名古屋市/心療内科/精神科/うつ病/不安障害/瑞穂区/昭和区/天白区/南区/緑区/熱田区/日進市/中区/パニック障害/摂食障害/あらたまこころのクリニック

心療内科 精神科 医療法人和心会 あらたまこころのクリニック
〒467-0066
名古屋市瑞穂区洲山町1-49
TEL:052-852-8177

できるだけ薬に頼らない治療。あらたまこころのクリニックオフィシャルブログ

2019年下田光造賞受賞のご報告

カテゴリー: ご挨拶 | 投稿日: 2019-07-19

日本うつ病学会下田光造賞とは?

日本うつ病学会では、下田光造(2)賞を、気分障害の医学の進歩に最も貢献した、賞の名にふさわしい研究論文を執筆した筆頭著者に授与します。

テーマ

「大うつ病に対する新規抗うつ剤の最適使用戦略を確立するための大規模無作為割り付け比較試験」(大うつ病の抗うつ薬を、適切に何を、そのタイミングで、使用すれば、安全かつ効果的に大うつ病を治せるか?)という論文(3)にて、日本うつ病学会2019年下田光造賞を受賞致しました事を謹んでご報告申し上げます。
難しいタイトルですが、SUN☺D研究では、中等度以上の大うつ病治療では、最初の投薬は、どの薬を選び、どれくらいの用量を目標とするのか?
1回目の薬剤で治った人は、そのままで良いのですが、実際には、過半数の人は、改善は不十分なので、その時、次の一手をどうするのか?をどうすれば、改善するのか?
を世界3位の大規模研究で、調査しました。

大うつ病の治療に貢献できること

第1日目のうつ病薬(SUN☺D研究では、ジェイゾロフト(セルトライン)の50mg(1日)と100mg(1日)では、効果は、全く同じでした。50mgで効果が無いのに、増やしていくと、効果が無いのに副作用が増えていってしまうということになる訳です。
これまでの国内外の多くの大うつ病治療の治療指針(ガイドライン)では、「症状が重い場合には、薬を低用量から始め、副作用に注意しながら可能な限り速やかに増量する」「十分な最大投与量を投与する」とされてきました。アメリカ精神医学会の治療指針も、「副作用が許す限り、最大限の用量を使う」とあります。ところが、「抗うつ薬が効かないなら量を増やすべきだ」と考えられてきたが、SUN☺D研究では、逆効果だと示されました。量を増やすより別の薬を試すべきで、それも、治療後3週間で切り替える方が、9週間で切り替える方が10%程度、改善しました。「大うつ病の治療指針の見直しが必要ではないか?」と言う結果でした。3回目以降のうつ病薬の切り替えは、効果が、低くなるという他の研究もあります。
うつ病薬の使い方は、2回目までが、とても重要なのです。

世界3位の大規模研究

世界3位の大規模研究ということもあっって、2013年には、アメリカ臨床精神薬理学会(53th NCDEU Meeting)において、SUN☺D studyの研究計画と進捗については、その発表が187の一般演題の中からベストポスターの1つに選ばれました。
SUN☺D studyは、一般臨床で使用されている抗うつ薬の有用性について明確なエビデンスを求め、我が国のうつ病治療の向上に寄与しようとする我が国初の大型多施設共同による実践的臨床試験で、注目はされていました。http://ebmh.med.kyoto-u.ac.jp/sund/
日本うつ病学会下田光造賞を頂き、その賞の重みを考えると身が引き締まる思いをしておりますが、加藤としては、賞の名誉よりも、この研究がクリニックなど一般臨床の場で日々の大うつ病患者様の治療に役立つことが何よりもうれしいです。普及すれば、多くの大うつ病の患者の幸せに繋がるのではないか?と大きな願いを抱いています。当然、これだけの大がかりな研究が私の能力でできるはずもなく、京都大学の古川壽亮教授、名古屋市立大学の明智龍男教授、国立精神・神経医療研究センター国立精神・神経医療研究センター精神薬理研究部部長の山田光彦先生他エキスパートの先生型が立案、進行、指導されました。そして、大うつ病の治療では薬物療法が大きな柱となるので、これまでの国内外のうつ病治療ガイドラインや現状に疑問を抱き「なんとか少しでも適切に治療効果を高められないか?」という熱意で、国内の9つの大学(京都大学、名古屋市立大学、東京大学、北海道大学、東邦大学、高知大学、広島大学、熊本大学、久留米大学)を拠点として、48カ所のうつ病治療に積極的なクリニックや病院で、2010年から2015年の6年間に渡り、2011人の患者様の協力の下に行われた研究です。あらたまこころのクリニックが、たまたま協力して頂いた患者様が多かったという理由だけで、受賞、表彰されました。思いがけず幸運を頂いた次第です。
今やうつ病治療のバイブルとも言えるMANGA研究などを主導されたうつ病研究のトップクラスの研究者の先生やクリニックなどの「同志」と共に勉強できたことが何よりも財産です。

