12月, 2014年
苦手なものを克服してみませんか?
皆さんは、苦手なものを避けてしまうことはありませんか?
例えば、水が苦手で、プールで泳ぐことを避けてしまったり、高速道路が苦手で、下道ばかり運転してしまったり、人前で話すことが苦手で、プレゼンやスピーチを断ってしまったりすることはありませんか?
パニック障害の場合、発作が起こったら助けてもらえないかもしれない場所・状況を避けてしまうことがよくあります。広場恐怖といわれるものです。
避けても不安は解決しません
例えば、地下鉄が苦手な方の場合、地下鉄に乗ろうとすると、動悸、息苦しさ等の辛い発作が起こるかもしれないと考え不安になり、地下鉄に乗ることを避けてしまうことがあります。地下鉄に乗らないと、安心できるので、不安はスーッと下がります。けれども、次に地下鉄に乗る時がくると、また発作が起こるのではないかと不安になってしまいます。
このように苦手な状況を避けると、一時的に安心するので、不安は下がりますが、また苦手な状況がくると、不安になります。つまり、苦手な状況を避けることは逆に不安を維持させてしまい、いつまでも不安は解決しないのです。
不安にとどまることが大事です
不安であっても、その場にとどまると、一時的に不安は上がりますが、時間とともに徐々に不安は下がっていきます。それを何度も繰り返す内に、「不安になっても大丈夫。不安はやがて下がる」と思えるようになっていきます。このように、少しずつ苦手な状況に慣れていくのです。パニック障害の治療では、苦手で避けている状況(広場恐怖)にチャレンジし、恐怖・不安に慣らしていきます。
苦手なものが克服できると、生活の幅が広がり、楽しみも増えます。美容院が怖くて行けなかった人が、美容院でカラーやパーマを楽しめるようになったり、デパートの地方物産展の混雑が怖くて行けなかった人が、デパートに行き、おいしいものを満喫できるようになったり・・・
回避は一時的な安心感しかもたらしません。しかし、不安に向き合い、解決できると、不安は維持されず、生活の幅も広がります。また、苦手なものを克服出来たということは、私たちの自信にもつながります。皆さんも、少しずつ苦手なものを避けずに、向き合っていけるといいですね。
パニック障害
http://www.mentalclinic.com/panic/
薬物療法の勉強会を行いました

薬物療法の勉強会
平成26年12月3日(水)に、睡眠薬の新薬「スボレキサント」の説明を、製薬会社のMRの方からお聞きしました。
院長・スタッフが参加し、従来の薬との違いを学びました。
私たちの眠りは、「覚醒」と「睡眠」の2つのモードの切り替えによってコントロールされています。
その切り替えは、脳幹にある「覚醒システム」と、視床下部視索前野にある「睡眠システム」が関わっています。
睡眠システムに関与しているのは、GABAという脳内に最も広く分布している神経伝達物質です。従来の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系というGABAに作用するもの、つまり、「睡眠システム」に影響をする薬です。
しかし、この薬による眠りは、睡眠に関する機能だけでなく、筋緊張、記憶、運動能力などの機能も下げ、脳全体を鎮静させることでもたらされていました。そのため、翌日に影響する副作用が課題になっていました。
また依存が生じることや、服薬中断後にリバウンドの不眠が出現する(反跳性不眠)可能性もあるなどの問題点もあり、当院ではいつも処方には注意しています。

オレキシンによる覚醒と睡眠の制御
今回説明をお聞きしたスボレキサントは、「覚醒システム」のみを抑制する、という効果を持った薬ということです。
「覚醒システム」には、「オレキシン」という覚醒を促進する神経伝達物質が大きく関わっています。覚醒時には脳内に多く分泌され、覚醒システムを活性化させます。
スボレキサイトは、オレキシンの脳内への取り込みを阻害する作用があります。これにより、オレキシンによる覚醒システムの活性化を抑え、脳全体を鎮静化させることなく覚醒から睡眠へと切り替わり、生理的な睡眠に近い効果を得ることができる、ということでした。
睡眠薬の処方における、新しい選択肢が増えたことになります。まだ発売して間もない新薬であるため、すぐに飛びつかず、周囲の評価を参考にしながら慎重に処方を検討して行きます。
当院では、「薬だけに頼らない治療」を理念としています。しかし、それは薬を全く使わないと言うことではありません。
薬物療法の有効性を理解し、患者様の治療の役立つような、適切、最小限、依存になりにくい薬の処方を行うよう努力しております。
このような勉強の機会を大切にし、薬について最新の情報を集めて行きたいと存じます。
問題解決のコツ!~よりよい解決策を選ぼう~
私たちは、日常生活を送る中で、小さなものから大きなものまで様々な問題が起こります。
そして、それらの問題を解決する時には、特に意識することなく、過去の体験から自分に合った解決策を選んで行動していると思います。
しかし、こころに負担がかかっている時には、「この方法しか出来ない」と考え、その方法が上手くいかないと「もう自分にはどうしようもない」と身動きが取れなくなってしまうことが多くあります。
そんなときには、ぜひ、前回の記事でお話しした“ブレインストーミング”をやってみましょう。
そして、たくさん挙げた解決策の中からよりよい解決策を選びます。
選び方のコツは、まず、現実的に実行することが難しいもの(人に迷惑をかけたり、身体に負担がかかるものなど)から消しましょう。
その上で、残った解決策1つ1つの長所と短所の両方を書き出し、自分にとってより重要度の高いものを選びましょう。
少し面倒かもしれませんが、この過程を行うことで、「自分にも出来るかもしれない」「やってみよう」という気持ちにつながり、行動に起こしやすくなりますよ。
問題解決グループ
http://www.mentalclinic.com/group/#problem_solving_group_description
クラフト(創作活動)プログラム
デイケアでは、月に2回程度土曜日を中心にクラフト(創作活動)プログラムを行っています。
クラフトプログラムでは、作業を通して人と交流する、作業過程を楽しみながら自信をつける、作業に対する能力や集中力を確認できる…ことなどを目的にプログラムに取り組んでいます。
また、作製するものについては、季節感を感じられるものや、日常生活で使えるものを作ることで生活が豊かに感じられるものを大切にしています。
↑こちらは皆で作った「アクリルたわし」です。
これまで作ってきたものは、フォトフレーム、風鈴、うちわ、携帯クリーナー、カードケース、コースター…などです。
最近は、年末年始も近づいてきたので、「オリジナル年賀状作りに挑戦!」と題して、切り絵に消しゴムはんこ、年賀状に使えるアイテムを作ってみました。
皆で来年がよい1年であることを願いながら、それぞれ素敵な作品に仕上がっていました。