフにご相談ください。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。