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公開日: |更新日: 認知行動療法

第12回認知療法学会に参加してきました

11月23、24日の2日間、東京ビッグサイトで行われた第12回認知療法学会に参加してきました。

~主なプログラム~

【大会長講演】

「ソクラテスの耳」多職種による協働を目指して
堀越勝 (国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター 研修指導部長)

【基調講演】

不安障害治療のための現代の認知行動的方略“Modern Cognitive Behavioral Strategies for Treating Anxiety Disorders.”
Stefan G. Hofmann, Ph.D. (米国行動認知療法学会 会長、国際認知療法学会 会長、ボストン大学 不安関連障害センター・社交不安障害プログラムディレクター)

【特別講演】

  • CBTを超えて:身体疾患に対する連携治療に用いられる統合的行動医学
    “Beyond CBT: Integrative Behavioral Medicine in the Collaborative Treatment of Medical Conditions”
    Katharine Larsson Ph.D. R.N., C.S. (ボストン行動医学センターディレクター 専門看護師)
  • From this patient to that trial, to those trials, and back ~精神療法の実践にエビデンスを活かす~
    古川壽亮 MD, Ph.D. (京都大学大学院医学研究科健康増進・行動学分野 教授)

【シンポジウム】

  • 再考セルフモニタリング!事例を通してその重要性と効果について改めて考える
    企画・司会:伊藤絵美 (洗足ストレスコーピング・サポートオフィス/千葉大学)
    話題提供:吉村由未、津高京子、初野直子 (洗足ストレスコーピング・サポートオフィス)
    指定討論:神村栄一 (新潟大学)
  • 日本における境界性パーソナリティ障害などの感情調節困難のための治療実践の試み
    企画:遊佐安一郎 (長谷川メンタルヘルス研究所)、松野航大 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    司会:松野航大(早稲田大学大学院人間科学研究科)
    話題提供:井合真海子 (早稲田大学人間科学学術院)、須川聡子 (東京大学大学院教育学研究科)、森美加 (東京慈恵会医科大学精神医学講座)、遊佐安一郎 (長谷川メンタルヘルス研究所)
    指定討論:東斉彰 (広島国際大学大学院)
  • 認知・行動療法におけるスーパービジョン(2)スーパーバイザーの機能分析
    企画・司会:田中恒彦 (滋賀医科大学地域精神医療学講座)
    話題提供 : 伊藤絵美 (洗足ストレスコーピング・サポートオフィス/千葉大学大学院医学研究院)、原井宏明 (和楽会なごやメンタルクリニック)
    指定討論:藤澤大介 (国立がん研究センター東病院)

この他にも、さまざまなプログラムがあり、大変充実した2日間でした。

また、今学会では、当院での認知行動療法への取り組みについて、ポスター発表と口演による発表もしてきました。

発表①「患者に合った技法をどのように選択していくか~モジュール形式のCBTマニュアルを用いて面接を行った症例を通して~」

内容:モジュール形式のCBTマニュアルを使用し、ケースフォーミュレーションを行って患者とともに技法を選択した症例の報告をしました。モジュールを用い、患者さんにどのような選択肢があるかを提示することによって、患者自身が納得して治療を進めることができ、動機付けも高まると考えられます。

発表②「スーパービジョンを受けながらCBTを行うことで学んだこと」

内容:グループスーパービジョンを受けながらうつ病の患者さんにCBTを行なった症例を通して、学んだことについて報告しました。
スーパービジョンで治療者のクセやセッションの進め方について話し合っていくことは、「行動してみる」、「気持ちを伝える」、「解決できる問題を解決する」、そして「考え方の幅を広げる」プロセスとなりました。治療者がSVを通じてCBTを学習する過程は、CBTを通じて患者が新しい認知と行動のパターンを学習する過程に相似であるといえます。

おわりに

精神科医療にはさまざまな治療法がありますが、当院では、より患者様に役立つような治療を積極的に取り入れたいと思い、認知行動療法の勉強を続けていますが、まだまだこれから勉強に励んでいきたいと思います。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市からアルコール依存症専門医療機関、日本精神神経学会から専門医のための研修施設などに指定されている。