あらたまこころのクリニック「症状別のよくある質問」ページ

公開日: |更新日: 思春期の不登校・引きこもり

思春期のお子さんのことで悩んでいませんか

思春期のお子さんのことで悩んでいませんか

 

目次

思春期のお子さんの不調は、家族にとっても悩みになる

まずは思春期の子どものことを理解しましょう

・本人の特性と周りとのズレ

・親子関係の落とし穴

家族のコミュニケーションが大切

まとめ

 

思春期のお子さんの不調は、家族にとっても悩みになる

お子さんが何か困りごとを抱えている時は、お子さん本人が苦しいことはもちろんですが、家族にとってもつらい状況になりがちです。

お子さんへの対応方法が分からずに感情的になってきつい言い方をしてしまったり、混乱して知らず知らずのうちに問題に巻き込まれて、「なんでこんな風になってしまったのか」と落ち込んだり、絶望的な気持ちになってしまうこともあります。また、子どもの気持ちが全然わからず戸惑ったり、子どものことで夫婦関係や家族関係がギクシャクしてしまうこともあるかもしれません。

このようにお子さんのことがきっかけで、当院を受診されるお母さんやお父さんはたくさんおられます。そうしたお母さんやお父さんは、多くの場合は、お子さんのことを大切に想われるご両親です。しかし、大切に想うからこそ、お子さんの問題に巻き込まれて家族が悪循環になってしまわないよう、注意が必要です。

まずは思春期の子どものことを理解しましょう

10代の子どもは、脳も体もこころもどんどん変化します。

その中で、大人だったら気にしないようなことが気になり、一見平気そうに見えても実はいろんなことを考え、悩み、葛藤していることが多いものです。しかし、まだまだ発達の過程にあるお子さんたちは、そうした悩みや葛藤を認識して言葉にすることは苦手で、うまく周りに相談して乗り越えたりすることはなかなか難しく、イライラしたように見えたり、痛みやだるさといった体の不調に出たり、時には不登校など、生活に支障をきたしてしまうことさえあります

多くの思春期の子どもたちは、こうした悩みや葛藤を少しずつ乗り越え、成長・自立していくものですが、一部には、うつ病などの気分障害、あがり症、社交不安障害やパニック障害、強迫性障害などの不安障害、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)などの発達障害などが隠れていて、ご本人の努力だけでは乗り越えられない状態のお子さんがおられます。こうした状態の時に、親や周りの大人が「頑張って乗り越えろ」と叱咤激励したところで、なかなか状態は改善せず、むしろ悪化してしまうことがあるのです。

まず、ご家族がお子さんの生活や症状を理解することは、お子さんの回復にとって非常に重要なことです。そして、悪循環になっているようであれば、その悪循環を理解し、本人と家族が一緒に変わっていくことが大切なのです。

 

家族のコミュニケーションが大切

もし、家族の中で悪循環が起こっているようであれば、こうした悪循環を抜け出すために大切なのは、家族のコミュニケーションです。

コミュニケーションには、「距離と強さの関係」と呼ばれる落とし穴があります。

夫婦や親子の近い間柄では、ついつい、友達であれば言わないようなことを言ってしまったり、強い言い方になり、家の空気がきつくなります。また、逆に「家族なんだから言わなくても分かってくれるはず」という期待が大きくなってしまうことがあります。はっきりと言葉で伝えないので、誤解が多くなります。

つまり、いくら親が子供にいくら強く言っても、伝わらないのは、落とし穴に陥っているのです。

しかし、家族だからこそ、お互いに理解し、言いたいことを相手に伝わるように伝えることが重要なのです。機能するコミュニケーションが必要です。

コミュニケーションは、お互いの考え方や感じ方を理解したり、ズレを修正していくために非常に役に立ちますし、逆に、コミュニケーションがうまくいかないと、自分のことが相手に分かってもらえなかったり相手のことが理解できなかったりして対人関係がうまくいかず、その結果、家庭や学校・仕事など、生活に支障をきたすことになってしまうことがあるということです。

あらたまこころのクリニックでは、「アサーション」という、コミュニケーションに焦点をあてたグループ療法を行っています。この治療では、自分が相手に何を伝えたいのかをまとめ、ロールプレイを通して、実際の困りごとの場面で役立つように練習をしていきます。うつ病やあがり症」、女性のうつ病、職場で上司との関係などで悩む適応障害などに、とても効果があります。

また、うつ病などの治療に有効性が実証されている「対人関係療法」では、重要な他者(多くの場合は家族)との関係に焦点を当てて、その対人関係における態度やコミュニケーションを振り返り、調整をしていくこともあります。

また、お子さんのことで悩まれているお母さんやお父さんを対象にしたグループ療法も行っています。思春期のお子さんの対応は、なかなか周りに相談しにくかったり、どう対応していいか戸惑ったりすることも多いと思います。このプログラムでは、思春期のお子さんの様々な症状や心理について理解を深め、コミュニケーションを改善し、健康的な家族のあり方について学び、考えます。

 

【家族が変わると・・・家族自身が楽になります】

・子どもの状態・症状を理解し、必要な対応の知識が得られる

・いつも子どものことでイライラしたり落ち込んだりしているということが減る

・自分も相手も大切にしたコミュニケーションがとれる

・家族が、自分自身の生活を豊かにすることができる

・家族のよい変化が、子どもの変化につながる

まとめ

家族、とりわけお子さんのことで悩まれて、うつ病やうつ状態、不安が強くなるといった症状が出てくることがあります。こうした場合の多くは、ご家族を大切に想うからこその悩みといえますが、家族がみんなで悪循環にならないように、症状や状態のことを正しく知り、適切な対応をしていく必要があります。

そのために当院では、グループ療法やカウンセリングなどで、起こっている悪循環について整理し、その悪循環を断ち切っていくためのプログラムをおこなっています。もし、ご家族のことで悩んで、自分自身もうつや不安が強く日常生活に支障をきたすようであれば、ぜひ一度ご相談ください。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。