さらにうれしいこと

さらにうれしいことは、うつ病の治療で問題になる途中で中断するケースが少なかったことです。
治療の脱落が少なかったことです。うつ病が治っていて中断するのなら、良いのですが、未改善のまま中断すると、これは困ったことになります。
藤田医科大学の岩田仲生教授の報告では、「最初の1ヶ月間で抗うつ薬治療から脱落、6ヶ月後には30%まで低下する」。中断する患者様の理由は、「抗うつ薬を服薬したくない」が多く、本当にその通り、もっともなことだと思います。
誰でも「効果のない」「副作用の強い」薬は飲みたくないですね。ところが、SUN☺D研究では、開始後9週で95.8%。これは驚異的なことです。25週で94.9%の患者様が協力して下さった。多くの患者様との協働作業に感謝の言葉もありません。

2030年には健康に悪影響を及ぼす病気の1位に

大うつ病は、今後の日本で増加するであろう様々な病気の中で、2030年には健康に悪影響を及ぼす病気の1位になると予測されています。
日本に、仮に100万人の大うつ病患者様がいらっしゃれば、もし、今より10%改善する方法があるなら、1年間で10万人、10年間で100万人の患者様に役立つのではないか?と夢を持っています。
この論文は誰にでもオープンに閲覧、アクセスできます。グーグル翻訳を使うと、日本語に変換されます。



今後、SUN☺D研究の詳しい内容や、適切な薬物療法を進めるための、うつ病の経過、MANGA研究、Star*D研究、MANGA研究などの薬物療法を分かりやすくご説明して、薬物療法の他に、実際に役に立つ「薬に頼り切らない」有効な認知行動療法、対人関係療法、マインドフルネスなどをご紹介していきたいと予定しています。


受賞式

対象論文、資料

(1)SUN☺D研究について
http://ebmh.med.kyoto-u.ac.jp/sund/index.html


(2)下田光造[1885-1978]は、躁うつ病に特有な病前性格を見いだし、これを「執着気質」と名付け、この気質が躁うつ病の発症に関係すると考えました。「執着気質」は、Shimoda’s Shuchaku-KishituあるいはImmobilithymieとして国際的にも未だに引用されているように、下田学説は日本を代表する研究です。また下田は、脳の病理組織学的研究に従事しつつ、森田療法を高く評価するなど、幅広い視野を持つ研究者でした。
下田光造賞は、気分障害の医学の進歩に最も貢献した、賞の名にふさわしい研究論文を執筆した筆頭著者に授与いたします。
審査対象論文は、選考の前年一年間に発表された論文に限り、応募には、日本うつ病学会の会員歴を2年以上有していることが必要です
(日本うつ病学会ホームページより引用)
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/gakkaisyo/shimoda.html


(3)対象論文
Optimising first- and second-line treatment strategies for untreated major depressive disorder — the SUN☺D study: a pragmatic, multi-centre, assessor-blinded randomised controlled trial(BMC Medicine, 2018年、16巻、第1号、103頁 Tadashi Kato,Toshi A. FurukawaEmail author,et al
https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916 018 1096 5



(以下のホームページにお祝いを掲載していただきました)


京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 健康増進・行動学分野
http://ebmh.med.kyoto u.ac.jp/
Dr Tadashi Kato (Aratama Kokorono Clinic) was awarded the prestigious Shimoda Mitsuzo Prize for the primary paper from the SUN(^_^)D trial, published last year in BMC Medicine.



国立精神神経医療研究センター のホームページ 2019年 7月 5日
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakuri/
【受賞】 徳島で開催された第16回日本うつ病学会総会で、BMC Medicine誌に掲載されたSUN☺D studyの主論文が下田光造賞を受賞し、筆頭著者の加藤正先生(あらたまこころのクリニック)が受賞講演を行いました。
加藤先生、おめでとうございます!