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公開日: |更新日: パニック障害専門療法

身体感覚曝露療法を行いました

1月29日に、当院のグループ治療の一環として「身体感覚曝露療法」を行ないました。
参加されたのは、パニック障害や嘔吐恐怖症の患者様です。
この2つの疾患に共通しているのは、それぞれ苦手な身体感覚があるということと、その感覚に非常に敏感(不安)になっていることが挙げられます。

例えば、パニック障害の方の中には息苦しさが非常に苦手であると話される方がいます。また、嘔吐恐怖症の方の場合、名前の通り吐くことを非常に恐れており、吐き気の感覚が苦手と話されます。
吐き気や息苦しさは、どんな人にとっても不快な感覚です。しかし、パニック障害や嘔吐恐怖症の方の場合、不快さに加えて不安な気持ちや考えが同時に生まれます。
不安の例:息苦しさ⇒「息が止まってしまう」
吐き気 ⇒「吐いてしまう」

これらの症状に対する治療法はいくつかありますが、身体感覚曝露もその1つです。
不安な気持ちは、一定時間が経つと自然に収まることが知られています。このメカニズムをもとに、身体感覚曝露ではあえてその人が苦手な感覚を再生するような課題に取り組みます。そして、苦手な感覚がうまく再生されたら、感覚と不安が自然に落ち着くのを体験し、身体感覚に不安になっても自分は安全であるということを学びます。

今回の身体感覚曝露では、各人の苦手な感覚を発見してもらうこと、今後自分自身で治療するための課題を見つけることを目的でした。

苦しい課題も多かったのですが、「自分の苦手な感覚を再発見できた」「自分以外にもこの感覚に不安になる人がいてちょっと安心した」という感想もいただきました。
今後の治療に役立てていただけたらと存じます。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。