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2015.12.02 認知行動療法

行動活性化療法の講演を聞いてきました

行動活性化療法の講演を聞いてきました

平成27年11月28日(土) 東海地区Depressionフォーラム
(ウェスティンナゴヤキャッスルにて)
「価値の明確化を取り入れた行動活性化療法」
名古屋市立大学大学院 医学研究科 精神・認知・行動医学分野 助教 小川成 先生

うつ病に対し、効果が確立されている治療法の1つに行動活性化療法があります。今回の講演では、この行動活性化療法に、「価値」の観点が導入されており、研究が進んでいるというお話でした。

この「価値」とは、人がそれぞれ重要と考える人生の領域のことで、価値の目指す方向に沿った行動をとることで気分が良くなったり、元気が出て、うつ病の改善につながると考えられます。

しかし、私たちは普段、なかなか自分の価値について考える機会は多くないものです。価値について考えたり言葉にしてみることで、“やってみよう”と思えるということもあります。
この「価値」という概念は、どんな治療でも非常に大切な概念ですが、最近では、アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)の中で非常に重要視され、注目されています。

このアクセプタンス・コミットメント・セラピーは、行動分析学に基づく治療方で、新世代の認知行動療法の1つともいわれています。
「アクセプタンス」とは、思考、身体感覚、感情など、「今、ここ」で体験しているものを、良い悪いなどの判断を介さず受け入れることをいいます。また、「コミットメント」とは、自分の「価値」に沿った行動をすることをいいます。

うつ病や不安障害が続くと、いろんな症状に悩まされます。いろんな思考が頭に浮かび、時には過去のことをぐるぐる考えたり、将来について悲観的になり、考え込んでしまうこともあります。また、不快な身体感覚や感情が続き、つらくなってしまうこともあります。
こうした症状により、本来やりたいこと、やるべきことに手がつかず、余計に自分に自信がなくなってしまう(自己肯定感が持てない)という悪循環に陥ってしまうことが、うつ病や不安障害の維持につながってしまうことがあるのです。

アクセプタンス・コミットメント・セラピーでは、こうした苦痛と戦うことを一旦手放し、良い悪いの判断をせずに、「今、ここ」で自分が体験していることを感じ、受け止め、そして自分自身の「価値」に沿った行動を増やしていくことを目指します。

この「価値」を明確化することは、アクセプタンス・コミットメント・セラピーで大切なことなのです。

講演では、社交不安障害の方の症例もご紹介いただき、「価値」を取り入れた治療について学ぶ非常に貴重な機会となりました。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。