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疾患について DISEASE

2020.05.30 パニック障害

パニック障害を維持してしまう行動って?

パニック障害を維持してしまう行動って?

目次
安全保障行動とは
メリットとデメリット
今回のまとめ

はじめに

パニック障害や広場恐怖で悩んでいる方にとって、苦手な場面(高速道路、電車など、人によって違います)に直面するのはとても恐くて不安なことです。このため、不安を少しでも和らげるために、様々な行動をとることがあります。これを専門用語で「安全保障行動」と言います。

実は安全保障行動は、助けになってくれることもあれば、逆に症状を維持してしまうこともあります。今回は、その理由を解説していきます。

安全保障行動とは

吐き気の症状で悩むパニック障害の方を例に考えてみたいと思います。

Aさんは、パニック発作で吐き気が出現するため、「人前で吐いてしまったらどうしよう」という不安を感じています。電車やバスに乗っている時にも吐き気を感じるようになり、段々乗るのが怖くなってきてしまいました。しかし、乗らなければ職場に出勤することができません。そこで、Aさんは朝食をとらないことにしました。お腹の中に消化するものがなければ、吐き気が出ても吐いてしまうことはないだろうと考えたのです。また、万が一吐いてしまった時に周りに迷惑をかけないよう、ビニール袋を持ち歩くことをしました。遠出の外出が必要な時には、トイレがどこにあるのかを下調べし、それを元に自分のスケジュールや移動手段を考えるようになりました。こうして、Aさんは何とか職場に出勤できるようになり、時々出る吐き気と付き合いながら過ごすようになりました。

 

いかがでしょうか。Aさんの行動は、「人前で吐いてしまったらどうしよう」という不安への対策になっています。職場への出勤も可能となり、症状ともうまく付き合っているようにも見えます。このように、安心をもたらす効果がある行動を安全保障行動といいます。

しかし、この一見良いこと(メリット)しかなさそうな安全保障行動ですが、実は症状の維持につながってしまう危険性(デメリット)もあるのです。

メリットとデメリット

安全保障行動のメリットは、なんといっても不安感が下がることです。発作が起きてしまっても対処できる、という安心感は、繰り返し発作を経験した方にとっては「お守り」になります。そもそも、不安感というのは不快な感情ですし、不安を和らげる対策をするというのは自然な発想です(テスト前に不安になって勉強するから、何とかテストを乗り切れる、ということもありますよね)。

では、良いことずくめに見える安全保障行動のデメリットとはなんでしょうか。それは、「安全保障行動したから大丈夫だったのであって、なしではやっぱり不安」という条件つきの対処になっていることです。

例えば、上記のAさんの例で言うなら、「旅先のホテルで朝食が出て、しかも一緒に行く友人に自分の症状のことを伝えておらず、食べざるをえない状態」だったらどうすればいいでしょうか?「外出先でふと鞄を空けた時に、ビニール袋が入っていなかった」らどうすればいいでしょうか?このような不測の事態になったら余計に不安になってしまいます。このような条件付きの対処でやりすごしている状態では、吐き気を克服したとは思えないと思います。

では、安全保障行動をやめるとどうなるでしょうか?

安全保障行動をやめれば、「お守り」が無くなるので、当然不安は高まります。
しかし、不安はそのまま延々と高まり続けるわけではなく、ピークに達した後、しばらくするとゆるやかな下り坂で自然に弱まっていきます。
さらに、2回目、3回目と不安・恐怖の対象・状況に曝していくうちに慣れが生じて、不安のピークそのものが徐々に下がるようになります。

安全保障行動によって生活の維持を助けられている面もあるのですから、急に手放すことは難しいと思われます。
ですので、大切なことは、自分がどんな安全保障行動をしているのかを把握すること、「いずれは手放すもの」という発想をもって徐々になくしていく練習をすることです。

今回のまとめ

安全保障行動には、不安をやわらげて助けてくれるというメリットと、症状を維持してしまうデメリットがあります。自分がどんな安全保障行動をしているのかを把握し、徐々に手放していくことで、パニック障害の回復に近づいていきます。

一人でそれをするには自信がない、という方は、当院でもパニック障害の治療プログラムを行っておりますので、またご相談ください。